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2025/11/19

ショート動画の企画で悩まない!バズるネタ探しのフレームワーク

ショート動画の企画で悩まない!バズるネタ探しのフレームワーク

「毎日投稿を続けていたら、もう出すネタが思いつかない…」
「ショート動画(TikTokやInstagramリール、YouTubeショート)の運用を任されたが、何から手をつければいいか分からない」
「渾身の動画を作っても、再生数が2桁や3桁から伸びない。企画が悪いんだろうか…」

企業のSNS担当者様、あるいは個人クリエイターの方で、こうした「企画の枯渇(ネタ切れ)」という深刻な壁に直面している方は、驚くほど多くいらっしゃいます。私自身、多くのクライアントのSNS運用を支援する中で、最初の数ヶ月は順調でも、次第に「バズるどころか、投稿すること自体が目的化してしまう」という停滞期を何度も目撃してきました。

多くの方は、「バズる企画は、一部の天才的なセンスを持つ人だけが生み出せるものだ」と誤解しています。しかし、断言しますが、ショート動画の企画はセンスではありません。「型」です。
視聴者が何を求めているのか、プラットフォームのアルゴリズムは何を評価するのか。その本質を理解し、適切な「フレームワーク(企画の型)」に当てはめていくだけで、あなたの動画がバズる確率は劇的に高まります。ここでは、私が現場で実際に使い、成果を出してきた「バズるネタ探しのフレームワーク」を、具体的な事例と共に徹底的に解説していきます。

1. ターゲットオーディエンスの悩みを解決する「How-to型」

ショート動画の企画において、最も王道であり、最も安定した成果を期待できるのが、この「How-to型(ハウツーがた)」です。
これは、あなたの動画のターゲット(視聴者)が抱えている、明確な「悩み」や「疑問」を特定し、その解決策を分かりやすく提示する企画です。

(例)
・料理アカウントなら:「たった5分でできる、朝の時短弁当おかず
・掃除用品メーカーなら:「プロが教える、諦めていた水垢の簡単な落とし方
・PCスクールなら:「Excelでこれ知らないと損する、最強ショートカットキー

なぜ、この「How-to型」がショート動画で強いのでしょうか。
それは、TikTokやInstagramリールのアルゴリズムが重視するシグナル(評価指標)と、完璧に噛み合っているからです。

アルゴリズムが「良い動画だ」と判断し、おすすめ(発見タブやリールタブ)に載せて拡散させる指標は、単なる「いいね」の数ではありません。それ以上に「視聴維持率(最後まで見られたか)」と「保存数(後で見返したいと思われたか)」を重視しています。
How-to型の動画は、「あ、これ知りたかった!」という明確な目的を持って視聴されるため、離脱されにくく(高視聴維持率)、さらに「後で自分も試したいから、保存しておこう」という行動(=保存)に直結しやすいのです。

私が以前コンサルティングしたある掃除用品メーカーのアカウントでは、当初「新商品の魅力」ばかりを発信していましたが、全く再生数が伸びませんでした。そこで、発想を転換し、ターゲットである主婦層が「何に困っているか」を徹底的にリサーチしました。

その結果、最も多かった悩みが「浴室の鏡についた、ウロコ状の水垢」でした。
そこで、自社商品を使った「ウロコ水垢を、力を使わずピカピカにする裏技」というHow-to動画を1本作ったところ、それまでの平均再生数の100倍以上を記録。「保存数」が「いいね」の数を上回るという現象が起き、その1本からアカウント全体のフォロワーが急増したのです。

では、その「ターゲットの悩み」は、どうやって見つければよいのでしょうか。デスクの前で腕組みをしていても、何も生まれません。以下のリソース(情報源)に答えが眠っています。

ネタ探しリソース 特徴 具体的な探し方
Yahoo!知恵袋 悩みや疑問の「生の声」の宝庫。 自社のジャンル(例:「Excel」「掃除」「時短レシピ」)で検索し、閲覧数が多い質問共感(「私も知りたい」)が多い質問をピックアップする。
競合の人気動画のコメント欄 すでにバズった動画に対する、視聴者の「さらなる疑問」が集まる場所。 同ジャンルの人気動画を見て、コメント欄で「〇〇の場合はどうすれば?」「これも知りたい」といったリクエストを見つけ、それを解決する動画を作る。
自社の顧客データ 最も身近で、最もリアルな「悩み」。 カスタマーサポートに「よくある質問TOP10」を聞く。営業担当に「商談で必ず聞かれること」をヒアリングする。

How-to型企画は、「視聴者の悩みの深さ」がバズの大きさに直結します。「こんなことで悩んでいる人、いるかな?」と思うようなニッチな悩みこそ、深く刺さる(=保存される)キラーコンテンツになる可能性を秘めています。

関連記事:飲食店のメニュー動画が売上を変える-デジタル時代の新たな集客術-

2. 共感を呼ぶ「あるあるネタ」の見つけ方

How-to型が「有益性(保存)」でバズを生むのに対し、「共感性(シェア・コメント)」で爆発的な拡散を狙うのが、この「あるあるネタ」フレームワークです。

視聴者が動画を見て、「わかるー!」「これ、まさに私のことだ!」「うちの会社(学校)と全く同じ!」と感じた瞬間、その動画は「いいね」や「コメント」、そして「シェア(友達への共有)」の対象になります。

(例)
・ビジネス系なら:「会議で絶対いる、困った上司あるある
・主婦向けなら:「名前のない家事、あるある選手権
・学生向けなら:「テスト前日に限ってやりがちなこと」</p

この企画が成功するか否かは、いかにターゲットオーディエンスを「解像度高く」設定できるかにかかっています。
例えば、「社会人あるある」ではターゲットが広すぎて、誰にも深く刺さりません。しかし、「入社3年目までの営業職あるある」や「リモートワークで犬飼ってる人あるある」のように、ターゲットを極限まで絞り込むことで、その層に強烈な「自分事(じぶんごと)」として突き刺さり、「これは自分のための動画だ!」と感じてもらえるのです。</p

共感ネタがバズるメカニズムは、エンゲージメント(反応)の連鎖です。
1. ターゲットに刺さる「あるある」が投稿される
2. 視聴者が「わかるw」とコメントする
3. 別の視聴者がそのコメントに「いいね」や「返信」をする
4. コメント欄が盛り上がる(=アルゴリズムが「この動画は議論を呼んでいる」と評価)
5. 視聴者が「友達も同じこと言ってたな」とストーリーやDMでシェアする
6. シェア経由で新たな視聴者が流入し、さらに拡散される

私が支援したあるBtoBの採用支援企業のアカウントでは、当初は真面目なノウハウばかり投稿していました。そこで一度、思い切って「採用面接官が、思わず『採用!』と言いたくなる瞬間あるある」という、少しユーモラスな動画を投稿しました。

結果、ターゲットであった人事・採用担当者から「分かりすぎる」「うちの社長がこれですw」といった共感のコメントが殺到。コメント欄が一種の「交流の場」として機能し始め、その動画経由でのプロフィール流入数とフォロワー転換率が、過去最高を記録しました。

この「共感ネタ」は、どうやって探せばよいのでしょうか。

  • X(旧Twitter)でのリアルタイム検索
    Xは「共感」のプラットフォームです。「(ターゲット層) あるある」や「(ターゲット層) 選手権」と検索すると、すでに多くの人が共感している「ネタの種」が大量に見つかります。
  • ターゲット層への直接ヒアリング
    これが最強です。「(ターゲット層)として、最近イラっとしたこと」「思わず笑ってしまったこと」を直接聞きます。そこから見つかるエピソードは、第一次情報として非常に強力です。
  • 自分自身の「原体験」の深掘り
    もしあなたがターゲット層本人なのであれば、自分自身の過去の「悔しかった経験」「嬉しかった経験」「恥ずかしかった経験」を棚卸しします。リアルな感情が乗ったエピソードは、必ず誰かの共感を呼びます。

「あるあるネタ」は、視聴者との距離感を一気に縮め、あなたのアカウントの「ファン」を作るための最も効果的な企画の一つです。

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3. TikTokやリールのトレンド音源から企画を発想

これまでは「何を伝えるか(テーマ)」から企画を考える方法でした。しかし、ショート動画の世界では、「何を使うか(音源)」から企画を発想する、逆転の発想法が非常に有効です。

TikTokやInstagramリールには、その時々で爆発的に流行する「トレンド音源(BGM)」が存在します。
プラットフォームのアルゴリズムは、「今、流行らせたい音源」を使っている動画を、ユーザーのおすすめ欄(発見タブやリールタブ)に優先的に表示させる(=ブーストさせる)傾向が強くあります。

つまり、企画内容が平凡でも、トレンド音源の力だけでバズる(=おすすめに載る)チャンスが格段に上がるのです。

■ トレンド音源の見つけ方
1. TikTokやInstagramのリールタブを能動的に(分析する目的で)視聴する。
2. 何度も耳にする音源があれば、それがトレンドの兆候。
3. Instagramリールの場合、音源名の横に「↗︎(上向き矢印)」マークが付いているものが、公式に「トレンド入り」している音源です。
4. 音源名をタップして「音源ページ」に飛び、その音源を使っている動画の使用本数を確認します。数千〜数万本程度で、かつ急上昇しているものが最も狙い目です。

重要なのは、音源を見つけることだけではありません。その音源には、必ずセットになっている「企画の型(フォーマット)」が存在します。

音源のタイプ よくある「企画の型」 自社ジャンルへの応用例(例:不動産)
ダンス系 複数人で音源に合わせて踊る。 オフィスのメンバーで、物件の前で軽く踊ってみる。(親近感の醸成)
テンポの良い紹介系 音源のビートに合わせて、テキストや画像を次々に見せる。 渋谷駅徒歩5分のおすすめ物件7選」として、ビートに合わせて物件写真を次々と表示する。
大喜利・ネタ系 音源のフリ(特定の部分)に合わせて、オチとなるテキストや映像を入れる。 音源のフリ:「ありえない…」 → オチ:「家賃3万円でこのクオリティ!?
Vlog系(エモい系) 感動的な、あるいは美しい映像に乗せて使用する。 美しいリノベーション物件のルームツアー映像に乗せて、エモい雰囲気を演出する。

私が以前支援したアパレルブランドのアカウントでは、まさにこの「テンポの良い紹介系」のトレンド音源を活用しました。
それまでは1本の動画で1つのコーデしか紹介していませんでしたが、「この夏、絶対買うべきTシャツ5選」という企画に変更し、音源のビートに合わせてモデルが次々とTシャツを着替えて登場する動画を作成。情報量の多さ音源の持つ力が相まって、過去の動画の数十倍の再生数を記録しました。

トレンド音源は「鮮度」が命です。「流行っている音源の『型』を借りて、自社の情報を乗せる」という発想を持つだけで、企画の引き出しは無限に広がります。

関連記事はこちら:再生数が劇的に変わる!プロが教える縦型動画の構図と撮影術10選

4. 視聴者の知識欲を満たす「豆知識・裏技型」

「How-to型」が視聴者の「悩み(マイナス)」を「ゼロ」にする企画だとしたら、「豆知識・裏技型」は、視聴者の状態を「ゼロ」から「プラス(得した気分)」にする企画です。

視聴者に「へぇー、知らなかった!」「これ、友達に話したい!」「賢くなった気がする!」というAha!体験(アハたいけん)を提供します。

(例)
・ガジェット系なら:「iPhoneの9割が知らない便利機能
・食品メーカーなら:「うちの製品、実は〇〇にも使えるんです
・旅行系なら:「地元民しか知らない、〇〇(観光地)の無料絶景スポット」</p

この企画も、「How-to型」と同様に「保存」に非常に強く、さらに「これ知ってた?」という「シェア」にも繋がりやすいのが特徴です。人間の根源的な「知識欲」や「優越感(他人より先に知っている)」を刺激するのです。

ネタ探しのコツは、「業界の当たり前は、世間の非常識」という視点を持つことです。
あなたが(あるいはあなたの会社が)当たり前すぎて、わざわざ発信する価値もないと思っているニッチな知識こそ、ターゲットにとっては「価値ある裏技」になります。

私が支援したある自動車ディーラーのアカウントでは、当初は新車の格好良い映像ばかり流していました。しかし、思い切って「車の『サンバイザー』、本当の便利な使い方知ってる?」(※横にスライドして、サイドウィンドウの日除けにもなる機能)という、ベテランなら誰もが知る豆知識を投稿しました。
すると、「え、知らなかった!」「マジか!」「夫にドヤ顔で教えます」といった驚きと感謝のコメントが殺到。その1本がバズり、アカウントの認知が急上昇しました。

企画の切り口としては、以下のようなパターンが有効です。

  • 「常識の逆張り」型:
    実は〇〇は、やらなくていい」「〇〇は、むしろ逆効果」といった、視聴者の常識を覆す情報。
  • 「ニッチな専門知識」型:
    プロだけが知る、〇〇の見分け方」「(商品名)の隠しコマンド」といった、専門家ならではの情報。
  • 「言葉の言い換え」型:
    難しい専門用語を、小学生でも分かる「超簡単な言葉」で解説する。(例:「『減価償却』って、要するにこういうこと」)

あなたの専門知識を、視聴者にとっての「宝物(裏技)」に変換して提供する。これが豆知識・裏技型の本質です。

関連記事:Facebookアカウント乗っ取り対策!セキュリティ設定完全ガイド

5. Before/Afterで見せる劇的な変化

人間の脳は、「変化」を認識するのが大好きです。特に、その変化が「劇的」であればあるほど、強い快感を覚えます。
この本能をダイレクトに刺激するのが、「Before/After(ビフォーアフター)型」の企画です。

ショート動画は「最初の1秒」で視聴者の指を止められるかが勝負です。その点において、この「Before/After型」は最強のフレームワークの一つと言えます。
なぜなら、冒頭で「最悪のBefore(汚い、太っている、散らかっている)」を見せることで、視聴者に「え、これがどうなるの!?」という強烈な「期待感」と「好奇心」を抱かせ、その後の「After」まで視聴者を釘付けにできるからです。

(例)
・掃除・収納系:「ゴミ屋敷が、〇〇だけでモデルルームに
・美容・ダイエット系:「-10kg達成!私がやったこと全て
・リフォーム・DIY系:「築50年のボロ家が、カフェ風に大変身
・メイク系:「すっぴんから、〇〇(芸能人)風メイクになるまで」</p

この企画の成功ポイントは、「Before」と「After」の「ギャップ(落差)」を最大化することです。中途半端なBeforeでは、視聴者の心は動きません。「これ以上ないほど最悪な状態」を(倫理の範囲内で)見せることが、カタルシスを生む鍵です。

私が支援したあるパーソナルジムのアカウントでは、トレーナーの素晴らしい筋肉を見せる動画ではなく、「3ヶ月で、このお腹がこうなりました」という、クライアントのリアルなBefore/After動画(もちろん許可を得て)を投稿しました。
冒頭で「たるんだお腹(Before)」をしっかり見せたことで、ターゲット層(同じ悩みを持つ人)が強烈に「自分事化」し、視聴維持率が90%を超える驚異的な数値を記録。その動画1本から、体験入会の問い合わせが殺到しました。

このフレームワークを成功させるための構成要素を、表にまとめます。

構成要素 目的 具体的なテクニック
冒頭の「Before」 (0-3秒) 視聴者の指を止め、好奇心を最大化する。 最も汚い、太っている、散らかった「最悪の状態」をアップで映す。「これが→こうなる」とテキストで期待感を煽る。
変化の「プロセス」 (3-20秒) 変化の「納得感」と「疑似体験」を提供。(※How-to要素) 掃除やメイク、トレーニングの過程を早送り(タイムラプス)で見せる。テンポの良いBGMに乗せる。
劇的な「After」 (20-30秒) カタルシス(快感)を与え、満足度を高める。 ピカピカになった部屋、引き締まった体、完成したメイクを、スローモーションや「キメ」のポーズで印象的に見せる。

Before/After型は、自社の商品やサービスが「顧客の何を、どれだけ劇的に変えられるか」を、理屈抜きで、視覚的に証明できる最強の企画フォーマットです。

関連記事はこちら:モデルリリース(肖像権使用許諾書)の重要性と取得方法|知らないでは済されないプロの常識

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6. 権威性を示す「専門家による解説」

ショート動画は、エンタメや「あるある」だけではありません。E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)、すなわち「情報の信頼性」を示すためのプラットフォームとしても、非常に強力に機能します。

それが「専門家による解説」フレームワークです。
その道のプロフェッショナルが、その立場でしか語れない専門的な知見や、一般の人が知らない「業界の裏側」を解説する企画です。

(例)
・弁護士:「実はそれ、違法かも。SNSでやりがちなNG行為3選
・医師:「医者が絶対に食べない、ヤバい食べ物ワースト3
・元〇〇(職業):「元ホテルマンだから知ってる、高級ホテルの裏側
・職人:「この道50年の職人が教える、本物の〇〇の見分け方」</p

なぜこの企画が伸びるのでしょうか。
それは、情報が溢れかえる現代において、視聴者が「信頼できる情報」に飢えているからです。「誰が言っているか」が非常に重要であり、「弁護士が言うなら」「医者が言うなら」という権威性(肩書き)が、情報そのものに強力な付加価値を与えます。

このタイプの動画は、爆発的な「いいね」は取れなくとも、視聴者の知的好奇心信頼感を強く刺激するため、
1. 視聴維持率が非常に高い(有益な情報を聞き逃したくない)
2. 「保存」されやすい(信頼できる情報源として)
3. アカウントの「フォロー」に直結しやすい(この人の他の話も聞きたい)
という、質の高いエンゲージメントを獲得できます。

私が支援したある不動産会社のアカウントでは、「宅地建物取引士」の資格を持つ社員に登場してもらい、「不動産のプロが教える、買ってはいけない『事故物件』の見抜き方」というシリーズを投稿しました。
少しセンセーショナルなテーマ設定と、「プロが言う」という権威性を組み合わせた結果、不動産購入を検討している「濃い」見込み客からのフォローが急増。単なるバズで終わらず、その後の問い合わせ(コンバージョン)にも繋がる、理想的な流れを生み出しました。

この企画のポイントは、「専門用語」を「翻訳」することです。
専門家は、つい専門用語をそのまま使ってしまいがちです。それを、ターゲット層(素人)が使う日常の言葉に置き換えて解説することが、この企画の成否を分けます。
『瑕疵担保責任』っていうのは、要するに…」といった具合に、常に視聴者の目線に立って「翻訳」する意識が不可欠です。

7. 舞台裏やNGシーンで親近感を出す

H2-6の「専門家による解説」が「権威性(憧れ)」を構築する企画だとすれば、その対極にあるのが、この「舞台裏・NGシーン型」です。これは、発信者の「人間味(親近感)」を演出し、視聴者との心理的な距離を縮めるための企画です。

ショート動画の視聴者は、作り込まれた完璧なコンテンツばかりを見ていると、次第に「広告っぽさ」や「疲れ」を感じてしまいます。
そこで、あえて「完璧ではない姿」を見せるのです。

(例)
・撮影中のNGシーン(セリフを噛む、笑ってしまう、物が落ちる)
・新商品開発の「舞台裏」(試行錯誤するスタッフの姿、苦労話)
・オフィスの「普段の姿」(真剣に働く様子、休憩中の雑談)
・「質問コーナー」での、中の人(担当者)の率直な回答</p

なぜ、これが効果的なのでしょうか。
それは、視聴者がコンテンツそのものだけでなく、「誰が発信しているのか」という「」に興味を持ち始めているからです。特に企業アカウントにおいて、完璧な情報発信だけを続けるよりも、時折こうした「中の人の素顔」が見える動画を挟むことで、アカウントが単なる「情報源」から、応援したくなる「人格」へと変わります。

これにより、視聴者は「ファン」になり、応援の「いいね」や「温かいコメント」が集まりやすくなります。これは、アルゴリズム対策という以上に、長期的なコミュニティ形成ブランディングに大きく貢献します。

ただし、これには重大な注意点があります。
NGシーンや内輪ネタばかりを多用しすぎると、ただの「内輪ノリ」になってしまい、「何の役にも立たないアカウントだ」と判断されてフォローを外されます。

「権威性」と「親近感」は、車の両輪です。普段はH2-1(How-to)やH2-6(専門家解説)で「価値ある情報」をしっかりと届け、その合間に「スパイス」としてこの「親近感」動画を挟む。このバランス感覚が極めて重要です。

企画の軸 H2-6: 権威性(専門家型) H2-7: 親近感(舞台裏型)
目的 信頼の獲得、フォロー誘導、ブランディング 心理的距離を縮める、ファン化、エンゲージメント活性化
視聴者の反応 「勉強になる」「すごい」「保存したい」 「面白いw」「可愛い」「応援してます」「コメントしやすい」
企画例 プロが教える〇〇、業界の裏側、専門用語解説 NGシーン集、撮影の裏側、スタッフ紹介、質問回答
注意点 専門用語で難しくなりすぎない。「上から目線」にならない。 多用しすぎない(内輪ノリ禁止)。あくまで「価値提供」の合間に挟む。

8. 他の人気動画を分析し、自分流にアレンジ

「バズる企画が思いつかない」と悩む人の多くが、「ゼロから1を生み出そう」と苦しんでいます。
しかし、ショート動画の企画において、全くのゼロからオリジナルを生み出す必要はほとんどありません。成功の最短ルートは、「すでに成功している(バズっている)動画から学ぶ」ことです。

これが「人気動画分析・アレンジ型」フレームワークです。
ただし、ここで絶対にやってはいけないのが「丸パクリ」です。動画の構成、テロップ、内容をそのままコピーしても、それは視聴者から「パクリだ」と見抜かれますし、著作権侵害のリスクや、アルゴリズムから「重複コンテンツ」としてペナルティを受ける可能性さえあります。

重要なのは「パクリ」ではなく「分析とアレンジ(リミックス)」です。
人気動画を見つけたら、「なぜ、この動画はバズったのか?」という成功要因を、以下のように「分解」します。

  • 音源: トレンド音源の力か?(→H2-3の型)
  • 冒頭の引き: 最初の1秒のテキストや映像が強烈か?(例:Before/After型)
  • 構成: 視聴者を飽きさせない構成(例:ランキング形式、How-to)か?
  • テーマ: 多くの人が共感する(あるある)か、有益(How-to)か?
  • テンポ: カット割りが細かく、テンポが良いか?

バズの要因を特定したら、その「美味しい要素(成功の型)」だけを抽出し、自分のアカウントのジャンルに「置き換え(アレンジ)」します。

例えば、あなたが「英会話」ジャンルのアカウントを運営しているとします。

分析対象(バズった動画) バズ要因(分析) 自社ジャンルへの「アレンジ」例
料理ジャンル
「この夏食べたい、コンビニ冷やし中華ランキングTOP5」
・「ランキング形式」という構成
・「コンビニ」という手軽さ
・「この夏」という季節性
Netflixで学ぶ、本当に使える英会話フレーズTOP5
(構成を真似る)
ビジネスジャンル
「上司に『それ、先に言ってよ』と思う瞬間あるある」
・「あるある」という共感性
・「上司に〜」という具体的なターゲット設定
外国人に『それ、先に言ってよ』と思う、和製英語あるある
(テーマと構成を真似る)
ダンスジャンル
(特定のトレンド音源で踊っている)
・「トレンド音源」の力 この音源に乗せて、超難しい早口言葉(英語)に挑戦してみた
(音源だけを借りる)

このように、人気動画の「構造」や「テーマ」を借りて、中身を自社の専門分野に入れ替えるだけで、企画は無限に生み出せます。
人気動画は、視聴者のニーズが凝縮された「答えのカンペ」です。ゼロから悩む前に、まずは「カンペ」を徹底的に分析することから始めてみてください。

関連記事はこちら:AI音声技術がWebマーケティングを塗り替える 「聞く」時代の新常識と未来戦略

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9. 視聴者に質問を投げかける「コメント誘導型」

ショート動画のアルゴリズムは、視聴者の「滞在時間」と「エンゲージメント(反応)」を非常に重視しています。
その中でも、視聴者が動画に対して能動的なアクションを起こす「コメント」は、アルゴリズムに「この動画は、議論や交流を生んでおり、価値が高い」と判断させるための、極めて強力なシグナルです。

そこで、企画の段階から「いかにコメントをしてもらうか」を設計するのが、「コメント誘導型」フレームワークです。

ただ動画の最後に「コメントしてね」と言うだけでは、視聴者は行動しません。
視聴者が「思わず答えたくなるような『お題』」を、動画のテーマそのものに組み込むのです。

(例)
「A or B」の対立型:
目玉焼きには、醤油?ソース?」「(2つの商品を見せて)買うならどっち?
→ 二択にすることで、視聴者が参加するハードルを極限まで下げる。コメント欄が「醤油派」「ソース派」の議論で盛り上がる。

「仲間募集」の呼びかけ型:
〇〇(例:花粉症)で辛い人、コメント欄に『😭』で集まろう」「(あるあるネタの後で)私だけじゃないよね?
→ 絵文字一つで参加できるようにし、共感を可視化する。

「知識の募集」型:
(How-toを紹介した後で)みんなの裏技も、コメントで教えて!」「(ランキング発表後)あなたの1位は何だった?
→ 視聴者を「参加者」に変え、コメント欄自体を有益な情報交換の場にする。

私が支援したある旅行系アカウントでは、「もう一度行きたい、最強の旅行先は?」と問いかけ、投稿者自身のおすすめ(例:北海道)を動画で紹介した後、コメント欄で視聴者のおすすめを募集しました。
結果、「私は沖縄が最高でした」「〇〇(地名)も穴場ですよ」といったコメントが大量に集まり、コメント欄自体が「視聴者が作る、次の旅行先リスト」として機能し始めました。コメントを読むために動画に滞在する時間も増え、再生数が大きく伸びるきっかけとなりました。

この「コメント誘導型」企画で集まったコメントは、それ自体が次の「企画のネタ(視聴者の生の声)」の宝庫にもなります。

コメント誘導パターン 企画の具体例 期待する視聴者心理・効果
対立型(A or B) 「きのこの山 vs たけのこの里」「買うならA?B?」 「自分の意見を言いたい!」(参加ハードルが低い)
→ コメント欄での議論の活性化
仲間募集型 「〇〇な人、集まれ!」「私だけじゃないよね?」 「わかる!」「私も同じ!」(共感・連帯感)
→ コメント欄がコミュニティ化する。
知識募集型 「あなたの1位は?」「みんなの裏技も教えて!」 「自分の知識を披露したい!」(自己有用感)
→ コメント欄の有益性が向上し、滞在時間が伸びる。

10. シリーズ化で継続的な視聴を促す

ここまでのフレームワークは、主に「単発の動画」をバズらせるためのものでした。
しかし、ショート動画運用の最終的なゴールは、一発のバズで終わることではなく、継続的に動画を見てもらい、アカウントの「ファン」になってもらうことです。</p

そのために非常に有効なのが、「シリーズ化」フレームワークです。
これは、一つの大きなテーマをあえて分割し、「続きは次の動画で」と継続的な視聴を促す企画手法です。

(例)
・「知識ゼロから始める、Excel講座(Day 1/10)
・「渋谷で本当に美味しいラーメン7選(その①)
・「(ドラマ風)新入社員〇〇くんの奮闘記 – 第1話 –」</p

この「シリーズ化」には、単発動画にはない強力なメリットがあります。

  1. 視聴習慣の醸成:
    「この続きが気になる」「次も見逃せない」という心理が働き、視聴者があなたのアカウントを定期的に訪問する「習慣」が生まれます。これはフォロワーのロイヤリティを劇的に高めます。
  2. 過去動画の回遊:
    これが非常に強力です。例えば、シリーズの「その⑤」が何かのきっかけでバズった場合、視聴者は「その①〜④も気になる!」と、あなたのアカウントのプロフィールに飛び、過去のシリーズ動画を遡って視聴し始めます。
  3. アカウント全体の再生数UP:
    上記の「回遊」が起こることで、単発バズでは1本しか再生されなかったところ、シリーズ化していると1人の視聴者が5本、10本と動画を再生してくれます。これにより、アカウント全体の総再生時間とエンゲージメントが爆発的に増加し、AIからの評価が格段に上がります。

私が支援したある英会話スクールのアカウントでは、単発のフレーズ紹介に行き詰まっていました。そこで、「海外ドラマでよく聞く、学校で習わない英語フレーズ」というテーマでシリーズ化。「Day 1」「Day 2」…とナンバリングして毎日投稿しました。

最初は反応が薄かったものの、「Day 7」あたりがバズったことをきっかけに、視聴者が「Day 1」からイッキ見し始め、アカウント全体の再生数が底上げされました。結果、バズがバズを呼ぶ好循環が生まれ、フォロワー数が1ヶ月で数倍に増加しました。

■ シリーズ化成功のコツ:
「全〇回」とゴールを明示する: 視聴者に見通しを持たせ、コンプリート欲を刺激します。
動画の最後で「次回予告」をする: 「次回は、〇〇について解説!」と、次の動画への「引き」を作ります。
プロフィールを整備する: 過去のシリーズ動画を「まとめ(ハイライト)」機能などで整理し、新規訪問者がイッキ見しやすい環境を整えておくことが重要です。

参考ページ:AIでサステナビリティを訴求するWebマーケティング

企画の「型」を身につけ、バズの再現性を手に入れる

ショート動画の企画(ネタ探し)に悩まないための、10個のフレームワークを解説してきました。
「ネタ切れ」とは、センスが枯渇した状態ではありません。視聴者のニーズに応えるための「企画の型」を知らない、ただそれだけの状態です。

あなたの発信したいこと(専門性)と、視聴者が求める価値(悩み解決、共感、知識欲)、そしてプラットフォームの特性(トレンド音源、アルゴリズム)が重なる部分にこそ、バズる企画は眠っています。

重要なのは、これらの「型」は、一つひとつが独立しているのではなく、組み合わせて使うことで、さらに強力になるということです。
例えば、「専門家(H2-6)が教える、トレンド音源(H2-3)に乗せた、Before/After(H2-5)」といった具合に、複数のフレームワークを掛け合わせることで、企画は無限に生み出せます。

読者の皆様が「今日から」実践できる、具体的なアクションを2つ提案します。

  1. まずは、H2-1(How-to型)を実践するため、自社のジャンルで「Yahoo!知恵袋」を検索し、最も閲覧数の多い質問に対する「答え」を、1本のショート動画にまとめてみてください。
  2. 次に、H2-8(アレンジ型)を実践するため、競合(または他ジャンル)でバズっている動画を1本見つけ、その「バズ要因(構成、テーマなど)」を分析し、自社のジャンルに置き換えた企画を1本作成してみてください。

「ネタ探し」は、暗闇で手探りするような苦しい作業ではありません。これらのフレームワークという「地図」を手に、視聴者のニーズという「宝」を探す、論理的で戦略的なプロセスです。この「型」を使いこなし、あなたの動画の「バズの再現性」を、ぜひ高めていってください。

関連記事:Webマーケティングにおける予測AIの活用法|未来を見据えた戦略立案

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執筆者

株式会社TROBZ 代表取締役

愛知県岡崎市出身。大学卒業後、タイ・バンコクに渡り日本人学校で3年間従事。帰国後はデジタルマーケティングのベンチャー企業に参画し、新規部署の立ち上げや事業開発に携わる。2024年に株式会社TROBZを創業しLocina MEOやフォーカスSEOをリリース。SEO検定1級保有

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