ナレッジハブ
2025/12/31
AIOとブランド指名検索の相関関係:なぜ「指名される企業」はAI時代に最強なのか
「AI検索(SGE)対策をしているのに、なぜか競合他社ばかりが回答に表示される」「自社のサービス名がAIに正しく認識されていない気がする」
もし今、あなたがこのような違和感を抱いているなら、それは「キーワード」ばかりを見て、「ブランド力」というAI攻略の最重要ピースを見落としているからかもしれません。実は、ChatGPTやPerplexity、そしてGoogleのSGEといった生成AIは、Web上で頻繁に「指名検索(ブランド名での検索)」されている企業や製品を、「信頼できる正解」として学習・推奨する傾向が強いことが分かってきました。
これからの時代、SEO(検索エンジン最適化)とAIO(AI最適化)の境界線は、「どれだけユーザーに愛され、指名されているか」というブランドの実力値に集約されていきます。
本記事では、これまで感覚的に語られがちだった「ブランディング」と「AIアルゴリズム」の相関関係を解き明かし、指名検索数を増やすことがなぜ最強のAIOになるのか、そのメカニズムと具体的な戦略を徹底解説します。
目次
- 1. 指名検索数が多いブランドがAIに強い理由:検索ボリュームは「信頼の投票数」
- 2. ブランドの権威性(Authority)とAIO:AIは「有名な先生」を信じる
- 3. メンション(言及)を増やして認知させる:リンクなき「話題」の価値
- 4. SNS運用が間接的にAIOに効く仕組み:リアルタイム情報の「震源地」
- 5. AIにおける「評判」のメカニズム:感情分析がブランドの評価を決める
- 6. 独自のブランドストーリーをAIに学習させる:機能ではなく「物語」で選ばれる
- 7. 指名検索を増やすためのAIOコンテンツ:独自メソッドの命名権を取る
- 8. オフライン活動とデジタル資産の連携:リアルの熱狂をデータに変える
- 9. ブランドエンティティの確立と強化:Googleナレッジグラフへの登録
- 10. 長期的なAIO資産としてのブランド力:アルゴリズム変動に負けない「指名」の強さ
- 「指名検索」こそがAI時代のSEOである
1. 指名検索数が多いブランドがAIに強い理由:検索ボリュームは「信頼の投票数」
なぜ、特定のキーワードを含まない自然な会話の中でも、AIはある特定の企業名を「おすすめ」として挙げるのでしょうか。その最大の理由は、AI(および検索エンジン)が「指名検索数」を、「そのエンティティ(実体)に対する社会的な信頼スコア」として解釈しているからです。
大規模言語モデル(LLM)は、単に言葉の意味を理解しているだけではありません。Web上の膨大なデータの中で、「どの言葉とどの言葉がセットで検索されているか」「どの固有名詞が頻繁にユーザーから求められているか」という統計データを学習しています。
「探索行動」がAIの学習データになる
ユーザーが「〇〇株式会社 評判」や「〇〇ツール ログイン」のように、特定のブランド名を含めて検索する行動(Navigational Query)は、AIにとって「このブランドは実在し、多くの人間に必要とされている」という強力なシグナルとなります。
逆に、どんなに素晴らしい記事を書いていても、誰からも社名で検索されていない(指名検索がゼロに近い)場合、AIはその企業を「重要度の低いノイズ」あるいは「実態の不確かな存在」として処理するリスクがあります。AIは「ハルシネーション(嘘)」を吐くことを極端に恐れるよう調整されているため、情報の確度が高い「よく検索されるブランド」を優先的に回答に採用するのは、確率論的に理にかなった挙動なのです。
「一般名詞」と「固有名詞」の戦い
AIOの観点から見ると、一般名詞での上位表示(SEO)と、指名検索によるブランド認知(Branding)には、以下のような決定的な違いがあります。
| 比較項目 | 一般名詞(例:「会計ソフト おすすめ」) | 固有名詞(例:「SmartTax」) |
|---|---|---|
| AIの認識 | ユーザーの「課題」や「ニーズ」として認識される。 | 課題に対する「解決策(ソリューション)」の実体として認識される。 |
| 競合性 | 常に変動し、AIの回答候補枠を奪い合うレッドオーシャン。 | 唯一無二の存在(指名)であるため、AIの回答を独占できる。 |
| AIOへの影響 | 一時的な露出には寄与するが、ブランドの資産にはなりにくい。 | 検索数が増えるほど、AI内での「エンティティ強度」が高まる。 |
つまり、指名検索を増やすことは、AIに対して「うちの会社は、この業界における『正解』の一つですよ」と教え込むプロセスそのものなのです。これからのマーケティングは、検索窓に「キーワード」を打ち込ませるのではなく、「自社の名前」を打ち込ませる戦いへとシフトしていきます。
2. ブランドの権威性(Authority)とAIO:AIは「有名な先生」を信じる
Googleの検索品質評価基準として有名な「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」ですが、生成AIの時代において、この中の「A(Authority:権威性)」の重み付けが劇的に高まっています。
AIは、自身が生成する回答の責任を持てません。だからこそ、回答の根拠(グラウンディング)として、最も権威あるソースを引用しようとします。では、AIは何をもって「権威がある」と判断しているのでしょうか。
「参照される側」に回る仕組み
学術論文の世界では、他の論文から引用されればされるほど、その論文の権威は高まります。WebとAIの世界も全く同じです。
多くのWebサイト、ニュースメディア、SNS、そしてユーザーの検索行動において、あなたのブランド名が「参照」されている頻度が高ければ高いほど、AIはそのブランドを「業界のリーダー(Authority)」と認定します。
例えば、「マーケティングオートメーション」についてAIに質問したとします。この時、AIの学習データの中に「マーケティングオートメーションといえばHubSpot」という文脈が大量に存在していれば、AIは機能比較をするまでもなく、HubSpotを筆頭候補として推奨します。これは、HubSpotが長年の指名検索とコンテンツ発信によって築き上げた「権威性」が、AIの推論バイアスとして機能している好例です。
WikipediaとWikidataの影響力
権威性をAIに技術的に認識させる上で、無視できないのが「Wikipedia」や「Wikidata」などのパブリックなデータベースです。
多くのLLM(大規模言語モデル)は、学習データの基礎としてWikipediaを参照しています。ここに独立した記事として自社のブランドが存在することは、「第三者によって特筆性(Notability)が認められた存在」であるという、最強の証明書になります。
もちろん、宣伝目的でWikipediaを作成することはできませんが、指名検索が増え、社会的な認知が高まれば、自然と第三者によって記事が作成される可能性が高まります。
また、Googleのナレッジグラフ(検索結果の右側に出るパネル)が表示されるかどうかも、指名検索数と強い相関があります。ナレッジグラフが表示される=AIが「エンティティ(実体)」として完全に認識した状態であり、これがAIOの第一ゴールと言えます。
権威性とは、自称するものではなく、他者(ユーザーやAI)によって付与されるものです。指名検索数の多さは、その付与された権威の「総量」を可視化した指標なのです。
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3. メンション(言及)を増やして認知させる:リンクなき「話題」の価値
これまでのSEOでは、「被リンク(Backlinks)」がドメインパワーを高めるための通貨でした。しかし、AIOの世界では、リンクを含まない単なるテキストでの言及、すなわち「メンション(Brand Mentions)」や「サイテーション(Citations)」が、同等かそれ以上の価値を持ち始めています。
AIは「テキストの海」全体を読んでいる
生成AIは、ハイパーリンクが貼られていなくても、テキスト上のつながりを理解します。
例えば、X(旧Twitter)や個人のブログで「〇〇というツールを使ったら便利だった」という投稿があったとします。ここに公式サイトへのリンクがなくても、AIは「〇〇というツール」と「便利」というポジティブな評価を結びつけ、学習データとして蓄積します。
指名検索が増える前段階として、必ずこの「メンションの増加」が発生します。Web上のあらゆる場所で自社の名前が語られている状態(Buzz)を作ることこそが、AIに自社を見つけてもらうための招待状となります。
「Share of Search」と「Share of Model」
マーケティング用語に「Share of Search(検索シェア:競合と比較した際の指名検索の割合)」という指標がありますが、これからは「Share of Model(AIモデル内でのシェア)」という概念が重要になります。
| 施策の種類 | 従来の被リンク対策(Link Building) | これからのメンション対策(AIO) |
|---|---|---|
| 対象 | Webサイト運営者、ブロガー。 | SNSユーザー、掲示板利用者、一般消費者。 |
| AIへの効果 | ドメインの信頼性を高める。 | ブランドの「存在感」と「文脈」を学習させる。 |
| アクション | 寄稿、相互リンク、高品質記事の作成。 | SNSキャンペーン、プレスリリース、UGC(口コミ)の創出。 |
AIに認知されるためには、「Webの片隅でひっそりと正しいこと」を言っていても届きません。Web全体で名前が連呼されるような「熱量」が必要です。
プレスリリースを打つ、SNSでハッシュタグキャンペーンを行う、インフルエンサーに言及してもらう。こうした広報・PR活動が、巡り巡ってAIの学習データとなり、AIO対策として結実します。
併せて読みたい記事:SEOとWebマーケティングの関係を徹底解説!成果を上げるための本質とは?
4. SNS運用が間接的にAIOに効く仕組み:リアルタイム情報の「震源地」
「SNSは検索エンジンにインデックスされにくいから、SEO(AIO)には関係ない」というのは、もはや過去の常識です。
現在、GoogleはX(Twitter)やInstagram、TikTokなどのSNSコンテンツも積極的に検索結果(SGE含む)に取り込んでいます。さらに、Perplexityなどの最新のAI検索エンジンは、リアルタイムのSNS投稿をソースとして回答を生成します。
指名検索の「火付け役」としてのSNS
指名検索は自然発生的に増えるものではありません。多くの場合、SNSでのバズや話題化がきっかけ(トリガー)となって、検索エンジンでの指名検索が急増します。
この「SNSでの話題化 → 指名検索の増加 → 検索エンジンが重要性を認識 → AIが学習」というサイクルを意図的に作り出すことが、現代のAIO戦略の要です。
例えば、Xで「この新作コスメ、すごく良かった!」という投稿が万単位で拡散されたとします。すると、そのコスメ名をGoogleやAmazonで検索するユーザーが急増します。この一連の動き(トレンド)を、AIは「今、このブランドが注目されている」という重要なシグナルとして捉えます。
SNSは、静的なWebサイト情報のアップデートを待たずに、AIに対して「最新の重要度」を伝えるための最速の回線なのです。
N-A-P情報の統一と「Official」マーク
SNS運用がAIOに効くもう一つの理由は、ブランドの「実在証明」です。
AIは、公式サイトだけでなく、公式SNSアカウントの情報を照らし合わせて、そのブランドが本物かどうかを確認しています(Entity Resolution)。
ここで重要になるのが、すべてのSNSプラットフォームにおける「N-A-P情報(Name, Address, Phone/Profile)」の統一です。
X、Instagram、Facebook、YouTube、LinkedIn…それぞれのプロフィール欄で、ブランド名やURL、紹介文がバラバラになっていないでしょうか?
これらを統一し、相互にリンクさせることで、AIは「これらは全て同一のエンティティ(実体)である」と認識し、情報の信頼度(Confidence Score)を高めます。
付随記事:コンテンツマーケティングで長期的な集客を実現する方法とは?
5. AIにおける「評判」のメカニズム:感情分析がブランドの評価を決める
指名検索が増えることは重要ですが、それが「炎上」や「悪評」によるものであっては意味がありません。AIOにおいて最も恐ろしいのは、AIがあなたのブランドを「評判の悪い企業」として学習してしまうことです。
AIは「Sentiment Analysis(感情分析)」という技術を用いて、Web上のテキストがポジティブかネガティブかを判定しています。そして、その総意(コンセンサス)を「評判」として要約し、ユーザーに伝えます。
AIが読み解く「文脈」の怖さとチャンス
かつての検索エンジンは、キーワードが含まれていれば上位表示されました。しかしAIは、「〇〇 最悪」「〇〇 解約できない」といったネガティブな共起語(サジェスト)を深く理解します。
もし、指名検索の多くがサポートへの不満によるものであれば、AIはユーザーから「おすすめのサービスは?」と聞かれた際に、あなたのサービスを推奨リストから除外するか、「ただし、サポートには難があるようです」という注釈付きで紹介するでしょう。
| ユーザーの声(入力データ) | AIの感情分析(処理) | SGE/AIチャットの回答(出力) |
|---|---|---|
| 「使いやすい」「デザインが良い」 | Positive(肯定的) 推奨度スコア上昇 |
「初心者にも使いやすく、デザイン性に優れたツールとして人気があります。」 |
| 「普通」「可もなく不可もなく」 | Neutral(中立) 事実のみ抽出 |
「標準的な機能を備えたサービスです。主な機能は以下の通りです。」 |
| 「繋がらない」「返信が遅い」 | Negative(否定的) リスク要因としてタグ付け |
「機能は豊富ですが、一部のユーザーからはサポート体制への不満も報告されています。」 |
デジタル・レピュテーションの管理
したがって、指名検索を増やすための施策は、常に「顧客満足度の向上(CS)」とセットで行う必要があります。
Googleマップの口コミ、レビューサイトの星の数、SNSでのリプライの雰囲気。これらすべてがAIの学習教材です。
AI時代においては、カスタマーサポート(CS)もマーケティングの一部です。誠実な対応を行い、ポジティブなUGC(ユーザー生成コンテンツ)を一つでも多く増やすこと。それが、AIという公平無慈悲な裁判官に「無罪(優良企業)」を認めさせる唯一の方法なのです。
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6. 独自のブランドストーリーをAIに学習させる:機能ではなく「物語」で選ばれる
AIは事実(ファクト)を学習しますが、同時に文脈(コンテキスト)や物語(ナラティブ)も理解します。機能や価格だけで競合と差別化しようとすると、AIは単なるスペック比較マシンとして振る舞い、価格の安い方や機能の多い方を推奨してしまいます。
しかし、そこに「独自のブランドストーリー」が存在すると、AIの評価軸が変わります。「創業者がなぜこの事業を始めたのか」「どのような哲学で製品を作っているのか」という物語は、他のどの企業とも被らないユニークなデータであり、指名検索を生み出す源泉となります。
「About Us」ページを最強の学習教材にする
多くの企業サイトにおいて、「会社概要(About Us)」や「代表挨拶」は定型文になりがちです。しかし、AIO(AI Optimization)の観点からは、こここそがAIに自社のアイデンティティを刷り込むための最重要ページです。
AIに学習させるべきストーリー要素は以下の通りです。
- ミッション・ビジョン(Why): 社会に対してどのような価値を提供しようとしているのか。抽象的な言葉ではなく、具体的な解決課題とセットで記述します。
- 創業の経緯(Origin): どのような苦労や課題感からそのサービスが生まれたのか。固有のエピソードは、AIにとって「他社と区別するための強力なタグ」になります。
- 社会的な取り組み(Social): SDGsや地域貢献活動など、利益追求以外の活動。これらはAIによる「信頼性」や「企業の健全性」の評価にプラスの影響を与えます。
ナラティブが「感情」を動かし、指名を生む
ユーザーがわざわざブランド名で検索するのは、そのブランドに対して何らかの感情(共感、応援、期待)を抱いたときです。
「機能がすごいから」ではなく「あの創業者の考えが好きだから」という理由で検索された回数は、AIにとって極めて質の高いエンゲージメントとして記録されます。
WebサイトやSNSで発信するコンテンツには、必ず「主語(We/I)」を入れ、人間味のあるストーリーを織り交ぜてください。無機質な情報はAIに要約されて終わりますが、熱量のこもった物語は要約されず、原文(あなたのサイト)へのアクセスを促すトリガーとなります。
次に読む:コンテンツマーケティングの進め方|見込み客を集め、育てるための実践ガイド
7. 指名検索を増やすためのAIOコンテンツ:独自メソッドの命名権を取る
指名検索を増やすための最もテクニカルで即効性のある手法が、「独自のメソッドやフレームワークに名前を付ける」ことです。
例えば、あなたがダイエットジムを運営しているとして、単に「効果的な食事制限」と発信しても、ユーザーは「食事制限」という一般ワードで検索し、競合他社の情報に埋もれてしまいます。
しかし、その手法に「3日間リセット・メソッド™」のような独自の名前を付け、その名前で情報を発信したらどうなるでしょうか。
「検索せざるを得ない」状況を作る
ユーザーはそのメソッドの詳細を知るために、必ず「3日間リセット・メソッド やり方」や「3日間リセット・メソッド 評判」と、あなたの作った造語(ブランド名)を含めて検索します。
これにより、AIの学習データ内には「3日間リセット・メソッド=あなたのジム」という強固な結びつきが生まれます。
| 命名戦略 | 一般的な発信(埋もれる) | AIOを意識した発信(指名される) |
|---|---|---|
| サービスの名称 | オンライン英会話 | 瞬間発話トレーニング「Flash-Talk」 |
| ノウハウの名称 | 売れる営業テクニック | 成約率を倍にする「ミラーリング・クロージング法」 |
| 分析の名称 | 性格診断 | 16タイプ別・才能発掘診断 |
「答え」を寸止めして検索を促す
SNSやショート動画で情報発信する際、すべてを語り尽くすのではなく、意図的に「情報の空白(Information Gap)」を作ります。
「この続きはWebサイトで『〇〇メソッド』と検索してください」というコールトゥアクション(CTA)を行うことで、強制的に指名検索を発生させることができます。
これは一見、ユーザーの手間を増やす行為に見えますが、AIに対して「このキーワード(独自メソッド)は、検索する価値がある重要なトピックだ」と教えるためのトレーニングになります。一度AIがその重要性を学習すれば、今度はAI自身がユーザーに対して「〇〇メソッドという方法もおすすめです」と自発的に提案してくれるようになります。
関連文献:Webマーケティング戦略の立て方|成果を最大化する完全ガイド【10ステップで解説】
8. オフライン活動とデジタル資産の連携:リアルの熱狂をデータに変える
B2B企業や実店舗を持つビジネスにおいて、指名検索の多くは「オフライン(現実世界)」での接点から生まれます。展示会での名刺交換、店舗での接客、テレビCM、交通広告などです。
しかし、多くの企業は「オフラインで知ってもらったこと」と「デジタル上のAI評価」を切り離して考えてしまっています。AIO戦略においては、リアルの活動をいかにしてデジタルの検索行動に転換(Convert)させるかが鍵となります。
「検索キーワード」を指定する広告戦略
テレビCMやタクシー広告でよく見る「『〇〇』で検索」という手法は、AIOにおいて理にかなっています。
単にURLやQRコードを表示して直接サイトに飛ばすよりも、あえて検索窓を経由させることで、検索エンジンやAIに「指名検索数の増加」というデータをプレゼントすることができます。
チラシやパンフレットにも、「最新の事例は『〇〇事例』で検索」といった具体的な検索指示を記載しましょう。ユーザーに「なんて検索すればいいか分からない」という迷いを与えないことが、指名検索数を最大化するポイントです。
イベント登壇資料のデジタル化
セミナーや展示会で使用したスライド資料を、PDFやSpeakerDeckなどの形式でWeb上に公開し、そのリンクを参加者に共有します。
これにより、イベント名や登壇者名での検索(指名検索)が増えるだけでなく、資料の中身のテキストデータがAIに学習されます。
特に「Q&Aセッション」の内容を後日ブログ記事として公開する手法は効果的です。イベント当日に出たリアルな質問と、それに対する専門的な回答は、AIにとって「生きた一次情報」の宝庫であり、SGEでの引用率が高いコンテンツとなります。
| オフライン施策 | デジタル連携(AIO)アクション | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 展示会・セミナー | ハッシュタグを指定し、感想をX(Twitter)に投稿してもらう。 | リアルタイムでのメンション(言及)急増によるトレンド入り。 |
| 店舗・窓口 | Googleマップへの口コミ投稿を依頼する(QRコード設置)。 | ローカル検索での評価向上と、AIによる評判分析の精度向上。 |
| 紙媒体・DM | 紙面限定の「検索キーワード」を設定し、LPへ誘導する。 | 特定のキーワードとブランドの関連性をAIに学習させる。 |
9. ブランドエンティティの確立と強化:Googleナレッジグラフへの登録
指名検索が増えてきたら、次はそれを「技術的に」固定化するフェーズに入ります。それが「ブランドエンティティの確立」です。
AIや検索エンジンに対して、「この文字列(ブランド名)は、単なる単語ではなく、確固たる実体(Entity)である」と認識させ、データベース(ナレッジグラフ)に登録させる作業です。
ナレッジパネルの出現を目指す
ブランド名でGoogle検索をした際、PC画面の右側(スマホでは上部)に、会社概要やロゴ、SNSリンクなどがまとまったボックスが表示されるでしょうか? これが「ナレッジパネル」です。
ナレッジパネルが表示されている状態は、Google(およびAI)があなたのブランドをエンティティとして完全に認識している証拠です。
もし表示されていない場合、あるいは内容が薄い場合は、以下の施策を徹底してください。
- Googleビジネスプロフィールの充実: 実店舗がない企業でも登録可能です。情報を最新に保ちます。
- Wikipediaの被リンク獲得: Wikipediaに記事を作れなくても、既存の記事(業界用語や関連技術のページ)の出典として自社サイトが引用されることを目指します。
- 構造化データ(Organization)の実装: 自社サイトのトップページに、社名、ロゴ、SNSアカウント、連絡先などをJSON-LD形式でマークアップします。
「同名の他社」との曖昧性解消(Disambiguation)
ブランド名が一般的であったり、同名の他社が存在する場合、AIは混乱します。指名検索されても、他社の情報が表示されてしまっては意味がありません。
これを防ぐために、Webサイト内の記述で「曖昧性の解消」を行います。
「株式会社エース」であれば、「東京・渋谷のWeb制作会社である株式会社エース」のように、「エリア」や「業種」とセットでブランド名を記述するルールを徹底します。また、構造化データのdisambiguatingDescriptionプロパティを使用して、「当社は建設会社のエース様とは異なる組織です」と明示的にAIに伝えることも有効です。
参考文献 :Webマーケティングの成功事例10選|中小企業から大企業まで
10. 長期的なAIO資産としてのブランド力:アルゴリズム変動に負けない「指名」の強さ
SEOの世界では、Googleのアルゴリズムアップデートのたびに順位が乱高下し、一喜一憂するのが常でした。しかし、指名検索(ブランド検索)だけは、どんなアップデートが来ても揺らぐことはありません。
ユーザーが「〇〇社」と検索窓に入力している以上、検索エンジンはその会社の公式サイトを1位に出さざるを得ないからです。これはAI検索(SGE)になっても変わりません。AIにとって、ユーザーの「指名」を無視して他社を勧めることは、ユーザー体験(UX)を損なう行為だからです。
LTV(顧客生涯価値)を高めることが最強のAIO
結局のところ、AIOの最終的な勝者は、小手先のテクニックを駆使した企業ではなく、顧客と真摯に向き合い、ファンを作ってきた企業です。
一度サービスを使って感動した顧客は、次は必ず指名検索で戻ってきます。あるいは、AIに対して「〇〇社の新しいプランについて教えて」と、前提条件付きで質問してくれます。
この「リピート指名検索」の総量こそが、デジタル空間におけるブランドの防御壁(Moat)となります。
コンテンツを作り、情報を整理し、構造化データを入れる。これらはすべて重要ですが、それらはあくまで「ブランドを知ってもらうための手段」です。最終的な目的は、AIという仲介人を経由しなくても、ユーザーと直接つながれる強固な信頼関係を築くことです。
AIは「人気投票」の結果を反映する鏡
これからのAIは、Web上の人気投票(指名検索、サイテーション、レビュー)の結果を、より純粋に、よりリアルタイムに反映する鏡のような存在になります。
ズルができない時代だからこそ、正攻法のブランディングと、顧客満足度の追求が、最も確実で、最も効果の高いAIO対策となるのです。
こちらも:Webマーケティングにおける仮説検証の重要性と実践方法
「指名検索」こそがAI時代のSEOである
本記事では、AI検索(AIO)とブランド指名検索の密接な関係について、メカニズムから具体的な戦略までを解説してきました。
要点をまとめると、AIは「信頼できる情報」を求めており、その信頼の指標として「指名検索数」や「Web上での言及数(メンション)」を最重要視しているということです。つまり、これからのマーケティング担当者が追うべきKPIは、単なるセッション数ではなく、「どれだけブランド名で検索されたか」という指名検索数になります。
明日から始めるアクションプラン
記事の内容を実践するために、まずは以下の2つの行動から始めてみてください。
- Google Search Consoleでの「指名検索率」確認:
検索パフォーマンスのレポートを見て、流入キーワードのうち「自社ブランド名(およびその掛け合わせ)」が占める割合を確認してください。もし全体の10%以下であれば、ブランド認知が弱く、AIのアルゴリズム変動の影響を受けやすい状態です。まずはSNSやプレスリリースを活用し、社名の露出を増やす施策を計画しましょう。 - 「About Us」ページのストーリー化:
自社サイトの「会社概要」を見直してみてください。単なる住所と資本金の羅列になっていませんか? 明日中に、創業の想いやミッションを語る「ストーリー(物語)」のテキストを追加してください。AIに「学習させたい自社の姿」を言葉にして伝えることから、AIOは始まります。
AI時代においても、ビジネスの主役は「人」です。人の心を動かし、記憶に残り、指名されるブランドを作ること。それができれば、AIは自然とあなたの最強の味方になってくれるはずです。

執筆者
畔栁 洋志
株式会社TROBZ 代表取締役
愛知県岡崎市出身。大学卒業後、タイ・バンコクに渡り日本人学校で3年間従事。帰国後はデジタルマーケティングのベンチャー企業に参画し、新規部署の立ち上げや事業開発に携わる。2024年に株式会社TROBZを創業しLocina MEOやフォーカスSEOをリリース。SEO検定1級保有
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