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2025/9/23
未経験からWebマーケティング業界に転職する方法|必要なスキルと学習法
デジタル化が加速する現代ビジネスにおいて、Webマーケティングはもはや一部の専門職ではなく、あらゆる業界で求められる必須のスキルとなりました。その将来性の高さと、自身の施策が数字としてダイレクトに成果に繋がる面白さから、未経験からWebマーケティング業界への転職を目指す人が後を絶ちません。しかし、その一方で「何から勉強すればいいのか分からない」「実務経験がないと不利なのでは?」といった不安を抱えている方も多いでしょう。本稿は、そうした未経験者のための、Webマーケティング業界への転職を成功させるための完全ガイドです。業界の全体像から、必要なスキルの習得法、そして実践的な転職活動の進め方まで、具体的なステップに沿って網羅的に解説します。この記事を読み終える頃には、あなたのキャリアチェンジへの道筋が、明確に、そして具体的に見えているはずです。
目次
1. Webマーケティング業界の職種と仕事内容
「Webマーケター」と一言で言っても、その仕事内容は非常に幅広く、専門領域によって様々な職種が存在します。未経験からの転職活動を始めるにあたり、まずはWebマーケティング業界の全体像を掴み、どのような職種があり、それぞれがどのような役割を担っているのかを理解することが、ミスマッチのないキャリア選択の第一歩となります。
Webマーケティングの全体像
Webマーケティングの目的は、WebサイトやSNSといったデジタルチャネルを活用して、「集客(見込み客を集める)」→「接客(関係性を築き、購買を促す)」→「再訪(リピーター・ファンになってもらう)」という一連の流れを最適化し、最終的にビジネスの成果(売上や利益)を最大化することです。この大きな流れの中で、各職種が専門性を発揮して連携しています。
主な職種と具体的な仕事内容
未経験者が目指しやすい、代表的な職種をいくつか紹介します。
- Web広告運用担当者
- 仕事内容: Google広告やYahoo!広告といったリスティング広告、InstagramやFacebookなどのSNS広告を運用し、Webサイトへの集客を担います。どの広告媒体に、いくらの予算を投下し、どのようなターゲットに、どんな広告文やバナー(クリエイティブ)を見せるかを計画・実行・分析します。日々の数値(表示回数、クリック数、コンバージョン数など)と向き合い、費用対効果を最大化させていく、データ分析能力と改善思考が求められる仕事です。
- 未経験者への門戸: 専門知識は必要ですが、比較的マニュアル化しやすく、成果が数値で明確に出るため、未経験者歓迎の求人が多い職種の一つです。特に広告代理店では、若手を採用し、OJTで育成する文化が根付いています。
- SEOコンサルタント/SEO担当者
- 仕事内容: 広告費をかけずに、検索エンジンからの自然流入(オーガニックトラフィック)を増やすための施策、すなわちSEO(検索エンジン最適化)を担当します。キーワードの調査・選定、ユーザーの検索意図を満たすコンテンツの企画、サイトの内部構造の改善提案、外部サイトからの被リンク獲得戦略など、その業務は多岐にわたります。論理的思考力と、Googleのアルゴリズムの動向を常に追い続ける探求心が求められます。
- 未経験者への門戸: 広告運用に比べると、より広範で深い知識と経験が求められるため、未経験者向けの求人はやや少なめです。しかし、後述する個人ブログなどでの実績があれば、ポテンシャルを評価されて採用に至るケースも少なくありません。
- SNSマーケティング担当者
- 仕事内容: X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTokなどのSNS公式アカウントを運用し、ユーザーとのコミュニケーションを通じて、ブランドのファンを育成(ブランディング)したり、商品やサービスの認知度を向上させたりします。日々の投稿コンテンツの企画・作成、コメントへの返信、SNS広告の運用、インフルエンサーとの協業、キャンペーンの実施など、企画力やトレンドを捉える感性が重要になります。
- 未経験者への門戸: 個人のSNS利用経験を活かしやすく、トレンドへの感度が高い若手を中心に、未経験者採用のチャンスが多い職種です。ただし、単なる「SNS好き」ではなく、ビジネスの目的を達成するための戦略的な思考が求められます。
- コンテンツマーケティング担当者
- 仕事内容: ユーザーにとって価値のある、有益なコンテンツ(ブログ記事、動画、ホワイトペーパーなど)を企画・制作・発信することで、潜在的な顧客層にリーチし、将来の見込み客へと育成します。SEOの知識に加え、ターゲット顧客の課題を深く理解する共感力や、分かりやすい文章を作成するライティング能力が必要です。
- 未経験者への門戸: 編集者やライター経験者が転身するケースも多く、文章力や企画力に自信があれば、未経験からでも挑戦しやすい領域です。
これらの職種は、明確に分かれている場合もあれば、一人のマーケターが複数の役割を兼任する(特に事業会社やスタートアップ)こともあります。まずは、自分がどの領域に最も興味があるのか、そして自身の強みを活かせそうかを考えることが重要です。
2. 求められるスキルセット(テクニカル・ソフトスキル)
Webマーケティング業界への転職を成功させるためには、実務で直接的に役立つ「テクニカルスキル(専門スキル)」と、職種を問わず、ビジネスパーソンとして成果を出すために不可欠な「ソフトスキル(ポータブルスキル)」の両方を、バランス良く身につけておく必要があります。未経験者であっても、これらのスキルを学習し、ポテンシャルを示すことができれば、採用の可能性は大きく高まります。
Webマーケターの土台となるテクニカルスキル
これらは、Webマーケティングの各施策を実行する上で、直接的に必要となる専門的な知識や、ツールを使いこなす能力です。
- データ分析スキルとツール活用能力:
- Webマーケティングは、データに基づいて意思決定を行うことが基本です。施策の結果を客観的に評価し、次なる改善策を導き出すためのデータ分析能力は、全ての職種において必須のスキルです。
- 必須ツール:
- Googleアナリティクス (GA4): Webサイトのアクセス解析を行うための、最も基本的なツール。ユーザーがどこから来て、どのページを見て、どのくらい滞在したのかなどを分析します。
- Googleサーチコンソール: 検索エンジン上でのサイトのパフォーマンスを分析するツール。どのようなキーワードで検索されているか、検索順位などを把握します。
- Microsoft Excel / Googleスプレッドシート: データを集計・加工し、グラフを作成するための基本的なスキル。ピボットテーブルやVLOOKUP関数などが使えると、より評価が高まります。
- 各マーケティングチャネルの専門知識:
- 志望する職種に合わせて、特定のチャネルに関する深い知識を身につける必要があります。
- SEO: 検索エンジンのアルゴリズムの基本、キーワード選定の方法、コンテンツSEO、内部対策、外部対策に関する知識。
- Web広告: リスティング広告やSNS広告の仕組み、ターゲティング手法、入札戦略、効果測定指標(CPA, ROASなど)に関する知識。
- SNSマーケティング: 各SNSプラットフォームの特性、アルゴリズム、効果的なコンテンツフォーマットに関する知識。
- マーケティングの基礎理論:
- Webマーケティングは、あくまでマーケティング活動の一部です。3C分析、SWOT分析、ペルソナ設定、カスタマージャーニーマップといった、古典的ですが普遍的なマーケティングのフレームワークを理解していると、施策の立案に深みが増し、戦略的な思考ができる人材として評価されます。
未経験者のポテンシャルを示すソフトスキル
実務経験がない未経験者にとって、テクニカルスキル以上に、その人のポテンシャルや伸びしろを示す上で重要になるのが、ソフトスキルです。これらは、前職での経験などを通じてアピールすることが可能です。
- 論理的思考力 (ロジカルシンキング):
- データ分析の結果から、「なぜそうなったのか?」という原因を特定し、「では、次に何をすべきか?」という解決策を導き出す能力です。Webマーケティングは、この仮説検証の繰り返しです。「売上が落ちた」という事象に対して、「おそらく〇〇が原因なので、△△という施策を試すべきだ」と、筋道を立てて考え、説明できる力が求められます。
- コミュニケーション能力:
- Webマーケターの仕事は、一人で完結するものではありません。社内のエンジニアやデザイナー、営業担当者、そして社外のクライアントやパートナー企業など、多くの関係者と連携しながらプロジェクトを進める必要があります。相手の意図を正確に汲み取り、自分の考えを分かりやすく伝える能力は不可欠です。
- 学習意欲と主体性:
- Webマーケティングの世界は、技術やトレンドの移り変わりが非常に速い領域です。昨日まで常識だったことが、今日には通用しなくなることも珍しくありません。そのため、常に新しい知識やスキルを、自ら主体的に学び続ける姿勢が、何よりも重要視されます。面接では、「入社後に教えてもらう」という受け身の姿勢ではなく、「自分でここまで学んできた」「これからも学び続けたい」という能動的な意欲を示すことが、ポテンシャルをアピールする上で非常に効果的です。
- 数字に対するコミットメント:
- Webマーケティングは、施策の成果が売上やコンバージョン数といった、シビアな数字で評価される世界です。目標達成に向けて、数字にこだわり、粘り強く改善を続けられるか。このコミットメント力も、マーケターとして成果を出すための重要な資質です。
これらのソフトスキルは、業界を問わず、ビジネスで成果を上げてきた人であれば、必ず身についているはずです。前職での経験を、これらのスキルと結びつけて語ることで、未経験というハンデを乗り越え、自身の価値を効果的にアピールすることができるでしょう。
3. 独学での学習ロードマップ
Webマーケティングは、スクールに通わずとも、独学で十分に転職可能なレベルの知識とスキルを身につけることができる分野です。重要なのは、闇雲に情報をインプットするのではなく、体系的で、かつ実践を見据えた学習ロードマップに沿って、一歩ずつ着実にステップアップしていくことです。ここでは、未経験者がゼロからWebマーケターを目指すための、独学での学習プランを4つのステップで紹介します。
ステップ1:基礎知識のインプット(学習期間:〜1ヶ月)
まずは、Webマーケティングの全体像と、各分野の基本的な用語、考え方を広く浅くインプットし、「地図」を手に入れることから始めます。この段階では、完璧に理解しようとせず、まずは全体像を掴むことを目標とします。
- 学習内容:
- マーケティングの基礎: 3C分析、SWOT分析、ペルソナ、カスタマージャーニーといった、基本的なマーケティングフレームワーク。
- Webマーケティングの全体像: SEO、Web広告、SNSマーケティング、コンテンツマーケティングといった、主要な施策の目的と役割、それぞれの関係性を理解する。
- 主要な指標(KPI): セッション、CV、CVR、CPA、ROASといった、Webマーケティングで頻繁に使われる指標の意味を覚える。
- おすすめのアクション:
- 入門書を読む: Webマーケティングの全体像が分かりやすくまとめられた、初心者向けの書籍を1〜2冊通読する。(おすすめは後述)
- Webメディアを読む: Ferret、MarkeZine、Web担当者Forumといった、業界の主要なWebメディアの初心者向け記事を読み漁る。
ステップ2:専門分野の選択と深掘り(学習期間:1〜2ヶ月)
全体像を掴んだら、次に自分が最も興味を持った、あるいは自身の強みを活かせそうな専門分野を一つに絞り、その領域の知識を深く掘り下げていきます。あれもこれもと手を出すと、すべてが中途半端になります。「SEO」か「Web広告」のどちらかから始めるのが、キャリアパスを考えた上でも王道です。
- 学習内容(SEOを選んだ場合):
- Googleのアルゴリズムの基本理念(E-E-A-Tなど)。
- キーワード選定の方法(ツールを使った調査、検索意図の分析)。
- コンテンツSEOの具体的な手法(構成案の作り方、ライティングの基本)。
- 内部対策(タイトルタグ、見出し、内部リンクなど)と外部対策(被リンク)の基本。
- 学習内容(Web広告を選んだ場合):
- リスティング広告とSNS広告の仕組みの違い。
- Google広告、Yahoo!広告、Meta広告(Facebook/Instagram)の管理画面の基本的な構造。
- ターゲティング、入札戦略、キーワード選定、広告クリエイティブ作成の基本。
- おすすめのアクション:
- 専門書を読む: 選んだ分野に特化した、より専門的な書籍を読む。
- 公式情報を読み込む:
- SEO: Google検索セントラルの「SEOスターターガイド」は必読です。
- Web広告: Google広告のヘルプセンターや、スキルショップ(無料の学習プログラム)を活用する。
ステップ3:ツールの習得と実践(学習期間:2〜3ヶ月)
知識をインプットするだけでは、実務で使えるスキルにはなりません。このステップでは、実際に手を動かし、Webマーケターが日常的に使うツールに触れ、データを読み解く練習をします。ここが、独学における最も重要なフェーズです。
- 学習内容:
- Googleアナリティクス (GA4): デモアカウント(Googleが提供する、実際のECサイトのデータが入った練習用アカウント)を使い、レポートの見方、基本的な分析方法を学ぶ。
- Googleサーチコンソール: 自分のブログ(後述)を登録し、どのようなキーワードで流入があるか、クリック率はどうか、などを日々確認する。
- Googleキーワードプランナー: 広告アカウントを作成(費用はかからない)し、様々なキーワードの検索ボリュームや関連キーワードを調べる練習をする。
- おすすめのアクション:
- 個人ブログの開設・運用: WordPressで自分自身のブログを立ち上げます。これは、SEOの実践、GA4やサーチコンソールの学習、そして後述するポートフォリオ作成という、一石三鳥の最強の学習法です。
- SNSアカウントの分析: 自分が日常的に使っているSNSアカウントのインサイト機能を見て、どのような投稿がエンゲージメント(反応)が高いのかを分析してみる。
ステップ4:ポートフォリオ作成と転職活動準備(学習期間:3ヶ月〜)
学習した知識と実践経験を、採用担当者に「自分はこれだけのことができます」と証明するための「実績」として、ポートフォ-リオにまとめていきます。
- 学習内容:
- これまでの学習成果の言語化。
- 職務経歴書、履歴書の作成。
- 面接対策。
- おすすめのアクション:
- ブログの成果をまとめる: ブログのアクセス数(セッション)の推移、特定のキーワードで獲得した検索順位、そこから見えた考察などを、具体的な数値と共にスライド資料などにまとめる。
- SNS運用の成果をまとめる: もしSNSアカウントを戦略的に運用したのであれば、フォロワー数の推移、エンゲージメント率の変化、そしてそのために行った施策などをまとめる。
- 転職エージェントに登録する: 自身のスキルレベルや市場価値について、プロのキャリアアドバイザーから客観的な意見をもらう。
このロードマップはあくまで一例です。重要なのは、インプットとアウトプット(実践)を常にセットで行うこと。このサイクルを回し続けることが、独学を成功させるための最も確実な道筋です。
4. おすすめの書籍・Webサイト・スクール
独学でWebマーケティングを学ぶ上で、質の高い情報源にアクセスすることは、学習効率を大きく左右します。ここでは、未経験者がゼロから学ぶ際に、羅針盤となってくれる、定番の書籍、ブックマーク必須のWebサイト、そして独学が不安な人向けのWebマーケティングスクールを紹介します。
まず手に取るべき、おすすめ書籍3選
書籍は、体系的で信頼性の高い知識を、網羅的にインプットするのに最適です。まずは、この3冊から始めてみましょう。
- 『沈黙のWebマーケティング —Webマーケッター ボーンの逆襲—』(松尾 茂起 著)
- 特徴: 物語形式でWebマーケティングの全体像が学べる、初心者にとっての「最初の教科書」として圧倒的な支持を得ている一冊。SEO、コンテンツマーケティング、SNS活用といった、Webマーケティングの核心が、専門用語を極力排したストーリーの中で、非常に分かりやすく解説されています。何から学べばいいか分からない、という人は、まずこの本を読むことから始めましょう。
- 『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』(森岡 毅 著)
- 特徴: Webマーケティングの具体的な手法ではなく、その土台となる「マーケティングの本質」を学べる名著。危機的状況にあったUSJを、V字回復させた著者が、戦略思考や消費者理解の重要性を、実体験に基づいて熱く語ります。Webマーケティングは、あくまで目的を達成するための「手段」です。その「目的」をどう設定し、戦略を組み立てるかという、より上流の思考法をこの本で養うことができます。
- 『10年使えるSEOの基本』(土居 健太郎 著)
- 特徴: 小手先のテクニックではなく、Googleの理念に基づいた、普遍的で本質的なSEOの考え方を学べる一冊。アルゴリズムがどれだけ変化しても変わらない、「ユーザーにとって価値のあるコンテンツとは何か」という問いに、深く向き合うきっかけを与えてくれます。SEOを専門分野として深掘りしていきたいと考えるなら、必読の書です。
ブックマーク必須!最新情報をキャッチアップするWebサイト
Webマーケティングの世界は日進月歩です。書籍で得た基礎知識を補い、常に最新の情報をキャッチアップするために、以下のWebサイトを定期的に巡回する習慣をつけましょう。
- Google検索セントラル ブログ: Googleが公式に発信する、検索アルゴリズムやSEOに関する一次情報。コアアップデートの情報なども、まずここで発表されます。
- ferret(フェレット): Webマーケティングに関する幅広いテーマを、初心者にも分かりやすく解説している国内最大級のメディア。学習初期の知識習得に最適です。
- MarkeZine(マーケジン): 業界の最新ニュース、企業の成功事例、専門家へのインタビューなど、より実践的で専門性の高い情報が充実しています。業界のトレンドを把握するのに役立ちます。
- Web担当者Forum: 企業のWeb担当者向けに、SEO、広告、SNS、サイト改善など、日々の業務に役立つ実践的なノウハウが豊富に掲載されています。
独学が不安な人へ:Webマーケティングスクールの選択肢
「一人で学習を続ける自信がない」「体系的なカリキュラムで、効率的に学びたい」「転職サポートまでしてほしい」というニーズを持つ人にとって、Webマーケティングスクールは有効な選択肢となります。ただし、決して安くはない投資となるため、慎重な比較検討が必要です。
スクール選びの比較ポイント
- 学習形式: オンライン完結型か、通学が必要か。自分のライフスタイルに合ったものを選びましょう。
- カリキュラムの内容: SEO、広告運用、SNSなど、自分が学びたい分野を深く学べるか。座学だけでなく、実際に広告を出稿してみるなどの実践的なカリキュラムが充実しているかが重要です。
- サポート体制: 現役マーケターの講師に、いつでも質問できるメンター制度があるか。学習の進捗管理や、モチベーション維持のサポートはあるか。
- 転職サポートの有無と実績: 専属のキャリアアドバイザーによる、履歴書添削、面接対策、求人紹介といった転職サポートがあるか。卒業生の転職実績も重要な判断材料です。
- 料金: 総額はいくらか。分割払いは可能か。教育訓練給付制度の対象となる講座であれば、費用の一部が国から補助される場合もあります。
代表的なWebマーケティングスクール
- マケキャン by [疑わしいリンクは削除されました]: 転職保証付きのコースもあり、未経験からの転職支援に非常に強い。実践的なグループワークが特徴。
- Wannabe Academy(ワナビーアカデミー): 実際の企業のWebマーケティングを体験できる「実務研修」が魅力。卒業後の案件紹介保証など、副業・フリーランス支援も手厚い。
- TechAcademy(テックアカデミー): 短期間で集中的に学べるオンラインスクール。現役マーケターのメンターによるマンツーマンサポートが受けられる。
無料カウンセリングを実施しているスクールも多いので、まずは複数のスクールの話を聞いてみて、自分に合った場所をじっくりと見極めることをお勧めします。
5. 資格は有利になる?(Web解析士など)
未経験からWebマーケティング業界への転職を目指す際、多くの人が「何か資格を取っておいた方が有利になるのではないか?」と考えます。結論から言うと、Webマーケティング業界において、医師や弁護士のような「ないと仕事ができない」必須の資格は存在しません。しかし、特定の資格を取得することは、転職活動においていくつかの間接的なメリットをもたらす可能性があります。資格そのものが内定を保証するわけではありませんが、戦略的に活用すれば、未経験というハンデを補うための一助となり得ます。
資格取得がもたらす3つのメリット
- 体系的な知識の証明になる:
- 未経験者が「独学で勉強してきました」と口で言うだけでは、その知識がどの程度のレベルなのか、採用担当者には伝わりにくいものです。資格を取得するということは、特定の知識体系を、試験に合格できるレベルまで網羅的に学習したという客観的な証明になります。これにより、学習の成果を具体的に示すことができます。
- 学習意欲と主体性のPRになる:
- 資格取得には、相応の学習時間と努力が必要です。未経験の分野に対して、自ら時間とお金を投資して資格を取得したという事実は、その業界に対する高い関心と、主体的に学ぶ姿勢(学習意欲)を持っていることの、何よりの証拠となります。これは、ポテンシャルを重視される未経験者の採用において、非常にポジティブなアピールポイントとなります。
- 学習のペースメーカーになる:
- 独学では、学習範囲が広すぎて「何から手をつければいいか分からない」「モチベーションが続かない」といった壁にぶつかりがちです。資格試験という明確なゴール(試験日)と、定められたシラバス(学習範囲)があることで、学習のペースメーカーとなり、挫折することなく、効率的に知識を習得する助けとなります。
転職でアピールしやすい、おすすめの資格
数あるWebマーケティング関連資格の中でも、未経験者が最初に目指す上で、特におすすめの資格を3つ紹介します。
- ウェブ解析士認定講座
- 概要: 一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)が主催する、Web解析の知識とスキルを問う資格。Webマーケティングの基本的な用語から、Googleアナリティクスを用いたデータ分析の手法まで、事業の成果に繋げるためのWeb解析スキルを体系的に学びます。
- なぜおすすめか: Webマーケティングの「地図」とも言える、全体像を網羅的に学べるため、未経験者が最初に学ぶべき資格として最適です。データに基づいた思考法の基礎が身につき、面接で「Webマーケティングを体系的に理解している」ことをアピールできます。難易度もそれほど高くなく、挑戦しやすいのも魅力です。
- Google広告 認定資格
- 概要: Googleが公式に提供する、Google広告に関する専門知識を証明する認定資格。「検索広告」「ディスプレイ広告」「動画広告」など、プロダクトごとに複数の認定資格が存在します。Googleの学習プラットフォーム「スキルショップ」で、無料で学習・受験できます。
- なぜおすすめか: Web広告運用担当者を目指すのであれば、取得しておいて損はありません。Googleの公式資格であるため、その信頼性は高く、広告運用の基本的な知識を持っていることの直接的な証明になります。無料で取得できるため、コストがかからない点も大きなメリットです。
- Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
- 概要: Googleが公式に提供する、Googleアナリティクス(GA4)に関する習熟度を証明する認定資格。こちらも「スキルショップ」で無料で学習・受験できます。
- なぜおすすめか: データ分析スキルは、全てのWebマーケターに必須の土台となるスキルです。この資格を持っていることで、Webサイトのアクセス解析を行うための基本的な知識とスキルがあることを、客観的に示すことができます。
資格を最大限に活かすための注意点
- 資格取得が目的化しない:
- 最も重要な注意点は、「資格を取ること」自体をゴールにしないことです。資格は、あくまで知識を証明するための一つの手段に過ぎません。採用担当者が本当に知りたいのは、「その知識を使って、何ができるのか」「どのようにビジネスに貢献できるのか」です。
- 実践経験とセットでアピールする:
- 資格の価値を最大化するためには、「資格取得の過程で学んだ知識を、このように実践で活かしました」と、具体的なエピソードと共に語ることが不可欠です。
- 例: 「ウェブ解析士の学習を通じて、アクセス解析の重要性を学び、自身のブログでGoogleアナリティクスを導入しました。ユーザーの流入経路を分析した結果、特定の記事からの直帰率が高いことが判明したため、記事の構成を見直し、関連ページへの内部リンクを設置したところ、直帰率が20%改善し、回遊率が向上しました。」
このように、資格という「知識の証明」と、ブログ運用などの「実践の証明」を組み合わせることで、あなたの言葉の説得力は飛躍的に高まります。資格は、あなたの努力を可視化し、転職活動を有利に進めるための、心強い「武器」の一つとなり得るのです。
6. ポートフォリオとしてブログやSNSを運用する
未経験からWebマーケティング業界への転職活動において、採用担当者が最も懸念するのは「この候補者は、知識はあるかもしれないが、本当に実務で成果を出せるのだろうか?」という点です。この懸念を払拭し、自身のスキルとポテンシャルを最も雄弁に物語るもの、それが「ポートフォリオ」です。
Webデザイナーやエンジニアとは異なり、Webマーケターの成果物は目に見えにくいですが、個人で運用するブログやSNSアカウントは、あなたの思考プロセスと実践能力を具体的に示す、最強のポートフォリオとなり得ます。
なぜブログ・SNS運用が最強のポートフォリオになるのか
職務経歴書に書かれた言葉だけでは、あなたの本当の実力は伝わりません。しかし、実際に運用しているブログやSNSを見せれば、採用担当者はそこから多くの情報を読み取ることができます。
- 実践的なスキルの証明:
- ブログ運用: WordPressでブログを立ち上げ、SEOを意識した記事を書き、Googleアナリティクスで分析し、改善を繰り返す。この一連のプロセスは、コンテンツマーケティングやSEO担当者の実務そのものです。あなたが運用するブログは、「私はこれだけのことができます」という、言葉以上の動かぬ証拠となります。
- SNS運用: 特定のテーマでSNSアカウントを立ち上げ、ターゲットユーザーを設定し、エンゲージメントを高めるための投稿を企画・実行する。これは、SNSマーケティング担当者の実践的なスキルを証明します。
- 学習意欲と主体性の発露:
- 誰に言われるでもなく、自らの時間と労力を投じてメディアを運用しているという事実そのものが、Webマーケティングに対する高い熱意と、主体的に学ぶ姿勢を持っていることの、何よりの証明です。これは、未経験者のポテンシャルを評価する上で、非常に大きなプラス材料となります。
- 思考のプロセスを可視化:
- ポートフォリオとして提示する際には、単に「ブログをやっています」とURLを見せるだけでは不十分です。「どのような目的で、どのようなターゲットに対して、どのような戦略で運用し、その結果どうなったか」という、あなたの思考のプロセスを、具体的な数値と共に説明することが重要です。この「戦略的に考え、実行し、分析できる能力」こそ、企業がマーケターに求める核心的なスキルです。
ポートフォリオとして評価されるブログの作り方
- WordPressで開設する:
- 無料のブログサービスではなく、WordPressで、独自ドメインを取得してブログを開設することを強く推奨します。WordPressは、実際のビジネス現場で最も広く使われているCMSであり、その利用経験自体がスキルとして評価されます。
- テーマを一つに絞り込む:
- 日々の出来事を綴る雑記ブログではなく、特定のテーマに特化した「専門ブログ」を運営しましょう。テーマは、あなた自身の興味関心がある分野や、前職の経験が活かせる分野が望ましいです。テーマを絞ることで、専門性が高まり、SEOでも評価されやすくなります。
- SEOを意識した記事作成:
- 少なくとも10〜20本程度の記事を作成します。その際には、キーワード選定、検索意図の分析、構成案の作成といった、SEOコンテンツ制作の基本に沿って、質の高い記事を作成することを心掛けましょう。
- データを計測・分析する:
- GoogleアナリティクスとGoogleサーチコンソールを必ず導入し、日々のアクセス数、流入キーワード、検索順位などを定点観測します。
ポートフォリオの見せ方・伝え方
面接や書類選考では、ブログやSNSのURLを提示すると共に、その成果をまとめた資料(A4数枚程度のスライドなど)を別途用意すると、より効果的です。
- ポートフォリオ資料に盛り込むべき項目:
- サイト(アカウント)概要: サイト名、URL、コンセプト、ターゲットユーザー(ペルソナ)。
- 目的と目標(KGI/KPI): 何を目的として、どのような数値目標を立てて運用したか。
- 実施した施策: SEO対策、コンテンツ企画、SNSでの拡散戦略など、具体的にどのような工夫を行ったか。
- 成果(実績):
- 定量的な成果: 月間PV(アクセス数)の推移、特定のキーワードでの検索順位(例:「〇〇 〇〇」で検索1位を獲得)、コンバージョン数(もしアフィリエイトなどを設置していれば、その収益額やCVR)。
- 定性的な成果: どのような考察が得られたか、どのようなスキルが身についたか。
「ブログ運用を通じて、仮説検証のサイクルを回すことの重要性を学びました。この経験は、貴社での〇〇という業務において、必ず活かせると考えております」
このように、ポートフォリオでの経験を、入社後の貢献へと結びつけてアピールすることが、採用を勝ち取るための最後の鍵となります。自らの手でメディアを育てる経験は、何物にも代えがたい、あなたの資産です。
7. 未経験者歓迎の求人の見つけ方
Webマーケティングの学習を進め、ポートフォリオの準備も整ったら、いよいよ本格的な転職活動のステージに入ります。未経験者にとって、最初の関門となるのが「応募できる求人を、いかにして効率的に見つけ出すか」です。やみくもに応募しても、経験者向けの求人では書類選考すら通過しない可能性があります。ここでは、未経験者を積極的に採用している企業の求人を見つけ出し、質の高い応募に繋げるための具体的な方法と、その際の注意点を解説します。
「未経験者歓迎」の求人が多い業界・企業の特徴
まず、どのような業界や企業が、未経験者を求めているのか、その背景を理解しておきましょう。
- Web広告代理店:
- Webマーケティング業界の中で、最も未経験者採用に積極的なのが広告代理店です。特に、若手(第二新卒など)をポテンシャル重視で採用し、入社後にOJTや研修を通じて一人前の広告運用者に育成するという文化が根付いています。多様な業界のクライアントを担当するため、短期間で幅広い知識と経験を積むことができます。
- 急成長中のスタートアップ・ベンチャー企業:
- 事業が急拡大しており、人手が常に不足している企業です。完成されたスキルよりも、学習意欲の高さ、カルチャーへのフィット、そして共に成長していこうという情熱が重視される傾向があります。一人の担当者が幅広い業務を兼任することも多く、大変ですが、その分成長の機会も豊富です。
- 事業会社(特に中小企業):
- これまでWebマーケティングに本格的に取り組んでこなかったが、これから力を入れていきたいと考えている事業会社です。社内にノウハウがないため、Webマーケティング部門の立ち上げメンバーとして、未経験でも意欲の高い人材を求めるケースがあります。
効果的な求人の探し方
- 転職エージェントの活用(最もおすすめ):
- 未経験者の転職活動において、転職エージェントの活用はほぼ必須と言えます。
- メリット:
- 非公開求人の紹介: Webサイトには公開されていない、未経験者歓迎の優良求人を紹介してもらえる可能性があります。
- 客観的なアドバイス: あなたのスキルや経歴から、どのような企業が合っているか、プロの視点で客観的なアドバイスをもらえます。
- 書類添削・面接対策: Webマーケティング業界に特化した、職務経歴書の書き方や、面接での効果的なアピール方法について、具体的な指導を受けられます。
- 企業との交渉代行: 給与などの条件交渉を代行してくれます。
- おすすめのエージェント: 大手の総合型エージェント(リクルートエージェント、dodaなど)と、IT/Web業界に特化した特化型エージェント(マイナビIT AGENT、Geeklyなど)の両方に登録し、多角的に情報を集めるのが良いでしょう。
- 転職サイトの活用:
- 自分のペースで求人を探したい場合は、転職サイトが便利です。
- 探し方のコツ:
- キーワード検索: 「Webマーケティング 未経験」「広告運用 アシスタント」「第二新卒歓迎」といったキーワードで検索します。
- スカウト機能を活用: 自分の経歴や希望条件を登録しておくと、興味を持った企業から直接スカウトが届くことがあります。
- 企業の採用ページやWantedlyの活用:
- 既に応募したい企業が明確な場合は、その企業の採用ページから直接応募(ダイレクトリクルーティング)するのも有効です。
- Wantedlyは、「共感」を軸としたビジネスSNSで、特にスタートアップやベンチャー企業の求人が豊富です。企業のビジョンやカルチャーを深く理解した上で、「話を聞きに行きたい」という形で、カジュアルに応募できるのが特徴です。
「未経験歓迎」の求人を見極める際の注意点
「未経験歓迎」と書かれていても、そのすべてが優良求人とは限りません。応募する前に、その「言葉の裏」を読み解く視点を持つことが重要です。
- 研修制度の有無を確認する:
- 本当に未経験者を育てる気がある企業は、具体的な研修制度や、OJTの体制について、求人票に明記していることが多いです。研修制度が全くない場合、入社後に放置され、自力で学ぶしかない過酷な環境である可能性も覚悟する必要があります。
- 具体的な仕事内容を確認する:
- 「Webマーケティング担当」という職種名でも、実際の仕事内容は、データ入力やテレアポといった、マーケティングとは言い難い単純作業が中心であるケースも存在します。求人票の「具体的な業務内容」を熟読し、自分がやりたいことと合致しているかを確認しましょう。
- 企業の口コミサイトを参考にする:
- OpenWorkや転職会議といった、現役社員や元社員による企業の口コミサイトも、社内のリアルな雰囲気や、研修制度の実態を知る上で参考になります。ただし、ネガティブな意見に偏りがちな側面もあるため、あくまで参考情報として、多角的に判断することが重要です。
焦って手当たり次第に応募するのではなく、一社一社、企業研究を丁寧に行い、自分のキャリアプランと合致する、本当に成長できる環境を見つけ出すこと。それが、未経験からの転職を成功させるための、最後の、そして最も重要なステップです。
8. 面接でアピールすべきポイント
書類選考を通過し、いよいよ迎える面接の場。ここは、未経験者にとって最大のチャンスであり、同時に最大の難関でもあります。実務経験がないというハンデを乗り越え、採用担当者に「この人を採用したい」「この人なら、入社後に活躍してくれそうだ」と確信させるためには、情熱と論理を組み合わせた、戦略的な自己アピールが不可欠です。
面接官は、あなたのスキルや知識だけでなく、そのポテンシャル、人柄、そして自社のカルチャーとのフィット感を、対話を通じて総合的に見極めようとしています。
面接官が未経験者に確認したい3つのこと
面接官の質問の意図は、突き詰めれば以下の3点に集約されます。これらの問いに対して、あなた自身の言葉で、説得力のある答えを用意しておくことが、面接対策の核となります。
- なぜ、Webマーケティングなのか?(志望動機の深さ):
- なぜ、数ある職種の中から、Webマーケティングを選んだのか。その理由が、憧れやイメージといった漠然としたものではなく、あなた自身の原体験や、強い問題意識に基づいているかを、面接官は見ています。
- なぜ、この会社なのか?(企業理解と貢献意欲):
- なぜ、同業の他の会社ではなく、「この会社」で働きたいのか。企業の事業内容、サービス、理念、そしてカルチャーをどれだけ深く理解し、そこに共感しているか。そして、入社後にどのように貢献したいと考えているかが問われます。
- この人は、入社後に成長できるか?(ポテンシャル):
- 現時点でのスキルは不足していても、自ら学び、成長していけるだけの学習意欲、論理的思考力、そして主体性を持っているか。過去の経験(前職など)から、そのポテンシャルを判断しようとします。
頻出質問と効果的な回答例
これらの意図を踏まえ、具体的な頻出質問への対策を練りましょう。
質問1:「なぜWebマーケティング業界に興味を持ったのですか?」
- NGな回答: 「将来性があると感じたからです」「Webが好きだからです」
- → 抽象的で、誰にでも言える答え。熱意が伝わりません。
- 効果的な回答のポイント:
- 自身の「原体験」と結びつける: 前職での経験などを通じて、Webマーケティングの重要性や可能性を痛感したエピソードを語ります。
- 具体例: 「前職の営業で、良い商品なのに、なかなかお客様に知ってもらえないという課題を感じていました。その際、Web広告の運用を少し試したところ、これまでアプローチできなかった層から問い合わせがあり、Webの力でビジネスの可能性を広げられることに大きな衝撃と魅力を感じました。この経験から、より専門的に、データに基づいて顧客に価値を届けるWebマーケティングのプロフェッショナルになりたいと強く思うようになりました。」
質問2:「当社を志望した理由は何ですか?」
- NGな回答: 「貴社の理念に共感しました」「成長企業だからです」
- → 具体性がなく、他の会社にも言えてしまう。企業研究が浅いと思われます。
- 効果的な回答のポイント:
- 具体的な事業内容やサービスに言及する: その企業のどの事業の、どのような点に魅力を感じたのかを、具体的に語ります。競合他社と比較して、その企業ならではの強みを述べられると、より説得力が増します。
- 貢献の意思を示す: 自身の強み(前職で培ったスキルや、独学で得た知識)と、企業の事業を結びつけ、どのように貢献できるかを具体的に提示します。
- 具体例: 「貴社の〇〇というサービスに、特に将来性を感じております。特に、競合のA社やB社と比較して、△△という点で独自の強みがあると考えております。私が独学で運用しているブログでは、まさにこの△△に関心のある層からのアクセスが多く、貴社のターゲット顧客のインサイトを深く理解していると自負しております。この知見を活かし、まずはSEOの側面から、〇〇のさらなるグロースに貢献したいと考えております。」
質問3:「Webマーケティングのために、どのような学習をされてきましたか?」
- NGな回答: 「本を数冊読みました」
- → 受け身で、行動が伴っていない印象を与えます。
- 効果的な回答のポイント:
- インプットとアウトプットをセットで語る: 何を学んだか(インプット)だけでなく、その知識をどう実践したか(アウトプット)を、具体的なエピソードと共に語ります。
- ポートフォリオを活用する: 「はい、〇〇というブログを運営しておりまして…」と、ポートフォリオを提示しながら、そこで行った施策、得られた成果、そして学んだ考察を、具体的な数値と共に説明します。これ以上に説得力のある答えはありません。
「逆質問」で熱意とポテンシャルを示す
面接の最後に必ず聞かれる「何か質問はありますか?」という逆質問の時間は、受け身の評価の場から、能動的に自己アピールできる絶好のチャンスです。
- 避けるべき質問: 給与や福利厚生に関する質問(最初の面接では避けるのが無難)、調べれば分かるような質問。
- 効果的な質問例:
- 入社後の活躍をイメージさせる質問: 「もし採用いただけた場合、入社後、早期に活躍するために、今から準備しておくべきことはありますでしょうか?」
- 課題解決への意欲を示す質問: 「現在、マーケティングチームが抱えていらっしゃる、最も大きな課題は何だとお考えですか?」
- 学習意欲を示す質問: 「貴社で活躍されているマーケターの方々に、共通するスキルやスタンスはございますか?」
面接は、自分を売り込むプレゼンテーションの場です。徹底的な自己分析と企業研究を基に、自信と熱意を持って、未来の貢献を語ること。それが、未経験からの転職を成功させるための、王道のアプローチです。
9. 事業会社と支援会社、どちらを選ぶべきか
Webマーケティング業界への転職を考える際、未経験者が直面する大きなキャリアの岐路、それが「事業会社」で働くか、「支援会社(広告代理店や制作会社など)」で働くか、という選択です。この二つは、同じWebマーケティングの仕事であっても、その働き方、求められるスキル、そして得られる経験が大きく異なります。どちらが良い・悪いという話ではなく、あなた自身のキャリアプランや志向性に、どちらがよりフィットするかを見極めることが、後悔のないキャリア選択をする上で極めて重要です。
支援会社(Agency-Side)で働くこと
- 概要:
- 広告代理店、Web制作会社、SEOコンサルティング会社など、クライアント(顧客)企業のWebマーケティング活動を、専門家として支援する立場です。様々な業界の、複数のクライアントを同時に担当することが一般的です。
- メリット:
- 短期間で、圧倒的な経験と知識が身につく:
- 多種多様な業界(BtoC、BtoB、EC、不動産、金融など)、様々な予算規模、異なる課題を持つ複数のクライアントを同時に担当します。これにより、短期間で、幅広いマーケティング手法や、各業界のセオリーを実践的に学ぶことができます。未経験から、最速で一人前のマーケターとしての基礎体力をつけたい人にとっては、最高の環境と言えます。
- 最新の知識・トレンドに触れやすい:
- 支援会社は、常に最新のマーケティング手法やツールを駆使し、クライアントに価値を提供することが求められます。そのため、社内での勉強会や、Googleなどの媒体社からの情報共有も活発で、常に業界の最前線に身を置くことができます。
- 専門性を深く追求できる:
- SEO、広告運用、SNSといった、特定の領域に特化したチーム編成がされていることが多く、一つの分野のスペシャリストとしてのキャリアを築きやすい環境です。
- 短期間で、圧倒的な経験と知識が身につく:
- デメリット:
- あくまで「支援」であり、事業の当事者ではない:
- 最終的な意思決定権はクライアントにあるため、自分が最適だと考える施策が、クライアントの都合で実行できない、といったジレンマを感じることがあります。
- 業務が多忙になりがち:
- 複数のクライアントを担当するため、業務量が多く、労働時間が長くなる傾向があります。クライアントの都合に合わせた、タイトなスケジュール管理能力が求められます。
- 成果へのプレッシャー:
- クライアントから費用をもらっている以上、常に短期的な成果を出すことを求められます。
- あくまで「支援」であり、事業の当事者ではない:
- こんな人におすすめ:
- 「まずは、とにかく早く、広く、深く、Webマーケティングのスキルを身につけたい」
- 「特定の分野のスペシャリストになりたい」
- 「様々な業界に関わり、自分の知識の幅を広げたい」
事業会社(In-House)で働くこと
- 概要:
- メーカー、小売、ITサービス、メディアなど、自社の製品やサービスを成長させるために、その会社のマーケティング担当者として働く立場です。支援会社とは異なり、一つのブランドに深く、そして長期的に関わります。
- メリット:
- 事業の当事者として、深くコミットできる:
- 自社の製品やサービスに愛着を持ち、その成長を最初から最後まで見届けることができます。マーケティング施策が、売上や会社の成長にどう繋がったのかを、ダイレクトに実感できる。この「当事者意識」と「手触り感」は、事業会社で働くことの最大のやりがいです。
- 幅広い業務範囲と裁量:
- 中小企業やスタートアップの場合、Webマーケティングだけでなく、製品企画、営業戦略、広報、顧客サポートなど、マーケティングの上流から下流まで、幅広い業務に携われる可能性があります。裁量が大きく、自分のアイデアを形にしやすい環境です。
- ワークライフバランスが比較的取りやすい:
- 代理店のように、複数のクライアントの都合に振り回されることが少ないため、比較的、自身のペースで仕事を進めやすく、ワークライフバランスを保ちやすい傾向があります。
- 事業の当事者として、深くコミットできる:
- デメリット:
- 得られる経験が、その業界・会社に限定される:
- 一つのブランドに深く関わる分、経験できるマーケティング手法や、扱える予算規模が限定される可能性があります。良くも悪くも、その会社の「常識」が、自分のスキルの基準になりがちです。
- 最新トレンドへの感度が鈍る可能性がある:
- 支援会社に比べ、外部からの新しい情報が入りにくく、意識的に学ばないと、知識が陳腐化してしまうリスクがあります。
- 社内に相談相手がいない場合がある:
- 特に、Webマーケティング部門の立ち上げフェーズの場合、社内に専門知識を持つ先輩や同僚がおらず、一人で試行錯誤しなければならない孤独な状況に陥る可能性があります。
- 得られる経験が、その業界・会社に限定される:
- こんな人におすすめ:
- 「特定のブランドやサービスを、自分の手で育てていきたい」
- 「マーケティングだけでなく、事業全体に関わりたい」
- 「腰を据えて、長期的な視点で成果を追求したい」
どちらの選択が正解ということはありません。あなたのキャリアの最初のステップとして、「幅と速さ」を求めるなら支援会社、「深さと当事者意識」を求めるなら事業会社、という一つの判断軸で、自身のキャリアプランと照らし合わせてみてください。
10. これからのWebマーケティング人材に求められること
Webマーケティングの世界は、AI(人工知能)の進化、Cookie規制に代表されるプライバシー保護の潮流、そして消費者の価値観の多様化といった、大きな地殻変動の真っ只中にあります。このような変化の激しい時代において、単にツールを操作できる、あるいは特定の施策を実行できるというだけでは、マーケターとしての価値を維持し続けることは困難です。
これからの時代に、真に求められ、生き残り、そして市場価値を高めていくWebマーケティング人材とは、どのようなスキルとマインドセットを持つべきなのでしょうか。
AIとの「共存」と「協業」が前提となる
生成AIの台頭により、「Webマーケターの仕事はAIに奪われるのではないか?」という議論が盛んに行われています。結論から言えば、単純作業や、データに基づくパターン分析といった領域は、間違いなくAIに代替されていくでしょう。
例えば、広告文の大量生成、SEO記事の構成案作成、膨大なデータの集計・分析といった作業は、AIの最も得意とするところです。
しかし、これは決して悲観すべきことではありません。むしろ、これまでマーケターが多くの時間を費やしてきた「作業」から解放され、より創造的で、人間にしかできない本質的な業務に集中できるようになる、という大きなチャンスと捉えるべきです。
- これからのマーケターの役割:
- AIを使いこなす「司令塔」: どのような目的で、どのようなデータをAIに与え、どのようなアウトプットを生成させるか。AIを、自身の能力を拡張するための優秀な「アシスタント」や「壁打ち相手」として、戦略的に使いこなす能力が求められます。
- 戦略を立て、意思決定する「頭脳」: AIが提示したデータや選択肢の中から、ビジネスの目的と照らし合わせて、最終的な戦略を策定し、意思決定を下すのは、依然として人間の役割です。
- 人の心を動かす「クリエイティビティ」: AIは過去のデータから最適解を導くことは得意ですが、ゼロから人の心を揺さぶるような、共感を呼ぶブランドストーリーや、斬新なクリエイティブを生み出すことは、まだ人間の領域です。
AIを脅威と捉えるのではなく、自身のスキルセットの一部として積極的に学び、取り入れていく姿勢が、これからのマーケターの必須条件となります。
専門性を深めつつ、越境する「T字型人材」
Webマーケティングの各領域(SEO, 広告, SNSなど)は、ますます専門化・深化しています。そのため、まずは一つの分野で、誰にも負けない専門性(T字の縦棒)を徹底的に磨き上げることが、自身のキャリアの軸を築く上で不可欠です。
しかし、これからの時代は、それだけでは不十分です。各施策は独立しているのではなく、相互に連携し合って、初めてその効果を最大化できます。SEOの知見はSNSのハッシュタグ戦略に活かせますし、広告で得られた顧客インサイトは、コンテンツマーケティングの企画に反映できます。
したがって、自身の専門領域を持ちつつも、隣接する他のマーケティング領域や、さらには営業、プロダクト開発、データサイエンスといった、他の職種の知識(T字の横棒)にもアンテナを張り、越境し、連携していく能力が求められます。
特に、顧客データを統合的に分析し、施策全体のROIを最適化していく「マーケティングアナリスト」や、マーケティングオートメーション(MA)ツールなどを駆使して、テクノロジーでマーケティングを効率化する「マーケティングテクノロジスト」といった、専門性と他領域の知見を掛け合わせた人材の需要は、今後ますます高まっていくでしょう。
変わらない、マーケティングの本質への回帰
ツールやプラットフォームがどれだけ変わろうとも、決して変わらないものがあります。それは、マーケティングの本質です。
- 顧客を、深く、深く、理解すること:
- データやアンケートから得られる定量的な情報だけでなく、顧客一人ひとりのインサイト(深層心理)、悩み、喜び、そして彼らが生きる文化的・社会的文脈までを、共感を持って深く理解しようとする姿勢。
- 倫理観と誠実さ:
- プライバシーへの配慮がますます求められる中で、顧客のデータを、敬意と倫理観を持って取り扱うこと。短期的な利益のために、顧客を欺いたり、誤解させたりするような手法に手を染めず、長期的な信頼関係を築くことを最優先する、誠実な姿勢。
- ビジネス全体を俯瞰する視点:
- 自身の担当するマーケティング施策が、単なる数字の遊びではなく、会社の売上や利益、そして社会にどのような価値をもたらしているのかを、常に意識する、経営的な視点。
これからのWebマーケティング人材に求められるのは、AIという最新の翼を自在に操りながらも、その足は常に「顧客理解」と「ビジネス貢献」という、マーケティングの揺るぎない大地に根差している、そんなハイブリッドな存在です。変化を恐れず、学び続ける。その姿勢こそが、未来のマーケターにとって、最も価値のあるスキルとなるのです。
まとめ
未経験からWebマーケティング業界への転職は、決して平坦な道のりではありません。しかし、それは、正しい知識と戦略、そして何よりも強い意志があれば、誰にでも切り拓くことのできる、可能性に満ちた道でもあります。
本稿で解説してきたように、その第一歩は、業界の職種や仕事内容を正しく理解し、自らが目指すべき方向性を定めることから始まります。そして、その目標に向かって、テクニカルスキルとソフトスキルの両面から、独学やスクールといった手段を通じて、着実に学習を積み重ねていく。その努力の証として、ブログやSNSといった実践的なポートフォリオを構築することが、未経験というハンデを乗り越えるための、最も強力な武器となります。
転職活動のフェーズでは、未経験者を歓迎する求人を戦略的に見つけ出し、面接の場では、これまでの学習成果と、未来へのポテンシャルを、あなた自身の言葉で、情熱と論理を持って語ること。事業会社か、支援会社か、というキャリアの選択も、自身の長期的なキャリアプランと照らし合わせて、慎重に判断する必要があります。
AIの台頭など、変化の激しい時代だからこそ、小手先のテクニックではなく、「顧客を深く理解し、データに基づいて価値を届け、誠実に関係性を築く」という、マーケティングの本質を追求し続ける人材が、これからは一層強く求められます。
このガイドが、あなたの新しいキャリアへの挑戦を後押しし、その輝かしい第一歩を踏み出すための、確かな一助となることを心から願っています。
執筆者
畔栁 洋志
株式会社TROBZ 代表取締役
愛知県岡崎市出身。大学卒業後、タイ・バンコクに渡り日本人学校で3年間従事。帰国後はデジタルマーケティングのベンチャー企業に参画し、新規部署の立ち上げや事業開発に携わる。2024年に株式会社TROBZを創業しLocina MEOやフォーカスSEOをリリース。SEO検定1級保有
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