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2025/7/16
初心者でも安心!ホームページ制作の費用を抑える5つの方法と注意点
企業の顔とも言えるホームページ。その制作を検討する際、多くの担当者様や経営者様にとって最大の関心事の一つが「費用」ではないでしょうか。見積もりを取ってみると、その金額は数十万円から数百万円と幅広く、何が適正価格なのか、なぜこれほどまでに価格差が生まれるのか、疑問に思うことも多いはずです。高額な投資だからこそ、失敗は避けたい。かといって、安さだけを追求して、ビジネスの成果に繋がらない「安かろう悪かろう」なサイトになってしまっては本末転倒です。
本記事では、これからホームページ制作を始める初心者の方でも安心してプロジェクトを進められるよう、制作費用を賢く抑えるための具体的な方法と、その際に必ず知っておくべき注意点を徹底的に解説します。費用の内訳からコストパフォーマンスの高い業者の見極め方まで、正しい知識を身につけ、予算内で最大限の効果を発揮するホームページ制作を実現させましょう。
1. ホームページ制作にかかる費用の内訳
見積もりの「一式」に惑わされないために
ホームページの制作費用は、様々な専門作業の積み重ねによって構成されています。提示された見積もりが妥当かどうかを判断するためには、まずその「内訳」を正しく理解することが第一歩です。「ホームページ制作一式」といった大雑把な項目ではなく、どのような作業にどれくらいの費用がかかっているのかを把握しましょう。主な内訳は以下の通りです。
- 企画・ディレクション費
プロジェクト全体の進行管理や、どのようなホームページにするかという戦略を立てるための費用です。顧客へのヒアリング、市場調査、サイトマップ(ページ構成図)の作成、ワイヤーフレーム(画面の設計図)の作成などが含まれます。プロジェクトの成功を左右する司令塔の役割であり、費用全体の15%~30%を占めるのが一般的です。 - デザイン費
Webサイトの見た目、つまりビジュアルを制作する費用です。トップページと下層ページ(トップ以外のページ)で費用が分けられていることが多く、当然ながらデザインにこだわるほど、またページ数が多くなるほど高額になります。企業のブランドイメージやユーザーの使いやすさ(UI/UX)を考慮した、専門性の高い作業です。 - コーディング費
デザインデータを、実際にWebブラウザで表示できるようにHTMLやCSS、JavaScriptといった言語を使ってプログラミングしていく作業の費用です。スマートフォン表示に対応させるレスポンシブデザインの実装もここに含まれます。ページ数や、動き(アニメーション)の複雑さによって費用は変動します。 - CMS導入費
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を導入するための費用です。代表的なCMSであるWordPressなどを組み込むことで、専門知識がない人でもブログやお知らせなどを簡単に更新できるようになります。コスト削減を考える上で非常に重要な要素の一つです。 - コンテンツ制作費
サイトに掲載する文章(ライティング)や、写真・イラスト、動画などを制作会社に依頼する場合に発生する費用です。これらを自社で用意(支給)することができれば、費用を大きく抑えることが可能です。
これらの内訳を理解することで、見積もり内容について制作会社と具体的な対話ができるようになります。
2. なぜ制作費用は会社によって違うのか?
価格差の裏にある提供価値の違い
同じようなホームページを作ってもらうつもりでも、制作会社によって見積もり金額に大きな差が出ることがあります。この価格差は、単に「高い会社が利益を多く取っている」という単純な話ではありません。その背景には、提供されるサービスの範囲や品質、そして会社の体制など、様々な要因が複雑に絡み合っています。
- 制作の進め方(オリジナルかテンプレートか)
価格を左右する最大の要因の一つが、デザインをゼロから作る「オリジナルデザイン」か、既存の雛形を基に作る「テンプレートデザイン」かという点です。当然ながら、企業の要望に合わせてオーダーメイドで制作するオリジナルデザインは、デザイナーやエンジニアの工数が多くかかるため高額になります。一方、テンプレートを活用すれば、デザインやコーディングの工数を大幅に削減できるため、費用を抑えることができます。 - 会社の規模と人件費
大規模な制作会社は、ディレクター、デザイナー、エンジニア、マーケターなど各分野の専門家を多数抱えており、分業体制で質の高いサイトを制作します。しかし、その分、人件費やオフィスの賃料といった固定費(オーバーヘッド)が大きくなるため、制作費用は高くなる傾向にあります。一方、少人数の制作会社やフリーランスは固定費が少ないため、比較的安価に提供できる場合があります。 - 提供されるサービスの範囲
単に「言われた通りのサイトを作る」だけでなく、集客や売上向上に繋げるためのマーケティング戦略の立案や、SEO対策、公開後の運用サポートまでをサービス範囲に含んでいる会社もあります。このようなコンサルティング要素が強いほど、費用は高くなりますが、その分ビジネスへの貢献度も高まる可能性があります。価格だけでなく、どこまでのサービスが含まれているかをしっかりと確認することが重要です。 - 実績と専門性
豊富な実績や、特定の業界・分野における高い専門性を持つ制作会社は、そのノウハウ自体に価値があるため、価格設定が高めになることがあります。しかし、その知見を活かした質の高い提案が期待できるというメリットもあります。
これらの要因を理解し、自社がホームページ制作に何を求めているのか(デザイン性、機能性、マーケティング効果など)を明確にすることが、適切な価格の会社を選ぶ上で不可欠です。
3. 格安で依頼する際の注意点
「安物買いの銭失い」を避けるために
「ホームページ制作 格安」といったキーワードで検索すると、数万円から制作可能という魅力的な広告が数多く見つかります。予算が限られている場合、こうしたサービスに惹かれるのは自然なことです。しかし、価格の安さだけで安易に飛びついてしまうと、後々「こんなはずではなかった」と後悔するケースも少なくありません。格安制作に潜むリスクを十分に理解し、慎重に判断することが求められます。
- デザインや機能の自由度が低い
格安プランの多くは、あらかじめ用意されたテンプレートの中からデザインを選び、決められた機能しか使えないことがほとんどです。そのため、自社のブランドイメージを十分に表現できなかったり、他社と似たような、個性のないサイトになったりする可能性があります。また、将来的に「こんな機能を追加したい」と思っても、柔軟に対応できないケースが多いです。 - SEO対策が考慮されていない
見た目が綺麗なサイトができても、検索エンジンで上位に表示されなければ、誰にも見つけてもらえず、集客には繋がりません。格安制作の場合、コストを抑えるためにSEOの内部対策(検索エンジンがサイトの情報を理解しやすくするための構造最適化)が十分に行われていないことがあります。結果として、作ったはいいものの、全くアクセスのない「ただ存在するだけ」のサイトになってしまうリスクがあります。 - サポート体制が不十分
納品後のフォローやサポートが手薄、あるいは有料オプションになっている場合があります。サイトに不具合が発生した時や、操作方法で分からないことがあった時に、迅速に対応してもらえないと、ビジネスの機会損失に繋がります。契約前に、公開後のサポート範囲と費用を必ず確認しましょう。 - 隠れた追加費用
初期費用は安くても、ドメイン・サーバー費用が相場より高額であったり、些細な修正にも追加料金が発生したり、あるいは高額な月額の保守契約が必須であったりと、結果的にトータルの費用が高くついてしまうことがあります。「格安」という言葉の裏に、どのような契約条件が隠れているかを細かくチェックする注意深さが必要です。
もちろん、全ての格安サービスが悪いわけではありません。目的を限定したシンプルなサイトであれば、十分に価値を発揮する場合もあります。重要なのは、安さの理由を理解し、自社の目的と照らし合わせて、その制約を許容できるかどうかを見極めることです。
4. コストを抑えるならCMS導入がおすすめ
自分で育てられるサイトを持つという選択
ホームページの制作費用を抑え、かつ長期的な運用コストも削減したいと考えるなら、「CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)」の導入が極めて有効な選択肢となります。CMSとは、プログラミングの専門知識がなくても、テキストや画像、ブログ記事などを簡単に追加・編集・管理できるシステムのことです。世界中のWebサイトで圧倒的なシェアを誇る「WordPress(ワードプレス)」がその代表例です。
- なぜCMSでコストが抑えられるのか?
最大の理由は、公開後の更新・運用を自社で行えるようになる点にあります。CMSを導入していない静的なHTMLサイトの場合、「お知らせを1行追加する」「キャンペーンのバナーを差し替える」といった些細な修正でも、その都度制作会社に依頼し、数千円から数万円の作業費を支払う必要があります。このコストは、サイトを運営し続ける限り継続的に発生します。
一方、CMSを導入していれば、管理画面からブログを投稿するような感覚で、これらの更新作業を自社の担当者が無料で行えます。これにより、長期的に見て大幅なランニングコストの削減に繋がるのです。 - CMS導入のメリット
- 更新作業の内製化によるコスト削減: 上述の通り、運用費を大幅に圧縮できます。
- 情報発信のスピード向上: キャンペーンや新着情報など、伝えたい情報を思い立った時にすぐ発信できます。このスピード感はビジネスにおいて大きな武器となります。
- SEOへの好影響: ブログ機能などを活用して、ユーザーに役立つ情報を定期的に発信することは、コンテンツの蓄積に繋がり、検索エンジンからの評価を高める上で非常に重要です。
- 豊富な拡張機能: WordPressには「プラグイン」と呼ばれる拡張機能が無数に用意されており、問い合わせフォームやイベントカレンダー、EC機能など、様々な機能を比較的安価に追加することが可能です。
CMSの導入には初期費用(インストールや設定費用)がかかりますが、それは将来の運用コストを削減するための賢い「先行投資」と捉えることができます。長期的な視点に立てば、CMSの導入はコストパフォーマンスを最大化するための最適な選択と言えるでしょう。
5. テンプレート活用でデザイン費を節約する
「時間」と「お金」を賢く使うデザイン戦略
ホームページ制作の費用において、大きな割合を占めるのが「デザイン費」です。企業のブランドイメージを反映した完全オリジナルのデザインを一から制作する場合、デザイナーは多くの時間と工数を要するため、費用は高額になります。このデザイン費を効果的に節約するための最も代表的な方法が、「デザインテンプレート(テーマ)」の活用です。
- デザインテンプレートとは?
デザインテンプレートとは、プロのデザイナーによってあらかじめ作成された、ホームページの雛形(デザインのパッケージ)のことです。CMS(特にWordPress)には、世界中の開発者が制作した、無料または有料の高品質なテンプレートが無数に存在します。これらのテンプレートを土台として利用することで、ゼロからデザインを制作する必要がなくなり、開発時間とコストを大幅に削減できます。 - テンプレート活用のメリット
- 圧倒的なコスト削減: オリジナルデザインに比べて、デザイン制作にかかる費用を劇的に抑えることができます。有料のテンプレートでも、数千円から1万円程度で購入できるものが多く、コストパフォーマンスは非常に高いです。
- 制作期間の短縮: すでにデザインと基本的なコーディングが完了しているため、サイトの公開までの期間を大幅に短縮できます。スピーディに事業を始めたい場合に大きなメリットとなります。
- デザインクオリティの担保: プロが制作したテンプレートは、デザインのトレンドやユーザーの使いやすさが考慮されており、一定以上のクオリティが保証されています。レスポンシブデザイン(スマホ対応)も標準装備されているものがほとんどです。
- テンプレート活用時の注意点
- デザインの制約: あくまで雛形を基にするため、レイアウトやデザインの細部を自由に変更するには限界があります。独自のブランドイメージを細部まで完璧に表現したい場合には不向きです。
- 他社との差別化: 人気のあるテンプレートを使用すると、他のサイトとデザインが似通ってしまう可能性があります。ロゴやメインビジュアル、配色などを工夫し、オリジナリティを出す努力が必要です。
- テンプレートの品質: 無料のテンプレートの中には、コードが古かったり、セキュリティに脆弱性があったりするものも存在します。信頼できる開発元から提供されているか、定期的にアップデートされているか、レビューや評価は高いか、といった点を確認して、品質の高いテンプレートを選ぶことが重要です。
企業の目的や予算に応じて、テンプレートを賢く活用することは、コストを抑えつつ質の高いホームページをスピーディに手に入れるための非常に有効な戦略です。
6. フリーランスと制作会社どちらが安い?
コストとリスクのバランスを見極める
ホームページ制作の依頼先として、大きく分けて「フリーランス」と「制作会社」という二つの選択肢があります。コストを抑えたいと考えた時、「フリーランスの方が安そう」というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、一概にそうとは言えません。両者のメリット・デメリットを理解し、プロジェクトの規模や性質によって最適なパートナーを選ぶことが重要です。
- フリーランスに依頼する場合
【メリット】
最大のメリットは、費用の安さです。フリーランスは法人と比べて、事務所の賃料や人件費などの固定費が少ないため、その分を価格に反映させることができます。一般的に、制作会社に依頼するよりも2~4割程度安くなる傾向があります。また、窓口となる担当者(フリーランス本人)が直接作業を行うため、コミュニケーションがスムーズで、柔軟かつスピーディな対応が期待できる点も魅力です。
【デメリット】
個人のスキルに依存するため、得意な分野(デザインは得意だが、コーディングやSEOは苦手など)が偏っている場合があります。また、病気や事故といった不測の事態が発生した場合に、代わりの担当者がおらず、プロジェクトが停滞するリスクがあります。さらに、残念ながら、途中で連絡が取れなくなってしまうといったトラブルの可能性もゼロではありません。信頼できる人物かどうかを慎重に見極める必要があります。 - 制作会社に依頼する場合
【メリット】
ディレクター、デザイナー、エンジニアなど、各分野の専門家がチームで対応するため、品質が安定しており、総合力が高いのが特徴です。デザインからシステム開発、SEO対策まで、幅広い要求にワンストップで対応できます。また、法人としての信頼性や、プロジェクトの安定した進行管理、公開後の長期的なサポート体制なども大きな安心材料です。
【デメリット】
前述の通り、人件費や固定費がかかるため、費用はフリーランスに比べて高額になります。また、担当者が複数人介在することで、コミュニケーションに時間がかかったり、意思決定のスピードが遅くなったりする場合があります。 - 結論:どちらを選ぶべきか
予算を最優先し、ページ数が少ない小規模なサイトや、修正範囲が明確なリニューアルであれば、信頼できるフリーランスに依頼することでコストを大きく抑えられる可能性があります。
一方、大規模なサイト、複雑なシステム開発が必要な場合、あるいはWebマーケティング戦略を含めた総合的なサポートを求めるのであれば、制作会社に依頼する方が、結果的にコストパフォーマンスが高くなることが多いでしょう。
7. ホームページ制作を依頼した後のランニングコスト
初期費用だけでなく、年間の維持費も把握する
ホームページは、作って公開したら終わりではありません。そのサイトをインターネット上に存在させ続け、安全に運用していくためには、継続的に発生する「ランニングコスト(維持費)」が必要です。初期の制作費用ばかりに気を取られていると、このランニングコストが想定外の負担になることがあります。契約前に、年間でどのくらいの費用がかかるのかを必ず確認しておきましょう。
- サーバー代
ホームページのデータ(テキストや画像など)を保管しておく場所が「サーバー」です。このサーバーをレンタルするための費用がサーバー代で、ホームページを公開し続ける限り、必須のコストとなります。性能や容量によって価格は様々ですが、一般的なコーポレートサイトであれば、月額数百円から数千円程度が相場です。制作会社が管理するサーバーを利用する場合、自社で直接契約するよりも割高になることがあります。 - ドメイン代
「〇〇.com」や「〇〇.co.jp」といった、インターネット上の「住所」にあたるのが「ドメイン」です。このドメイン名を維持するための費用がドメイン代で、通常は1年ごとに更新が必要です。ドメインの種類(.com, .jpなど)によって価格は異なりますが、年間で1,000円から数千円程度が目安です。 - 保守管理費
制作会社に依頼する場合に発生することが多い費用です。その内容は会社によって様々ですが、主に以下のような作業が含まれます。- CMS(WordPressなど)のアップデート: セキュリティを保つために必須の作業です。
- プラグインのアップデート: CMSの拡張機能の更新作業です。
- データのバックアップ: 万が一の事態に備え、サイトのデータを定期的に保存します。
- 軽微な修正作業: テキストの修正や画像の差し替えなどを、一定の範囲内で対応してくれます。
- 電話やメールでのサポート: 操作方法の質問などに対応します。 費用は、月額5,000円から数万円と幅広く、サポートの範囲によって変動します。自社で対応できる範囲を見極め、必要なサービス内容かを確認することが重要です。
- SSL証明書費用
サイトの通信を暗号化し、セキュリティを高めるための「SSL化」に必要な証明書の費用です。現在は無料で利用できるものもありますが、より信頼性の高い証明書の場合は年間で数万円の費用がかかることがあります。今や常時SSL化は必須ですので、費用に含まれているかを確認しましょう。
これらのランニングコストを事前に把握し、制作費と合わせたトータルの予算を計画することが、無理のないサイト運営の鍵となります。
8. 自分で更新できるシステムのメリット
サイトを「生きた」ツールにするための鍵
コスト削減の文脈でCMS(自分で更新できるシステム)の導入をおすすめしましたが、そのメリットは単に「費用の節約」だけにとどまりません。ビジネスの観点から見ると、自社でサイトを自由に更新できる体制を持つことには、計り知れない価値があります。サイトを単なる「オンライン上のパンフレット」から、成果を生み出す「生きたマーケティングツール」へと進化させるのです。
- 情報発信の圧倒的なスピード感
ビジネスの世界では、スピードが勝敗を分けます。緊急のお知らせ、期間限定のキャンペーン、新製品のプレスリリースなど、鮮度が命の情報を発信したい時、制作会社に依頼していては、どうしてもタイムラグが生じます。依頼、見積もり、作業、確認というプロセスを踏むと、数日かかってしまうことも珍しくありません。自分で更新できるシステムがあれば、**思い立ったその瞬間に、自社の手で情報を全世界に発信できます。**この機動力は、ビジネスチャンスを逃さないために極めて重要です。 - コンテンツの継続的な追加によるSEO効果
検索エンジン(Google)は、専門性の高い有益な情報を定期的に発信し、更新されているサイトを高く評価する傾向にあります。CMSのブログ機能などを活用し、「お客様の声」「導入事例」「専門家によるコラム」といったコンテンツを自社で継続的に追加していくことで、サイトの情報量が豊かになり、SEO評価の向上に繋がります。これは、広告費をかけずに検索エンジンからの訪問者を増やすための、最も王道かつ効果的な方法です。更新作業が手軽にできる環境は、このコンテンツマーケティングを実践するための土台となります。 - 試行錯誤による改善サイクルの高速化
Webサイトは公開してからがスタートです。アクセス解析のデータを見ながら、「このページの表現を変えてみよう」「このボタンの色を変えてみよう」といった細かな改善(ABテストなど)を繰り返すことが、成果の最大化に繋がります。自分で更新できるシステムがあれば、こうした**小さな試行錯誤を、コストをかけずに、かつスピーディに実行できます。**この改善サイクルの回転数が、競合との差を生み出します。
自社でサイトをコントロールできるということは、自社のビジネスの舵取りを、よりダイレクトに、そしてスピーディに行えるようになるということです。そのメリットは、初期の導入コストを補って余りあるものと言えるでしょう。
9. 相見積もりを効果的に取る方法
「価格」だけでなく「価値」を比較するために
ホームページ制作の依頼先を決める際、複数の会社から見積もりを取る「相見積もり」は、適正な価格やサービス内容を把握するために有効な手段です。しかし、ただやみくもに各社へ「サイトを作りたいので見積もりをください」と連絡するだけでは、精度の高い比較はできません。各社から質の高い提案を引き出し、自社にとって最適なパートナーを見つけるための、効果的な相見積もりの取り方にはコツがあります。
- 依頼内容を具体的にまとめた「提案依頼書(RFP)」を用意する
各社に同じ条件で提案してもらうために、依頼内容をまとめた簡単な資料を用意しましょう。これにより、比較の土台が揃い、各社の提案力の違いが明確になります。最低限、以下の項目は盛り込みましょう。- 制作の目的: なぜホームページを作りたいのか(例:新規顧客からの問い合わせを月10件獲得したい、企業の信頼性を高めたいなど)。
- ターゲット: どんな人に見てほしいサイトか。
- 必要なページ: サイトマップのような形で、必要なページをリストアップする(会社概要、サービス一覧、実績紹介、ブログ、お問い合わせなど)。
- 必要な機能: CMS導入の有無、予約機能、EC機能など、実装したい機能を伝える。
- 参考サイト: デザインや構成のイメージに近いサイトを2~3つ挙げる。
- 予算と希望納期: おおよその予算感と、いつまでに公開したいかを明記する。
- 見積もりの「総額」だけでなく「内訳」を比較する
提出された見積もりを比較する際、総額の安さだけで判断してはいけません。必ず「費用の内訳」を確認し、各作業項目にどれくらいの費用が計上されているかを比較します。A社はデザイン費が高いがディレクション費が安い、B社はその逆、といった違いが見えてきます。極端に安い項目がある場合、その作業の品質が低い可能性も考えられます。 - 担当者とのコミュニケーションを重視する
見積もり依頼時のメールの返信の速さや丁寧さ、打ち合わせでの担当者のヒアリング能力や提案力も重要な比較ポイントです。こちらの漠然とした要望を深く理解し、専門的な知見から具体的な提案をしてくれる担当者は、信頼できるパートナーとなる可能性が高いです。 - 単純な価格競争にしない
「A社は〇〇円でしたので、もっと安くできませんか?」といった単純な値引き交渉は、制作の品質低下を招く恐れがあるため避けるべきです。それよりも、「この予算内で、どこまでのことが実現可能ですか?」といった形で、コストとパフォーマンスのバランスについて建設的な相談をすることが、良い関係を築く上で重要です。
相見積もりは、最も安い業者を見つけるための作業ではなく、自社の事業を成功に導いてくれる、最もコストパフォーマンスの高いパートナーを見極めるためのプロセスであると心得ましょう。
10. コストパフォーマンスが高い制作会社とは
真の価値は「制作費÷成果」で決まる
ホームページ制作において、「コストパフォーマンスが高い」とは、単に「制作費用が安い」ということと同義ではありません。真のコストパフォーマンスは、**「投資した費用に対して、どれだけのビジネス上の成果(売上向上、問い合わせ増、人材採用など)を生み出してくれたか」**という視点で測るべきです。ここでは、長期的に見て高いリターンをもたらしてくれる、コストパフォーマンスに優れた制作会社の見極め方について解説します。
- ビジネスの目的を深く理解してくれる
優れた制作会社は、ヒアリングの際に、単に「どんなデザインが好きですか?」と聞くだけでなく、「なぜホームページが必要なのですか?」「ホームページを通じて、どのような事業課題を解決したいですか?」といった、ビジネスの根幹に関わる質問をしてきます。あなたの事業内容やターゲット顧客、そして最終的なゴールを深く理解し、それを達成するための手段としてWebサイトをどう活用すべきかを、戦略的な視点から提案してくれる会社こそ、信頼に値します。 - 「できないこと」も正直に伝えてくれる
顧客の要望に対して、何でも「できます」と安請け合いする会社が必ずしも良いとは限りません。プロフェッショナルな会社は、予算や技術的な制約、あるいは費用対効果の観点から「その機能は目的達成への貢献度が低いため、今は実装せず、別の部分に予算を使いましょう」といった、顧客にとって耳の痛いことであっても、専門家としての意見を正直に伝えてくれます。これは、顧客のビジネスの成功を第一に考えている誠実さの表れです。 - 公開後の運用を見据えた提案がある
サイトは作って終わりではありません。公開後にどのように情報を更新し、集客し、成果に繋げていくかという「運用」の視点が不可欠です。コストパフォーマンスの高い制作会社は、制作段階から公開後の運用を視野に入れ、「お客様自身で更新しやすいように、この部分はCMS化しましょう」「SEOを意識して、このようなブログコンテンツを定期的に発信していきましょう」といった、持続可能なサイト運営のための提案をしてくれます。 - 透明性の高い料金体系
初期費用だけでなく、サーバー代や保守管理費といったランニングコスト、そして将来的に修正や機能追加を依頼した場合の料金体系などが、契約前に明確に提示されることも重要です。後から予期せぬ費用が発生することのないよう、金銭面での透明性が確保されている会社を選びましょう。
最終的に、コストパフォーマンスとは、制作会社とのパートナーシップによって生まれるものです。価格の安さという短期的な視点だけでなく、自社のビジネスを共に成長させてくれる長期的なパートナーとしてふさわしいか、という視点で選ぶことが、最も賢い投資となるでしょう。
まとめ
ホームページ制作の費用を抑えることは、多くの企業にとって重要な課題です。しかし、その方法は単なる値引き交渉ではありません。CMSやテンプレートを賢く活用して開発コストを削減し、自社でできること(コンテンツの用意など)は自社で行う。そして、複数の業者から質の高い提案を引き出し、価格だけでなく、自社のビジネス目的を達成するための「価値」を基準にパートナーを選ぶ。こうした戦略的なアプローチが不可欠です。
「安物買いの銭失い」という言葉があるように、初期費用が安くても、成果に繋がらなければ、その投資は無駄になってしまいます。本記事で解説した費用の内訳や注意点を参考に、表面的な価格に惑わされることなく、長期的な視点でコストパフォーマンスを最大化する選択をしてください。正しい知識を武器にすれば、予算内でビジネスを力強く前進させる、価値あるホームページを必ず手に入れることができます。
執筆者
畔栁 洋志
株式会社TROBZ 代表取締役
愛知県岡崎市出身。大学卒業後、タイ・バンコクに渡り日本人学校で3年間従事。帰国後はデジタルマーケティングのベンチャー企業に参画し、新規部署の立ち上げや事業開発に携わる。2024年に株式会社TROBZを創業しLocina MEOやフォーカスSEOをリリース。SEO検定1級保有
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