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2025/10/23

再生数が劇的に変わる!プロが教える縦型動画の構図と撮影術10選

再生数が劇的に変わる!プロが教える縦型動画の構図と撮影術10選

「渾身のリール動画をアップしたのに、なぜか再生数が伸びない…」「TikTokでおすすめに乗りたいけど、どう撮ればいいか分からない」

スマートフォンの普及で誰もが動画クリエイターになれる時代。しかし、多くの人が「なんとなく」で撮影してしまい、その魅力を最大限に伝えきれていないのが現状です。私自身、Webマーケティングの世界で数多くの動画コンテンツに携わってきましたが、キャリアの初期には、ただ情報を詰め込んだだけの動画を作り、ユーザーの反応の薄さに何度も頭を抱えました。なぜ、あの人の動画は惹きつけられるのに、自分の動画はすぐにスワイプされてしまうのだろう、と。

その大きな違いの一つが、視聴者の視線を操る「構図」と「撮影の基本」を理解しているかどうか、という点にあります。これは、高価な機材がなくても、今あなたの手の中にあるスマートフォン一つで実践できる、最も強力な武器なのです。プロのクリエイターは、感覚的にやっているように見えて、実はこれらの鉄則を無意識レベルで使いこなしています。これから、私が現場で培ってきた知見や、数々の失敗から学んだ具体的なテクニックを交えながら、あなたの動画を「その他大勢」から「つい見てしまう一本」へと変貌させるための秘訣を、余すところなく解説していきます。

1. 被写体を中心に配置する「日の丸構図」が有効

「構図」と聞くと、なんだか小難しく感じてしまうかもしれませんね。ですが、まず最初にマスターすべき、そして最も強力なテクニックがこの「日の丸構図」です。その名の通り、日本の国旗のように、伝えたい主役を画面のど真ん中に配置する。ただ、それだけ。驚くほどシンプルですが、これが縦型動画の世界では絶大な威力を発揮します。

考えてみてください。InstagramのリールやTikTokのフィードを、私たちはものすごい速さでスワイプしながら見ていますよね。一つの動画に与えられる注目時間は、わずか1秒、いや0.5秒もないかもしれません。そんな刹那の戦場において、凝った複雑な構図は、視聴者がその意図を理解する前に指で弾かれてしまう運命にあります。

その点、日の丸構図は、見た瞬間に「この動画が何について語っているのか」が一目瞭然です。新商品のコスメ、湯気の立つラーメン、笑顔の人物…。主役が中央にいることで、視聴者は瞬時に情報をキャッチし、その動画を見るべきか否かを判断できます。 この「分かりやすさ」こそが、高速でコンテンツが消費される縦型動画における、何よりの正義なのです。

私自身、駆け出しの頃はつい「オシャレに見せたい」という気持ちが先行し、被写体を画面の端に寄せたアーティスティックな動画ばかり作っていました。しかし、アナリティクスを分析すると、決まって冒頭1秒での離脱率が非常に高かったのです。そこで原点に立ち返り、あるクライアントの新商品リップを、真正面からど真ん中に据えただけのシンプルな動画を投稿してみました。するとどうでしょう。視聴維持率が、過去のどの動画よりも劇的に改善したのです。この経験から、視聴者はまず「これは何?」という問いに、最短で答えてくれる動画を求めているのだと痛感しました。

もちろん、常に日の丸構図だけを使っていると、単調で面白みのない動画になってしまいます。ですが、動画の「掴み」である冒頭の1〜2秒でこの構図を使うことで、視聴者の足を止め、その後の展開に期待を持たせることができます。あるいは、動画の中で最も伝えたいメッセージを語るシーンで使うのも効果的です。いわば、日の丸構図は、数多の動画の中からあなたのコンテンツに気づいてもらうための、強力な「アイキャッチ」の役割を果たす、基本にして奥義とも言えるテクニックなのです。

2. 上下の余白を意識したレイアウト

縦型動画は、その名の通り「縦に長い」フォーマットです。この特性を理解せず、画面いっぱいに被写体を詰め込んでしまうのは、非常にもったいない失敗例の一つ。まるで、額縁いっぱいに絵を描いてしまい、息苦しくなってしまったようなものです。プロが撮る動画がなぜかスッキリと洗練されて見える秘密は、この「上下の余白」の使い方が絶妙だからに他なりません。

この余白は、単なる「何もない空間」ではありません。視聴者の視線を主役に集中させ、情報を整理し、そして動画全体に「品」と「落ち着き」を与えるための、計算され尽くしたデザイン要素なのです。

具体的に考えてみましょう。あなたが人物を撮影するとします。頭のてっぺんからつま先まで、画面いっぱいに収めてしまうと、視聴者はどこを見ていいのか分からず、情報過多で疲れてしまいます。しかし、頭の上と足元に意識的にスペースを空けることで、自然と視線は人物の表情や動きにフォーカスされます。この余白が、主役である人物を際立たせるための「額縁」の役割を果たしてくれるわけです。

私が動画制作の現場でよく使うテクニックに、「三分割法」を応用した余白作りがあります。スマートフォンのカメラ設定で「グリッド線」を表示させると、画面が縦横3つずつの9つのエリアに分割されますよね。この上のラインと下のラインを目安に、余白をコントロールするのです。

  • 人物撮影の場合: 頭のてっぺんが、上のグリッド線を越えないように意識します。これにより、頭上に心地よい空間が生まれ、圧迫感がなくなります。
  • 商品撮影の場合: 商品を中央に置くとしても、その上下に均等な余白を持たせることで、まるで高級なカタログの一ページのような、洗練された印象を与えることができます。

面白いことに、この余白は心理的な効果ももたらします。適度な余白がある映像は、視聴者に「まだ語られていない何かがあるかもしれない」という想像の余地を与え、興味を引きつけます。逆に、情報が詰め込まれすぎた映像は、見た瞬間に「もうお腹いっぱい」という感覚を与え、視聴する意欲を削いでしまうのです。

さらに、この余白は後述するテロップやスタンプを入れるためのスペースとしても機能します。撮影段階でこの余白を意識しておくことで、編集作業が格段に楽になり、デザイン性の高い動画に仕上げることができるのです。撮影とは、写っているモノだけでなく、写っていない空間をどうデザインするか、という視点が非常に重要です。あなたの動画が今ひとつ垢抜けないと感じているなら、まずは被写体を少しだけ引いて、上下の余”白”を”活”かすことから始めてみてください。その効果にきっと驚くはずです。

参考文献 :Webマーケティングの成功事例10選|中小企業から大企業まで

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3. 視線を引く「S字構図」や「対角線構図」

基本の日の丸構図をマスターしたら、次はいよいよ動画に「動き」と「奥行き」を与える応用編です。それが「S字構図」と「対角線構図」。これらの構図は、視聴者の視線を巧みに誘導し、平面的な映像を立体的でドラマチックなものへと変える力を持っています。

S字構図は、その名の通り、画面の中にS字のラインを描くように被写体を配置するテクニックです。例えば、曲がりくねった道、川の流れ、あるいはモデルが体をしなやかに使ったポージングなどがこれにあたります。

なぜこれが有効なのでしょうか? 人間の目は、曲線的なものを無意識に目で追ってしまう性質があります。S字構図は、この習性を利用して、視聴者の視線を画面の入り口から出口へと、まるで優しくエスコートするように導いてくれるのです。始点から終点まで視線がスムーズに流れることで、動画にリズム感と奥行きが生まれます。

私が以前、ある観光地のプロモーション動画を手掛けた際、ただ風景を映すだけでは単調になってしまいました。そこで、山道がS字カーブを描いているポイントを見つけ、そこをドローンでゆっくりと舐めるように撮影したのです。すると、視聴者はまるで自分がその道を歩いているかのような没入感を得られ、エンゲージメントが大幅に向上しました。身近なところでは、カフェでラテアートの模様をS字に見せたり、料理のソースをS字にかけたりするだけでも、同様の効果が得られます。

一方、対角線構図は、画面の四隅を結ぶ対角線を意識して、被写体を配置する手法です。画面を斜めに横切るラインは、見る人に躍動感や不安定さ、そして力強さを感じさせます。

例えば、まっすぐ立っている人を撮るのではなく、少しカメラを傾けて、その人が対角線上に配置されるように撮ってみてください。それだけで、静的なポートレートが、何か物語が始まりそうなダイナミックなワンシーンに変わります。坂道を駆け上がるアスリート、斜めに差し込む光の筋、テーブルの上に無造作に置かれたカトラリーなど、日常の中にも対角線は溢れています。

この構図が特に活きるのは、動画にスピード感や緊張感を加えたい時です。あるアパレルブランドのリール動画で、モデルが歩くシーンをただ正面から撮るのではなく、カメラを傾けて対角線構話で撮影したところ、「静止画のような安定感」が消え、「今まさにこちらへ歩いてくる」というライブ感が生まれました。

これらの構図は、日の丸構図のような安定感とは対極にあるため、使い所を見極める必要があります。しかし、動画の流れの中にスパイスとして加えることで、視聴者を飽きさせず、最後まで惹きつける強力なフックとなります。あなたの周りにある「S字」と「対角線」を探してみてください。世界が少し違って見えるはずです。

4. テロップやスタンプを入れるスペースを確保

「撮影は撮影、編集は編集」と考えていませんか? 実は、再生される縦型動画を作るプロは、撮影の段階からすでに「編集後の完成形」を頭の中に描いています。特に重要なのが、テロップ(字幕)やスタンプ、アイコンなどを配置するための「スペース」を、あらかじめ確保しながら撮影するという意識です。

リールやTikTok、YouTubeショートといったプラットフォームでは、もはやテロップは単なる補助情報ではありません。動画のリズムを作り、重要なポイントを強調し、時にはミュート再生しているユーザーにも内容を伝えるための、コンテンツの核となる要素です。

しかし、撮影時にこれを意識していないと、悲劇が起こります。せっかく最高の表情が撮れたのに、顔のど真ん中にテロップを被せざるを得なくなったり、重要な商品情報が、被写体と重なってごちゃごちゃしてしまったり…。これでは、せっかくの映像も台無しです。

では、どうすれば良いのでしょうか? 答えはシンプル。被写体を少しだけ左右どちらか、あるいは上下どちらかに寄せて、意図的に「何もない空間」を作り出すのです。

例えば、人物が何かを語るシーンを撮影するとします。多くの人は無意識にその人物を真ん中に置いてしまいますが、プロは少し右か左にずらして撮影します。そうすることで、空いた方のスペースに、その人の発言内容をテンポ良くテロップで表示させることができるのです。視聴者は、人物の表情とテロップをスムーズに視線移動させながら、ストレスなく情報を理解できます。

私がクライアントのインタビュー動画を撮影する際は、必ず「その人が見ている方向」に空間を空けるようにしています。これを業界用語で「ノーズルーム」や「ルッキングスペース」と呼びます。人が右を向いて話しているなら、画面の右側に広いスペースを確保する。こうすることで、映像に安定感が生まれると同時に、テロップを入れる絶好の場所が生まれるのです。

また、先述した「上下の余白」も、テロップスペースとして非常に重要です。特に画面下部は、各プラットフォームのUI(いいね!やコメントのアイコン)が表示されるエリアでもあるため、この部分に重要な情報が被らないよう、被写体は少し高めに配置するのがセオリーです。

撮影前に、どんなテロップを、どのあたりに入れたいか、簡単な絵コンテを描いてみるのも非常に有効な方法です。完璧なものである必要はありません。「ここにタイトル」「ここに補足説明」といったラフなメモレベルで十分です。この一手間が、編集段階での「しまった!」を防ぎ、最終的な動画のクオリティを劇的に向上させます。撮影は、レンズに映るものだけでなく、後から加える要素までデザインする、総合的なアートワークなのです。

こちらも:Webマーケティングにおける仮説検証の重要性と実践方法

 

5. スマホを逆さまに持ってローアングルで撮る

あなたの動画に、ハッとするような非日常感とダイナミズムを加えたいなら、ぜひ試してほしいのがこの「スマホ逆さまローアングル」テクニックです。やり方は簡単。スマートフォンを上下逆さまに持ち、レンズが地面すれすれになるくらい低い位置から、被写体を見上げるように撮影する。たったこれだけです。

なぜ、スマホを逆さまにする必要があるのでしょうか? 普通に持ったままローアングルで撮ろうとすると、自分の指がレンズに映り込んだり、角度に限界があったりします。しかし、逆さまにすることで、カメラレンズを物理的に最も低い位置に持っていくことができるのです。地面スレスレ、数センチの高さから世界を捉えることが可能になります。

この視点の変化がもたらす効果は絶大です。

一つは、被写体に威厳と迫力を与える効果です。普段、私たちが見慣れている目線の高さから撮影された映像は、どこか説明的で退屈になりがちです。しかし、ローアングルから見上げることで、人物はいつもよりスタイルが良く、英雄的に見えます。建物はより高く、荘厳に。小さな商品でさえ、まるでモニュメントのような存在感を放ち始めます。

私が以前、あるスニーカーブランドのプロモーション動画を制作した際、このテクニックを多用しました。モデルが街を歩くシーンを、地面スレスレのローアングルで追いかけるように撮影したのです。すると、スニーカーが主役として際立つだけでなく、アスファルトの質感や水たまりの反射などがダイナミックに映り込み、まるで映画のワンシーンのような躍動感あふれる映像に仕上がりました。視聴者からは「スニーカーが生きているみたい!」というコメントが寄せられましたね。

もう一つの効果は、背景をシンプルに整理できることです。通常の目線で撮影すると、背景に余計な人やモノが映り込み、ごちゃごちゃした印象になりがちです。しかし、ローアングルから空を見上げるように撮影すれば、背景は「空」だけになります。被写体と青空のコントラストは非常に美しく、見る人の視線を自然と被写体に集中させてくれます。

この撮影方法は、特にペットや子供を撮る際に威力を発揮します。彼らと同じ目線、あるいはそれより低い視点から世界を見ることで、普段私たちが見過ごしている彼らの世界の表情を捉えることができ、視聴者に強い共感と親近感を与えることができるのです。

少し体勢はきついかもしれませんが、得られる映像のインパクトは計り知れません。「いつもと同じような映像しか撮れない」と悩んだら、勇気を出してスマホをひっくり返し、地面に這いつくばってみてください。そこには、まだ誰も見たことのない、新しい世界の入り口が待っています。

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6. 歩きながら撮る時の手ブレ対策

縦型動画、特にVlogや街歩き系のコンテンツで、視聴者を一気に現実に引き戻し、動画から離脱させてしまう最大の原因。それが「手ブレ」です。ガクガクと揺れる映像は、見ているだけで気分が悪くなり、内容がどれだけ良くても、最後まで見てもらうことは困難です。

「でも、プロが使うようなジンバル(電子式スタビライザー)なんて持っていないし…」と諦めるのはまだ早い。実は、いくつかのポイントを意識するだけで、手の中のスマートフォンだけで、手ブレを劇的に抑制することが可能です。これは機材の問題というより、むしろ「体の使い方」の問題なのです。

まず、最も基本的なことですが、スマホを両手でしっかりとホールドしてください。片手でラフに持って撮影するのは、手ブレしてくださいと言っているようなものです。両手で持ち、親指と人差し指でフレームを作るようにして、スマホをがっちりと固定します。

次に、脇を締めること。これは、カメラマンの基本姿勢です。脇が開いていると、腕が不安定になり、そのブレが直接スマホに伝わってしまいます。両脇をキュッと体に引き寄せるだけで、腕が固定され、安定性が格段に向上します。

そして、ここからがプロのテクニックです。それは、膝を軽く曲げ、忍者のようにすり足で歩くこと。普通に歩くと、かかとが地面に着地するたびに「ドン、ドン」という衝撃が発生し、それが体を通じてスマホに伝わり、映像の縦揺れの原因となります。しかし、膝をクッションのように使い、重心を低く保ちながら、かかとからではなく足の裏全体で着地するようなイメージで歩くと、この衝撃を大幅に吸収できます。まるで、カメラを載せた台車がスーッと滑らかに動くような効果が得られるのです。

私がロケで歩き撮りをする際は、常にこの「忍者歩き」を実践しています。周りから見ると少し変な歩き方かもしれませんが、映像の滑らかさは雲泥の差です。

さらに、手ブレを抑えるための裏技がいくつかあります。

  • 広角レンズを使う: スマートフォンのカメラに広角モードがあれば、積極的に使いましょう。画角が広いほど、手ブレは知覚されにくくなります。逆に、望遠(ズーム)にすればするほど、わずかな揺れも大きく増幅されてしまうので注意が必要です。
  • 壁や柱を利用する: 歩きながら撮るのが難しい場合は、壁に肩や背中をもたれかかったり、柱に腕を固定したりするだけで、体全体が安定し、手ブレを抑えることができます。
  • 息を止める: ここぞという短いカットを撮る際には、息を吸って、一瞬止める。呼吸による体の上下動をなくすことで、ピタッと止まった映像を撮ることができます。

これらのテクニックは、どれも今すぐ実践できるものばかりです。滑らかな映像は、それだけで視聴者に「丁寧な作り手の動画だ」という印象を与え、コンテンツへの信頼感を高めます。手ブレという見えない敵を制圧し、視聴者をあなたの動画の世界へスムーズに誘いましょう。

参考文献 :地域No.1を目指す!MEO特化型集客術の完全版

 

7. 背景をぼかして被写体を際立たせる

あなたが撮った動画が、なぜかプロっぽく見えない…。その原因は、もしかしたら「背景」にあるのかもしれません。被写体も背景も、すべてにピントが合っている「のっぺり」とした映像は、どこに注目して良いか分からず、情報過多で散漫な印象を与えてしまいます。

一方で、プロが撮る映像は、主役としたい被写体はクッキリとシャープに、そして背景は美しくボケていますよね。このピントが合っている範囲(被写界深度)をコントロールすることで、映像に立体感と奥行きが生まれ、視聴者の視線を意図した場所にグッと引き寄せることができるのです。まるで、主役だけにスポットライトが当たっている舞台のような効果です。

「でも、そんな映画みたいな背景ボケは、一眼レフカメラじゃないと無理でしょう?」

一昔前までは、そうでした。しかし、今のスマートフォンのカメラ性能は驚くほど進化しており、この「背景ボケ」を意図的に作り出すことが可能です。その最も簡単な方法が、スマートフォンのカメラに搭載されている「ポートレートモード」や「シネマティックモード」を活用することです。

これらのモードは、AIが被写体と背景を認識し、ソフトウェア処理によって背景だけを擬似的にぼかしてくれる非常に便利な機能です。人物撮影はもちろん、料理や商品の撮影でも、スイッチを切り替えるだけで、一気に主役が際立つ印象的な映像を撮ることができます。

私がカフェでコーヒーの動画を撮る際、通常のビデオモードではなく、あえてシネマティックモードを使うことがよくあります。カップの縁にピントを合わせると、その奥にある店内の喧騒がふんわりとボケて、コーヒーそのものが持つ静かで豊かな時間が際立ち、物語性を感じさせる映像になるのです。

もし、お使いのスマホにそうしたモードがない場合や、もっとアナログな方法でボケをコントロールしたい場合でも、諦める必要はありません。物理的な原則を理解すれば良いのです。背景をぼかすためのポイントは2つ。

  1. 被写体とカメラの距離を近づける: カメラを被写体にグッと寄せてみてください。ピントを合わせた被写体と、その奥にある背景との距離が離れるため、背景は自然とボケやすくなります。
  2. 被写体と背景の距離を離す: 撮影する際は、被写体を壁際などから離し、できるだけ背景との間に距離がある場所を選びましょう。被写体のすぐ後ろに壁があると、どうしても背景はボケてくれません。

例えば、人物を撮るなら、壁に背中をつけて立ってもらうのではなく、そこから数歩前に出てもらう。それだけで、背景のボケ具合は大きく変わります。

背景をぼかすということは、主役を際立たせると同時に、「余計な情報を削ぎ落とす」という重要な編集作業を、撮影段階で行っているのと同じです。ごちゃごちゃした背景は、視聴者の集中力を奪うノイズでしかありません。主役に全ての視線を集めるために、背景を美しくぼかす。この一手間が、あなたの動画をアマチュアからプロのレベルへと引き上げてくれるはずです。

8. 目線の高さで撮ることで生まれる親近感

動画を通じて、視聴者との間に「つながり」や「共感」を生み出したい。そう考えるなら、カメラの高さをどこに設定するかは、極めて重要な要素となります。特に、視聴者と対話するようなコンテンツや、親密な雰囲気を醸し出したい場合、最も効果的なのが被写体の「目線の高さ(アイレベル)」で撮影するというテクニックです。

考えてみてください。私たちが誰かと対等な立場で、心を開いて話す時、自然とお互いの目の高さは同じになっていますよね。この、日常のコミュニケーションにおけるごく自然な感覚を、動画撮影に応用するのです。

カメラを被写体の目線と同じ高さに構えることで、視聴者はまるで、その人と一対一で向かい合って話しているかのような感覚を覚えます。そこには、上から見下ろすような威圧感も、下から見上げるようなへりくだりも存在しません。カメラ(=視聴者)と被写体の間に、心理的な壁がなくなり、親近感や信頼感が生まれやすくなるのです。

私が企業の代表者インタビューなどを撮影する際、これは絶対に外さない鉄則としています。三脚の高さを微調整し、カメラのレンズが、座っている代表の目の高さと寸分違わぬ位置に来るようにセッティングします。これにより、視聴者は代表の言葉を「一方的な演説」としてではなく、「自分に語りかけられているメッセージ」として、素直に受け取りやすくなります。

このアイレベル撮影は、人物だけでなく、様々なシーンで応用できます。

  • 料理動画: 食卓に座った時の目線の高さから撮影することで、視聴者はまるで自分がそのテーブルについて、料理を待っているかのような臨場感を味わえます。
  • ペット動画: 犬や猫を撮るなら、あなたが立ったまま撮るのではなく、床に座ったり、腹ばいになったりして、彼らの目線の高さまでカメラを下げてみましょう。彼らが見ている世界の新鮮な驚きを、視聴者と共有することができます。
  • 商品レビュー: 商品をテーブルに置いて上から撮るのではなく、カメラを低い位置に構え、自分がその商品を手に取って使っている時と同じ目線で撮影します。これにより、視聴者は商品の使用感をよりリアルに「自分ごと」として感じられます。

面白いことに、多くの人は無意識に、自分が立ったままの高さから、スマホを少し下に向けて撮影してしまいがちです。これでは、全ての被写体を見下ろす「神の視点」のような映像になり、どこか他人行儀で冷たい印象を与えてしまいます。

あなたの伝えたい相手は誰ですか? その人と、どんな関係性を築きたいですか? もし、友達のように、パートナーのように、親密なコミュニケーションを望むのであれば、まずはカメラを構えるあなたの膝を少しだけ曲げ、相手の目線の高さまで、そっと寄り添うことから始めてみてください。その小さな変化が、視聴者の心の扉を開く鍵となるはずです。

関連記事:効果的なホームページ制作とWebマーケティング戦略

 

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9. 広角レンズでの歪みに注意

最近のスマートフォンには、複数のレンズが搭載されているのが当たり前になりました。特に、より広い範囲を写せる「広角レンズ」や「超広角レンズ」は、風景をダイナミックに捉えたり、狭い室内を広く見せたりするのに非常に便利な機能です。しかし、この便利なレンズには、使い方を誤ると映像を台無しにしてしまう「歪み(ディストーション)」という特性があることを、あなたはご存知でしょうか。

広角レンズは、その仕組み上、画面の中心から離れるほど、被写体が外側に向かって引き伸ばされるように歪んで写ってしまいます。 風景撮影などでは、この歪みが逆にダイナミックな迫力を生むこともありますが、人物撮影や正確な形を伝えたい商品撮影では、致命的な欠点になりかねません。

特に縦型動画でやりがちな失敗が、人物を画面の端ギリギリに配置してしまうことです。例えば、画面の下の方に顔を配置して広角レンズで撮影すると、顎が不自然に伸び、顔全体が間延びしたような、コミカルな印象になってしまいます。これでは、せっかくのモデルの魅力も半減です。

私が過去に経験した手痛い失敗談があります。あるアパレルブランドの撮影で、モデルの全身を写しつつ、背景の建物も入れたいと考え、安易に超広角レンズを使いました。そして、モデルを画面の下端に立たせてしまったのです。後で映像を確認して愕然としました。モデルの足が、まるで巨人かのように不自然に長く伸びてしまっていたのです。幸い、撮り直しが可能な状況でしたが、クライアントに平謝りした苦い記憶があります。

この「広角レンズの歪み」を回避し、上手に付き合っていくためのポイントは以下の通りです。

  1. 主要な被写体は画面中央に置く: 歪みの影響が最も少ないのは、画面の中心部分です。人物の顔や、形を正確に見せたい商品は、できるだけ中央に配置することを心がけましょう。これは、基本の「日の丸構図」が、ここでも有効であることの証明でもあります。
  2. 画面の四隅に注意を払う: 撮影中は、常に画面の隅々まで意識を配りましょう。特に画面の上下左右の端に、歪んでほしくない直線的なもの(建物の柱、テーブルの縁など)が来ていないかを確認する癖をつけることが大切です。
  3. レンズを使い分ける: 歪ませたくないポートレートなどを撮る際は、広角レンズではなく、標準レンズ(通常の1倍モード)を使いましょう。少し被写体から離れる必要はありますが、最も自然で見たままに近い形で撮影できます。広角レンズは、あくまで「広く見せたい」「迫力を出したい」という明確な意図がある時に限定して使うのが賢明です。

広角レンズは、あなたの表現の幅を広げてくれる強力なツールです。しかし、それは同時に、独特のクセを持つじゃじゃ馬のようなものでもあります。その特性を正しく理解し、コントロールすることで、初めてプロフェッショナルな映像表現が可能になるのです。

参考ページ:Webマーケティングで売上アップ!重要な施策まとめ

 

10. 縦の動きを意識したカメラワーク

縦型動画のスクリーンは、その名の通り「縦」に長いキャンバスです。このフォーマットの特性を最大限に活かすには、横の動き(パン)だけでなく、「縦の動き(チルト)」を意識したカメラワークを取り入れることが、非常に効果的です。

チルトとは、カメラの位置を固定したまま、レンズを上(チルトアップ)または下(チルトダウン)に振る撮影技法のこと。このシンプルな動きが、縦長の画面と組み合わさることで、視聴者に新鮮な驚きと、物語の始まりを予感させる効果をもたらします。

例えば、チルトアップ。

地面すれすれから撮影を始め、ゆっくりとカメラを上に動かしていく。すると、最初は足元しか見えなかった人物の全身が、徐々に明らかになっていく…。この動きは、視聴者の期待感を煽り、被写体の登場をドラマチックに演出します。ファッション系の動画で、新作の靴から始まり、コーディネート全体を見せるようなシーンで絶大な効果を発揮します。また、低い位置にある小さな花から、空に広がる雄大な景色へとチルトアップすることで、映像に壮大なスケール感を与えることもできます。

逆に、チルトダウンはどうでしょうか。

高層ビルのてっぺんから撮影を始め、ゆっくりとカメラを下に向け、地上を行き交う人々の喧騒を捉える。この動きは、状況を説明したり、視点を高い場所から特定のディテールへとフォーカスさせたりするのに役立ちます。あるいは、人物の顔のアップから始まり、ゆっくりとカメラを下げていくと、その人が手にしている重要なアイテムが明らかになる…といった、ミステリーのような演出も可能です。

私が以前、ある料理動画を制作した際、完成した料理の全体像をただ映すだけでは面白みに欠けると感じました。そこで、湯気の立つ料理の上空から、ゆっくりと真下にチルトダウンし、お皿のディテールに寄っていくというカメラワークを取り入れました。これにより、視聴者はまるで神の視点から、その料理の世界に引きずり込まれるような感覚を味わうことができ、「早く食べたい!」という欲求を強く刺激することに成功しました。

この縦の動きをスムーズに行うコツは、肘を体に固定し、手首のスナップだけでカメラを動かすことです。体ごと動かしてしまうと、映像が不安定になりがちです。また、動きは「ゆっくり、一定の速度で」行うのが鉄則。焦って速く動かすと、視聴者は何が映っているのか認識できません。

縦型動画は、ただ横長の動画を切り取ったものではありません。この縦長の空間をどう使いこなし、視聴者をどう動かすか。その答えの一つが、この「縦の動き」に隠されています。あなたの動画に、映画のような奥行きとストーリー性を加えたいなら、ぜひこのカメラワークに挑戦してみてください。

参考ページ:Webマーケティング会社の選び方|失敗しないための比較ポイント

 

「なんとなく」の撮影から卒業し、視聴者の心を掴む一本を撮り始めよう

ここまで、縦型動画の魅力を最大限に引き出すための、10の構図と撮影の基本について解説してきました。日の丸構図の安定感から、ローアングルの非日常感、そして縦の動きがもたらすダイナミズムまで、一つ一つのテクニックは、決して難しいものではなかったはずです。

大切なのは、これらの知識をただ頭で覚えるだけでなく、実際にカメラを構え、あなたの目で世界を切り取ってみることです。初めはぎこちなくても、構図を意識するだけで、あなたの動画は確実に変わり始めます。これまで見過ごしていた日常の風景の中に、S字のラインや美しい対角線が隠れていることに気づくでしょう。人物を撮る時、テロップを入れるスペースを自然と考えるようになるはずです。

動画制作は、視聴者とのコミュニケーションです。構図やカメラワークは、その対話をより豊かで、より楽しいものにするための「言葉」や「作法」のようなもの。手ブレを抑えるのは、相手が聞き取りやすいようにハキハキと話すことであり、背景をぼかすのは、大切な話をする時に周りの雑音を消してあげる優しさです。

高価な機材は必要ありません。あなたのポケットに入っているスマートフォンこそが、無限の可能性を秘めた最高のクリエイティブツールです。今日お伝えしたテクニックを一つでも二つでもいい、次の撮影から試してみてください。「なんとなく」撮っていた一本が、明確な意図を持った「作品」に変わる瞬間を、きっと体験できるはずです。そしてその一本は、今まで届かなかった誰かの心に、確かに響き始めるでしょう。

 

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執筆者

株式会社TROBZ 代表取締役

愛知県岡崎市出身。大学卒業後、タイ・バンコクに渡り日本人学校で3年間従事。帰国後はデジタルマーケティングのベンチャー企業に参画し、新規部署の立ち上げや事業開発に携わる。2024年に株式会社TROBZを創業しLocina MEOやフォーカスSEOをリリース。SEO検定1級保有

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