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2025/10/6

一眼レフ初心者が最初に覚えるべき「F値・シャッタースピード・ISO感度」の関係

一眼レフ初心者が最初に覚えるべき「F値・シャッタースピード・ISO感度」の関係

念願の一眼レフカメラを手に入れたものの、「なんだかスマホで撮った方がキレイかも…」と悩んでいませんか? オートモードで撮ると、背景が思ったようにボケなかったり、室内で撮ると写真が暗すぎたり、逆にブレてしまったり。私自身も、カメラを始めたばかりの頃は、たくさんのボタンと専門用語に圧倒され、「高い買い物をしたのに使いこなせない…」と頭を抱えた経験があります。

その原因は、カメラが光を捉える仕組みを理解していないからかもしれません。一眼レフ初心者が最初に覚えるべきこと、それは「F値(絞り)」「シャッタースピード」「ISO感度」という3つの要素の関係性です。これらは「露出の三角形」と呼ばれ、写真の明るさと表現を決定する心臓部。この3つの関係さえ理解してしまえば、あなたの写真は劇的に変わります。オートモード任せから卒業し、「撮りたい写真」を自分の手で生み出す第一歩を踏み出しましょう。

1. カメラの基本!露出の三角形とは?

「露出の三角形(Exposure Triangle)」と聞くと、なんだか難しそうな数学の話に聞こえるかもしれませんが、心配ありません。これは、写真の明るさ(露出)を決めるための、たった3つの要素の関係を示したシンプルな図です。

その3つの要素とは、

  • F値(絞り):レンズから入る光の「
  • シャッタースピード:光を取り込む「時間
  • ISO感度:光を増幅させる「感度

写真は、カメラのセンサー(フィルムカメラでいうフィルムの部分)に、ちょうど良い量の光を届けることで写ります。光が少なすぎれば写真は真っ暗(露出アンダー)に、多すぎれば真っ白(露出オーバー)になってしまいます。

この「ちょうど良い光の量」を実現するために、私たちはこの3つの設定を調整します。例えるなら、「コップに水を入れる」作業を想像してみてください。

  • F値 = 蛇口のひねり具合(太く出すか・細く出すか)
  • シャッタースピード = 水道を開けている時間一瞬だけか・長くか)
  • ISO感度 = コップの大きさ(小さなコップならすぐ満杯になる)

「コップ一杯の水(=適切な明るさの写真)」を得るために、「蛇口を太く(F値を小さく)開けて、一瞬(シャッタースピードを速く)で水を入れる」こともできれば、「蛇口を細く(F値を大きく)絞って、ゆっくり(シャッタースピードを遅く)水を入れる」こともできますよね。

この3つのバランスこそが、写真撮影の基本であり、奥深さの源泉です。
それぞれの要素の役割を、もう少し詳しく見ていきましょう。

要素 主な役割 写真への影響
F値 (絞り) レンズを通る光の「量」を調整 背景のボケ味(被写界深度)
シャッタースピード センサーに光を当てる「時間」を調整 被写体の動き(ブレ、モーションブラー)
ISO感度 光に対するセンサーの「感度」を調整 写真の明るさとノイズ(ザラつき)

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2. F値(絞り)で背景のボケ味をコントロールする方法

一眼レフを買った人が、まず最初に感動するのが「背景がボケた写真」ではないでしょうか。あのプロっぽい写真の鍵を握っているのが、まさにこのF値(絞り)です。

F値は、レンズの中にある「絞り羽根」という板の開き具合を調整し、一度にカメラへ取り込む光の量をコントロールします。

F値は「F1.8」「F4」「F11」のように数値で表されますが、ここで初心者がつまずきやすいポイントがあります。

  • F値の数値が小さい(F1.8など) = 絞りを大きく開ける = 光はたくさん入る
  • F値の数値が大きい(F11など) = 絞りを小さく絞る = 光は少ししか入らない

「数値が小さい方が、開く」というのが直感と反するように感じるかもしれません。私は最初、「F11のほうがF1.8より偉い(たくさん光が入る)!」と勘違いしていました。これは「分数の分母」だと考えると分かりやすく、F1.8は「1/1.8」、F11は「1/11」の大きさの穴、とイメージすると良いでしょう。

そして、このF値が「ボケ味」にどう影響するか。これが最も重要です。

1. F値を小さくする(例:F1.8)

  • 絞りが開く
  • 光がたくさん入る(→暗い場所でも明るく撮りやすい)。
  • ピントが合う範囲(被写界深度)が狭くなる
  • 結果:背景が大きくボケる。ポートレート(人物撮影)に最適。

2. F値を大きくする(例:F11)

  • 絞りを絞る
  • 光が少ししか入らない(→明るい場所でないと暗くなる)。
  • ピントが合う範囲(被写界深度)が広くなる
  • 結果:手前から奥までクッキリ写る。風景写真に最適。

私が人物を撮るときは、まず「F値を一番小さい数値に設定する」ことから始めます。そうすることで、被写体(人物)だけが際立ち、背景がトロけるようにボケた、印象的な写真が撮れるからです。「ボケ味を操る」=「F値を操る」と言っても過言ではありません。

F値の設定 絞り 光の量 ピントの範囲 ボケ味 主な用途
小さい (例: F1.8) 開く 多い 狭い 大きくボケる ポートレート、花
大きい (例: F11) 絞る 少ない 広い 全体がクッキリ 風景写真、集合写真

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3. シャッタースピードで動きのある被写体を捉える

シャッタースピードは、その名の通り「シャッターが開いている時間」のことです。この時間だけ、カメラのセンサーに光が当たり続けます。

シャッタースピードは「1/1000秒」や「1秒」などで表されます。「1/1000秒」は、1秒間を1000分割した一瞬だけシャッターが開く、という意味です。

この「時間」が、写真の「動き」の表現に直結します。

1. シャッタースピードを速くする(例:1/1000秒)

  • シャッターが開いている時間が短い
  • 光は少ししか入らない(→写真は暗くなりがち)。
  • 一瞬を切り取ることができる。
  • 結果:動きの速い被写体もピタリと止まる。スポーツや走る子供、ペットの撮影に。

2. シャッタースピードを遅くする(例:1/15秒 や 1秒)

  • シャッターが開いている時間が長い
  • 光をたくさん取り込める(→暗い場所でも明るく写せる)。
  • 開いている間の「動き」がすべて記録される。
  • 結果:被写体が動いた軌跡がブレて写る(モーションブラー)。滝の流れをシルクのように滑らかに撮ったり、夜の車のライトを光の線として捉えることができます。

ただし、シャッタースピードを遅くする際は、「手ブレ」という最大の敵に注意しなければなりません。

シャッターが開いている間に、撮影者自身の手がわずかでも動くと、写真全体がぼんやりとブレてしまいます。これが手ブレです。一般的に、手持ちでブレずに撮れる限界は「1 / (レンズの焦点距離) 秒」程度と言われています。

私が夜景や滝の撮影に挑戦したての頃、三脚を持っていなかったため、シャッタースピードを遅くすると必ず手ブレ写真の山を築いていました。シャッタースピードを遅くして意図的なブレ(モーションブラー)を狙う場合は、カメラを三脚に固定することが鉄則です。

シャッタースピード 光の量 動きの表現 主な用途 注意点
速い (例: 1/1000秒) 少ない 動きを止める (フリーズ) スポーツ、動物、子供 写真が暗くなりやすい
遅い (例: 1/15秒) 多い 動きを流す (モーションブラー) 滝、川の流れ、夜景、星空 手ブレ・被写体ブレしやすい (三脚推奨)

4. ISO感度の役割とノイズとの関係

露出の三角形の最後の要素がISO感度(イソかんど)です。これは、F値やシャッタースピードとは少し毛色が異なります。

ISO感度は、センサーに届いた光を、カメラ内部でどれだけ電気的に増幅させるか、という「感度」のレベルを示す数値です。

「F値(絞り)」と「シャッタースピード」の2つを駆使しても、どうしても光の量が足りない…。例えば、暗い室内や夜間での撮影です。

こんなとき、

  • F値は、すでにレンズの最小値(F1.8など)で、これ以上開けられない。
  • シャッタースピードは、これ以上遅くすると手ブレしてしまう(例:1/30秒が限界)。

こんな「詰んだ」状況で、写真を適切な明るさまで引き上げてくれるのがISO感度です。

1. ISO感度を低くする(例:ISO 100, 200)

  • 光の増幅率は低い
  • 画質が最もクリアで、ノイズ(ザラつき)が少ない
  • 太陽光の下など、十分な光がある場所での基本設定。

2. ISO感度を高くする(例:ISO 1600, 3200, 6400)

  • 光の増幅率は高い
  • 少ない光でも、強制的に写真を明るくできる。
  • 暗い場所でも、シャッタースピードを(手ブレしない程度に)速く保てる。
  • デメリット:増幅の過程で、「ノイズ」と呼ばれるザラザラとした粒子が写真に現れる

ISO感度は、例えるなら「声の大きさ」です。静かな場所(ISO 100)では普通の声で十分伝わりますが、騒がしい場所(暗い場所)では、声を張り上げ(ISOを上げ)ないと相手に聞こえません。ただし、声を張り上げすぎると、声が枯れて(ノイズが乗って)しまいます。

かつてフィルムカメラや初期のデジタルカメラでは、ISO感度を上げることは画質の低下に直結するため、非常に嫌われました。しかし、近年のデジタル一眼レフやミラーレスカメラの性能は劇的に向上しています

私が初心者の頃は「ノイズが怖いからISOは800まで」と自分に制約を課していましたが、それが原因でシャッタースピードが遅くなり、結果的にブレた写真を量産していました。ブレた写真は二度と元に戻せませんが、ノイズはある程度なら後から編集で軽減できます

ノイズを恐れすぎず、「ブレるくらいならISOを上げろ」。これは、私が師匠から教わった、今でも大切にしている教えです。

ISO感度 感度 (増幅率) 必要な光の量 画質 (ノイズ) 主な撮影シーン
低い (例: 100-400) 低い 多い (明るい場所) 非常に良い (ノイズ少) 日中の屋外、スタジオ
高い (例: 1600-6400) 高い 少ない (暗い場所) ノイズが発生しやすい 室内、夜間、スポーツ (SSを稼ぎたい時)

関連記事はこちら:再生数が劇的に変わる!プロが教える縦型動画の構図と撮影術10選


5. 絞り優先モード(A/Av)の便利な使い方

ここまで「露出の三角形」の3要素を解説しましたが、「いきなり3つ全部を自分で決めるなんて無理!」と感じたかもしれません。その通りです。

そこで、一眼レフ初心者がまず使いこなすべきなのが「絞り優先モード」です。

カメラのモードダイヤルにある「A」または「Av」がこのモードです。(Aperture Value の略)

絞り優先モードとは、

  1. 撮影者が「F値(絞り)」を決定する。(「ボケ味」を自分でコントロール)
  2. (多くの場合、ISO感度も自分で決めるか、オートの上限を設定する)
  3. すると、カメラが「シャッタースピード」を自動で計算し、設定してくれる。

なぜこのモードが最強なのでしょうか?
それは、写真の「表現」に最も大きく関わる「F値(ボケ味)」を、撮影者が意図的にコントロールできるからです。

  • 「背景をボカして主役を際立たせたい」 → F値を小さく(F1.8など)設定する
  • 「旅行先の壮大な景色を、手前から奥までクッキリ見せたい」 → F値を大きく(F11など)設定する

このように「どんな写真にしたいか」という意図をF値に込めさえすれば、面倒な明るさの計算(シャッタースピードの決定)はカメラがすべてやってくれます。

正直に言うと、プロのカメラマンである私でも、撮影の90%以上はこの「絞り優先モード」を使っています。それほどまでに、このモードは完成度が高く、効率的で、クリエイティブな撮影をサポートしてくれるのです。

オートモードから卒業する最初のステップとして、まずは「A (Av) モード」にダイヤルを合わせ、F値を自分で変えてみる。それだけで、あなたの写真は劇的に変わるはずです。

参考:初心者でもできる!ホームページ制作の基本と流れ


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6. シャッタースピード優先モード(S/Tv)はいつ使う?

「A (Av) モード」の兄弟のような存在が「シャッタースピード優先モード」です。モードダイヤルでは「S」または「Tv」と表記されます。(Shutter / Time Value の略)

これは「絞り優先モード」の逆で、

  1. 撮影者が「シャッタースピード」を決定する。(「動き」を自分でコントロール)
  2. (ISO感度は自分で決める)
  3. すると、カメラが「F値(絞り)」を自動で計算し、設定してくれる。

絞り優先モードが「ボケ味」を優先するモードだったのに対し、こちらは「被写体の動き」を最優先するモードです。

では、具体的にいつ使うのでしょうか? 答えは明確です。

1. 動きを「止めたい」とき

  • 例:運動会で走る子供、ドッグランを駆け回る犬、スポーツの試合。
  • 「S (Tv) モード」にして、シャッタースピードを「1/1000秒」「1/2000秒」といった高速に固定します。
  • こうすれば、カメラがF値をどう設定しようとも、必ず「止まった写真」が撮れます。
  • 「A (Av) モード」でF値を開放(F1.8など)にしていても、日陰に入った瞬間にシャッタースピードが(カメラの自動計算で)1/100秒などに落ちてしまい、被写体ブレを起こす…という失敗を防げます。

2. 動きを「流したい(ブレさせたい)」とき

  • 例:滝や川の流れ、車のライトの光跡、意図的な「流し撮り」。
  • 「S (Tv) モード」にして、シャッタースピードを「1/15秒」「1秒」といった低速に固定します。
  • 三脚にカメラを据えれば、カメラがF値を(F22などに)自動で絞り込み、適正な明るさで滑らかな水の流れを撮影してくれます。

「ボケ味をコントロールしたいならAモード、動きをコントロールしたいならSモード」。この使い分けを覚えるだけで、撮影シーンのほぼ全てに対応できます。

撮影モード 自分で決める要素 カメラが自動で決める要素 目的 / メリット おすすめのシーン
絞り優先 (A/Av) F値 (ボケ味) シャッタースピード ボケ味を自由に操れる ポートレート、風景、日常スナップ
SS優先 (S/Tv) シャッタースピード (動き) F値 動きの表現(静止・ブレ)を操れる スポーツ、動物、滝、夜景の光跡

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7. マニュアルモードでの撮影に挑戦するステップ

「A (Av) モード」と「S (Tv) モード」を使いこなせるようになったら、いよいよ「露出の三角形」のすべてを自分でコントロールする「マニュアルモード(M)」の出番です。

マニュアルモードとは、その名の通り、F値・シャッタースピード・ISO感度の3つすべてを撮影者が手動で設定するモードです。

これはカメラ任せの部分が一切ない、いわば「上級者モード」であり、最もクリエイティブな撮影が可能なモードでもあります。

とはいえ、初心者がいきなり挑戦すると、明るさがメチャクチャな写真になりがちです。そこで、マニュアルモードに挑戦するための簡単なステップをご紹介します。

マニュアルモード習得 4ステップ

  1. ISO感度を固定する
    まずは撮影環境に合わせてISOを決めます。日中の屋外ならISO 100、曇りや日陰ならISO 400、室内ならISO 8001600、といった具合に、まずはISOを固定してしまいましょう。
  2. 表現したい要素(F値 or SS)を決める
    次に、「ボケ味」と「動き」のどちらを優先するか決めます。
    ボケ味優先なら: F値を先に決めます(例:ポートレートなので F2.8 に設定)。
    動き優先なら: シャッタースピードを先に決めます(例:動きを止めたいので 1/500秒 に設定)。
  3. 露出計を見ながら、残りの設定を調整する
    (次の見出しで詳しく解説しますが)カメラのファインダー内には「露出計」というメモリがあります。ステップ2で決めた設定のままでは、このメモリが「暗すぎ(-)」や「明るすぎ(+)」を指しているはずです。
    ステップ2でF値を決めたなら、残りのシャッタースピードのダイヤルを回して、この露出計の針が「0(ゼロ)」に来るように調整します。
  4. 撮影して確認、微調整する
    「0」の位置で一度撮影してみます。もし「思ったより暗いな」と感じたら、シャッタースピードを少し遅くする(またはISOを一段階上げる)など、微調整を行います。

この「ISO固定 → F値かSSを決める → 残りで0に合わせる」という手順は、私が新人フォトグラファーにマニュアルモードを教えるときに、いつも伝えている鉄板の練習法です。

なぜマニュアルモードが必要かというと、例えば「逆光のポートレートで、背景は明るく飛ばしつつ、人物の顔は適正な明るさにしたい」といった、カメラの自動露出では判断が難しい、意図的な表現をしたいときに、このモードが最強の武器となるからです。


8. 写真の明るさを調整する「露出補正」

「A (Av) モード」や「S (Tv) モード」は非常に優秀ですが、万能ではありません。カメラの自動露出は、基本的に「世の中のものはすべて中間の明るさ(グレー)である」という前提で計算されています。

そのため、カメラが「苦手」とするシチュエーションがあります。

  • 苦手な場面①:白っぽいものが画面の大半を占めるとき(雪景色、白い壁、逆光)
    → カメラが「白すぎる!明るすぎる!」と勘違いし、自動的に写真を暗くしようとします。結果、雪がネズミ色に写ってしまいます。
  • 苦手な場面②:黒っぽいものが画面の大半を占めるとき(黒い服の人物、暗い背景)
    → カメラが「黒すぎる!暗すぎる!」と勘違いし、自動的に写真を明るくしようとします。結果、黒が締まらず、白っぽく浮いた写真になります。

このようなカメラの「勘違い」を、撮影者の意図で「こっちが正解だよ」と教えてあげる機能が「露出補正」です。

カメラにある「+/-」と書かれたボタンがそれです。このボタンを押しながらダイヤルを回すことで、カメラが自動で計算した「0」の基準点を、意図的にズラすことができます。

露出補正の基本的な使い方

  • プラス(+)に補正する:カメラの基準(0)よりも明るく撮る。
    • (使用例)雪景色を「白く」撮りたい時。逆光で人物の顔が「暗く」潰れそうな時。フワフワした「ハイキー」な写真を撮りたい時。
  • マイナス(-)に補正する:カメラの基準(0)よりも暗く撮る。
    • (使用例)黒い被写体を「黒く」引き締めて撮りたい時。夕焼けの空の色を「濃く」出したい時。シックで「ローキー」な写真を撮りたい時。

私が初めて雪景色の撮影に行ったとき、オートで撮った写真がすべて暗く、灰色に写っていて愕然としました。その時、露出補正ダイヤルを「+1.0」や「+1.5」に回したところ、目で見ている通りの「真っ白な雪景色」が撮れたのです。この「カメラのクセを読んで、補正する」感覚こそ、初心者から中級者へステップアップするための重要な鍵となります。

補正の方向 写真の仕上がり 主な使用シーン 具体的な被写体例
プラス (+) 補正 明るくする カメラが「明るすぎる」と誤解して暗く写してしまう時 雪景色、逆光の人物、白い壁、ハイキーな表現
マイナス (-) 補正 暗くする カメラが「暗すぎる」と誤解して明るく写してしまう時 黒い被写体、夕焼け、夜景、ローキーな表現

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9. 適切な設定がわかる「露出計」の見方

ここまで「カメラが自動で計算する」とか「0に合わせる」といった話をしてきましたが、その「0」の基準を示しているのが「露出計(露出レベルインジケーター)」です。

ファインダーを覗いた時や、背面の液晶モニターに表示されている、「…-2..-1..0..+1..+2…」というメモリ。これが露出計です。

この露出計は、「あなたが今設定しているF値・シャッタースピード・ISO感度の組み合わせだと、カメラはこれくらいの明るさになると思いますよ」という予測をリアルタイムで表示する、非常に重要なガイドです。

各モードでの露出計の役割

  • A (Av) モード や S (Tv) モード の場合:
    基本的に、カメラは常にこの露出計の針が「0」を指すように、F値やシャッタースピードを自動で調整し続けます。
    ここで前述の「露出補正」を(例えば+1.0に)設定すると、カメラは「0」ではなく、「+1.0」の地点をゴール(適正露出)として、自動計算するようになります。
  • M (マニュアル) モードの場合:
    カメラは何も自動で調整してくれません。この露出計は、単なる「現在の明るさを示すメーター」として機能します。
    F値、シャッタースピード、ISO感度を自分で変更すると、そのたびに針が左右に動きます。撮影者は、この針が「0」に来るように(あるいは意図的に「-1」や「+1」など、狙った位置に来るように)3つの要素を自分で調整します。

私がマニュアルモードで撮影するときは、常に左目でファインダーを覗き、この露出計の針の動きを睨みながら、右手親指のダイヤル(F値)と人差し指のダイヤル(シャッタースピード)を操作しています。

露出計が「-2」を指しているのにシャッターを切れば、当然、真っ暗な写真になります。逆に「+2」なら真っ白です。「0」が常に「正解」とは限りませんが、この「0」という基準を知らなければ、自分の意図する明るさに調整することすらできません

まずは「A (Av) モード」で、露出補正ダイヤルを回してみて、露出計の基準点が「0」から「+1」や「-1」に動く様子を確認してみてください。このメーターこそが、カメラと対話するための「共通言語」なのです。

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10. 日中の屋外撮影での基本設定例

最後に、これまで学んだF値・シャッタースピード・ISO感度の関係性を踏まえ、一眼レフ初心者がまず試すべき、具体的なシチュエーションでの設定例をご紹介します。

これは「正解」ではなく、あくまで「ここから始めると失敗が少ない」という基本のセッティングです。

【シーン①】 天気の良い屋外で、友人(人物)を撮る

  • 目的: 背景をほどよくボカして、人物を主役として際立たせたい。
  • 推奨モード: 絞り優先モード (A/Av)
  • 設定ステップ:
    1. ISO感度: ISO 100(または200)。日中は光が十分すぎるほどあるので、ノイズが最も少ない最低感度に設定します。
    2. F値: F2.8 〜 F5.6 あたりに設定。(もしF1.8など、もっと小さいF値のレンズを持っているなら、F1.8に設定してもOK)。数字を小さくするほど、背景は大きくボケます。
    3. シャッタースピード: カメラ任せ(AUTO)。日中の屋外でF値を開放(F2.8など)にすると、光がたくさん入るため、シャッタースピードは自動的に 1/1000秒 や 1/2000秒 といった高速になります。手ブレの心配は一切ありません。
    4. 露出補正: まずは「0」で撮影。もし逆光で顔が暗く写ったら「+0.7」〜「+1.0」程度に補正します。

【シーン②】 室内(カフェなど)で、料理や小物を撮る

  • 目的: 手ブレを防ぎつつ、料理を美味しそうに撮りたい。
  • 推奨モード: 絞り優先モード (A/Av)
  • 設定ステップ:
    1. ISO感度: ISO 800 〜 1600。屋外に比べると光が足りません。「ブレるくらいならISOを上げる」の精神で、感度を上げてシャッタースピードを稼ぎます。
    2. F値: F4(または、持っているレンズの最小F値)。料理全体にピントが来つつ、背景も少しボケるバランスを狙います。
    3. シャッタースピード: カメラ任せ(AUTO)。この時、カメラが自動で設定したシャッタースピードが 1/60秒 より遅く(例: 1/30, 1/15)なっていないか確認します。もし遅くなっているなら、手ブレの危険信号です。その場合は、ISO感度を 1600 → 3200 に上げるなどして、シャッタースピードが 1/60秒 以上になるよう調整します。
    4. 露出補正: まずは「0」で。窓際からの光が強すぎる場合は「-0.3」など微調整します。
撮影シーン 推奨モード ISO感度 (目安) F値 (目安) シャッタースピード (目安) ポイント
日中の屋外ポートレート A (Av) モード 100-200 F1.8-F4 (小さくしてボカす) AUTO (高速になる) F値でボケ味を決定。逆光なら+補正。
日中の風景写真 A (Av) モード 100-200 F8-F16 (大きくしてクッキリ) AUTO (F値により遅くなることも) F値でピントの範囲を決定。三脚推奨。
室内での撮影 A (Av) モード 800-3200 F1.8-F4 (小さくして光を取り込む) AUTO (1/60秒以上を確保) ISOを上げて手ブレを防ぐことが最優先。
スポーツ・動く子供 S (Tv) モード 400-1600 (AUTOも可) AUTO 1/500-1/2000秒 (速くして止める) シャッタースピードで動きを止めることを優先。

露出の三角形を理解し、オートモードから卒業する

ここまで、一眼レフ初心者が最初に覚えるべき「F値・シャッタースピード・ISO感度」の関係について、その役割と具体的な設定方法を解説してきました。

この3つの要素は、写真の明るさを決める「露出の三角形」であると同時に、写真の表現を決める「クリエイティブな三角形」でもあります。F値はボケ味を、シャッタースピードは動きを、ISO感度は画質(ノイズ)をコントロールします。これら3つの関係性を理解することは、オートモード任せの「記録写真」から、あなたの意図が反映された「作品」へとステップアップするための、最も重要で確実な近道です。

この複雑に見える関係性を使いこなすために、今日からできる具体的なアクションを2つ提案します。

  1. まずはカメラのモードダイヤルを「A (Av)=絞り優先モード」にセットしてください。そして、ISO感度を「AUTO(上限1600程度)」に設定し、F値のダイヤルだけを回して、ボケ味がどう変わるか意識しながら撮影してみてください。
  2. 次に、走っている子供やペットを撮る機会があれば、モードを「S (Tv)=シャッタースピード優先モード」にし、シャッタースピードを「1/1000」に固定して撮影してみてください。ピタリと止まった写真が撮れるはずです。

マニュアルモードで3つすべてを操る必要はまだありません。まずはAモードとSモードを使いこなし、「F値」か「シャッタースピード」のどちらか一つを自分で決めることから始めてください。その小さな一歩が、あなたの写真撮影を何倍も楽しく、クリエイティブなものに変えてくれるはずです。

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執筆者

株式会社TROBZ 代表取締役

愛知県岡崎市出身。大学卒業後、タイ・バンコクに渡り日本人学校で3年間従事。帰国後はデジタルマーケティングのベンチャー企業に参画し、新規部署の立ち上げや事業開発に携わる。2024年に株式会社TROBZを創業しLocina MEOやフォーカスSEOをリリース。SEO検定1級保有

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