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Webマーケティング会社の選び方|失敗しないための比較ポイント

Webマーケティング会社の選び方|失敗しないための比較ポイント

現代のビジネスにおいて、Webマーケティングはもはや特殊な専門部署だけの仕事ではありません。企業の成長と存続を左右する、経営そのものと直結した最重要戦略です。しかし、その重要性が増す一方で、「Webマーケティング会社に高額な費用を払ったのに、全く成果が出なかった」「専門用語ばかりで、何をやっているのかよく分からないまま契約が終わってしまった」といった失敗談が後を絶ちません。その原因の多くは、自社の課題や目的が曖昧なまま、あるいはWebマーケティング会社の種類や役割を正しく理解しないまま、パートナー選びを進めてしまったことにあります。本稿は、そうした不幸なミスマッチを防ぎ、自社のビジネスを真に成長させてくれる「最高のパートナー」を見つけ出すための、実践的な羅針盤です。各社の違いから、実績の見極め方、担当者との相性、そして契約前の最終チェックポイントまで、失敗しないための比較ポイントを網羅的に解説します。この羅針盤を手に、あなたの会社にとって最良の航路を切り拓いてください。

1. 制作会社、広告代理店、コンサルティング会社の違い

Webマーケティングの支援を外部に求めようとした時、多くの経営者や担当者が最初に直面する壁が、「Web制作会社」「広告代理店」「Webコンサルティング会社」といった、様々な業態の会社が存在し、それぞれ何が違うのかが分かりにくいという問題です。これらの会社は、それぞれに得意とする領域や提供する価値が全く異なります。自社の課題や目的に合わないタイプの会社を選んでしまうと、期待した成果が得られないばかりか、貴重な予算と時間を無駄にしてしまいます。まずは、それぞれの特徴を正しく理解し、自社が今、どのタイプの専門家を必要としているのかを見極めることから始めましょう。

Web制作会社:形にするプロフェッショナル

  • 主な役割: Webサイト、LP(ランディングページ)、ECサイトといった、Web上の「器」や「箱」を、デザインし、構築することが主な役割です。彼らは、見た目が美しく、ユーザーが使いやすいサイトを作るためのデザインスキルと、それを実際にブラウザで表示させるための技術力(コーディング)を持つ、「モノづくりのプロ」です。
  • 得意なこと:
    • ビジュアルデザイン、UI/UXデザイン
    • HTML/CSS/JavaScriptによるコーディング
    • WordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)の構築
    • ECサイトの構築
  • こんな企業におすすめ:
    • 「Webサイトが古くなったので、リニューアルしたい」
    • 「新商品のための、デザイン性の高いLPを1枚作りたい」
    • 「自社でECサイトを立ち上げたい」
    • Webマーケティングの戦略や集客プランは既に自社で明確になっており、それを具現化するための「制作実務」を依頼したい場合。
  • 注意点:
    • 制作会社の中には、制作後の集客(SEOや広告運用)までを視野に入れた提案ができる会社もありますが、基本的には「作ること」が専門です。サイトを作った後の「集客」や「運用」に関する知見が、必ずしも豊富とは限りません。「綺麗なサイトはできたけど、誰も見に来ない」という事態に陥る可能性があるため、集客までを依頼したい場合は、その実績や体制を慎重に確認する必要があります。

広告代理店(Web広告特化型):集めるプロフェッショナル

  • 主な役割: Google広告、Yahoo!広告、SNS広告(Facebook, Instagramなど)といった、Web広告の運用を代行し、Webサイトへの「集客」を最大化することが主な役割です。彼らは、どの広告媒体に、どのようなターゲット設定で、いくらの予算を投下すれば最も効率的に見込み客を集められるかを知る、「広告運用のプロ」です。
  • 得意なこと:
    • リスティング広告やディスプレイ広告の運用
    • SNS広告の運用
    • 広告クリエイティブ(バナーや広告文)の制作
    • 広告効果の測定とレポーティング
  • こんな企業におすすめ:
    • 「短期間で、すぐにでもWebサイトへのアクセスを増やしたい」
    • 「新商品の認知度を、広告を使って一気に高めたい」
    • 「自社で広告を運用しているが、CPA(顧客獲得単価)が合わない」
    • 集客の即効性を求めている場合や、広告運用に関する専門的なノウハウを求めている場合。
  • 注意点:
    • 彼らのミッションは、あくまで広告を通じて「アクセスを集めること」です。集めたアクセスを、いかにして売上や問い合わせ(コンバージョン)に繋げるかという、サイト内部の改善(CRO:コンバージョン率最適化)や、コンテンツの質については、専門外であるケースも少なくありません。また、広告費を投下し続けなければ集客が止まってしまうため、中長期的な資産となるSEOなどの施策も並行して検討することが重要です。

Webコンサルティング会社:導くプロフェッショナル

  • 主な役割: 特定の施策(制作や広告)に限定せず、企業のビジネス全体の目標を達成するために、Webマーケティングの「戦略」そのものを立案し、その実行を監督・支援することが主な役割です。市場分析、競合調査、KGI/KPI設定から、施策の優先順位付け、実行フェーズのプロジェクトマネジメントまでを担う、「戦略立案と課題解決のプロ」です。
  • 得意なこと:
    • 市場・競合・自社の3C分析
    • Webマーケティング戦略の立案とKGI/KPI設計
    • SEO、コンテンツマーケティング、SNS戦略など、複合的な施策のプランニング
    • データ分析(Googleアナリティクスなど)と改善提案
  • こんな企業におすすめ:
    • 「Webで成果が出ていないが、何から手をつければいいか分からない」
    • 「場当たり的な施策ではなく、体系的なWeb戦略を構築したい」
    • 「社内にWebマーケティングの知見がなく、全体の旗振り役が欲しい」
    • Webマーケティングの最上流である「戦略設計」から、専門家の支援を求めている場合。
  • 注意点:
    • コンサルティング会社は、戦略立案が主であるため、実際のサイト制作や広告運用は、外部のパートナー会社と連携して行う、あるいはクライアント自身での実行を求めるケースがあります。また、一般的に費用も高額になる傾向があります。

実際には、これらの領域を複数カバーする「総合型」の会社も多く存在します。しかし、それぞれの会社には必ず「出自」や「最も得意とするコアな領域」があります。自社の課題は「制作」なのか、「集客」なのか、それとも「戦略」なのか。この最初の見極めが、パートナー選びの成功への第一歩となるのです。

2. 自社の目的(集客、ブランディング等)を明確にする

Webマーケティング会社選びで失敗する最大の原因は、依頼する側の「目的」が曖昧なことにあります。「なんとなくWebで売上を上げたい」「競合がやっているから、うちもSEOを始めたい」といった、漠然とした動機でパートナー探しを始めてしまうと、Webマーケティング会社の営業担当者が提示する耳障りの良い提案に流されてしまい、結果として自社の課題解決には繋がらない、不要なサービスまで契約してしまうことになりかねません。

Webマーケティング会社は、あなたのビジネスの課題を解決するための「手段」を提供してくれるパートナーです。その「手段」を正しく選ぶためには、まず自社が達成したい「目的」を、社内で徹底的に議論し、明確に言語化しておくことが不可欠です。

なぜ目的の明確化が最重要なのか

  • 最適なパートナー選びの羅針盤になる:
    • 目的が明確であれば、前章で解説した「制作会社」「広告代理店」「コンサルティング会社」のうち、どのタイプの専門家が必要なのかが自ずと見えてきます。「ブランドイメージを一新したい」ならデザインに強い制作会社、「とにかく短期でリードを獲得したい」なら広告代理店、「何が課題か分からない」ならコンサルティング会社、といった具合です。目的が、最適なパートナー選びの羅針盤となります。
  • 提案の質を見極める判断基準になる:
    • 複数の会社から提案を受けた際に、その内容が自社の目的に沿っているか、貢献するかという明確な判断基準を持つことができます。「デザインは綺麗だが、集客という目的には繋がりそうにない」「アクセスは集まるかもしれないが、ブランディングという目的とは逆行する手法だ」といった、的確な評価が可能になります。
  • プロジェクト開始後の「ズレ」を防ぐ:
    • プロジェクトが始まった後も、目的は常に立ち返るべき原点となります。施策の方向性に迷った時や、関係者間での意見が割れた時に、「私たちの目的は〇〇でしたよね」と確認することで、プロジェクトが道を見失うのを防ぎます。

目的を具体的・定量的に設定する

目的は、単なるスローガンではなく、具体的かつ測定可能な目標として設定することが重要です。そのために、KGI(重要目標達成指標)KPI(重要業績評価指標)というフレームワークを活用しましょう。

  • KGI (Key Goal Indicator) – 最終目標:
    • Webマーケティング活動を通じて、ビジネス全体で最終的に達成したい目標のことです。売上や利益に直結する、経営レベルの指標を設定します。
    • 設定例:
      • 「Webサイト経由の売上を、1年後に現在の月100万円から300万円にする」
      • 「Webサイト経由での問い合わせ(リード)件数を、半年後に月20件から100件にする」
      • 「採用サイト経由での応募者数を、採用期間中に50名獲得する」
  • KPI (Key Performance Indicator) – 中間目標:
    • KGIを達成するためのプロセスを計測するための中間的な指標です。KGIを因数分解して設定します。
    • 設定例(KGIが「問い合わせ100件/月」の場合):
      • 売上や問い合わせ(CV)は、「セッション数 × コンバージョン率(CVR)」という式で成り立っています。
      • KPI 1: 自然検索からのセッション数: 月間〇〇セッションを目指す
      • KPI 2: コンバージョン率 (CVR): 〇%を目指す
      • KPI 3: CPA (顧客獲得単価): 〇〇円以下に抑える
      • KPI 4: 特定キーワードでの検索順位: 〇位以内を目指す

RFP(提案依頼書)を作成する

社内で明確化した目的や目標、課題、予算などを、「RFP(Request for Proposal:提案依頼書)」というドキュメントにまとめることを強くお勧めします。

RFPを作成するプロセスは、自社の考えを整理する上で非常に役立ちますし、これを各候補企業に提示することで、各社は同じ前提条件で提案を作成することになります。これにより、提案の質や方向性がバラバラになるのを防ぎ、各社の提案を公平かつ正確に比較検討することが可能になります。

  • RFPに盛り込むべき主な項目:
    • プロジェクトの背景と目的: なぜこのプロジェクトを行うのか、最終的に何を達成したいのか(KGI)。
    • 自社の現状と課題: 現在のWebサイトの状況、マーケティング活動の内容、そして感じている課題。
    • ターゲット顧客: どのような顧客にアプローチしたいのか(ペルソナ)。
    • 依頼したい業務の範囲: サイト制作、広告運用、SEO、コンサルティングなど。
    • 予算とスケジュール: 想定している予算感と、希望する公開・開始時期。
    • 選定基準: パートナー選定において、何を重視するか(実績、価格、担当者のスキルなど)。

この「目的の明確化」という、プロジェクト開始前の地道な準備こそが、Webマーケティング会社選びの成否を分ける、最も重要なステップなのです。

3. 実績紹介で見るべきポイント

Webマーケティング会社のホームページに必ずと言っていいほど掲載されている「実績紹介」や「お客様事例」。これは、その会社の実力や得意分野を判断するための、最も重要な情報源の一つです。しかし、ただ漠然と「綺麗なサイトだな」「有名な企業の案件をやっているな」と眺めているだけでは、その会社が本当に自社のパートナーとしてふさわしいかを見極めることはできません。

実績紹介の中から、その裏側にある「思考のプロセス」や「課題解決能力」を読み解く。この視点を持つことが、失敗しないパートナー選びの鍵となります。

「結果」だけでなく「プロセス」が語られているか

最も重要なチェックポイントは、その実績が「どのような課題に対して、どのような戦略を立て、どのような施策を実行し、その結果どうなったのか」という、一連のストーリーとして語られているか、という点です。

  • 見るべきストーリーの構成 (Before → Action → After):
    • Before (課題): そのクライアント企業は、プロジェクト開始前にどのような課題を抱えていたのか?(例:「Webサイトからの問い合わせが月に1件しかなく、営業活動の大半をテレアポに頼っていた」)この部分が具体的であればあるほど、その会社が顧客のビジネス課題を深く理解しようとする姿勢を持っていることが分かります。
    • Action (戦略・施策): その課題を解決するために、なぜその戦略(例:コンテンツSEOの強化)を選び、具体的にどのような施策(例:ターゲットキーワードの選定、専門性の高いコラム記事の月4本制作、内部リンクの最適化)を実行したのか?施策の「意図」が語られているかが重要です。
    • After (成果): 施策の結果、どのような定量的・定性的な成果が出たのか?(例:「半年後、自然検索からの問い合わせが月30件に増加し、CPAが従来の1/5になった。また、これまでアプローチできなかった大手企業からの引き合いも増えた」)「アクセス数が2倍になりました」といった曖昧な成果ではなく、ビジネスのゴール(KGI)に直結する具体的な数値が示されている実績は、信頼性が高いと言えます。

単に制作したサイトのスクリーンショットが並んでいるだけの実績紹介は、その会社が「作る」ことしか考えていない可能性があります。ビジネスの課題解決という視点でプロセスが語られている実績こそ、高く評価すべきです。

自社との共通点を探す

いくら素晴らしい実績であっても、それが自社の状況とかけ離れていては、再現性が期待できません。実績の中から、自社との「共通点」を探す視点を持ちましょう。

  • 同業界・類似業界での実績:
    • 自社と同じ業界での実績があれば、その会社が業界特有の商習慣や顧客心理、専門用語などを既に理解している可能性が高く、コミュニケーションがスムーズに進むことが期待できます。特に、BtoB、BtoC、EC、採用など、ビジネスモデルが近い実績は要注目です。
  • 同規模・類似フェーズでの実績:
    • 大企業の華やかな実績ばかりをアピールしている会社が、リソースの限られた中小企業の課題に寄り添えるとは限りません。自社と同程度の事業規模や、同じような成長フェーズ(創業期、成長期など)にある企業の支援実績があるかを確認しましょう。限られた予算の中で、いかにして成果を最大化してきたか、というノウハウを持っている可能性があります。
  • 同じ課題を解決した実績:
    • 自社が抱える課題(例:「新規リードの獲得」「ブランド認知度の向上」「採用応募者の増加」)と同じ種類の課題を解決した実績があるかは、必ずチェックすべきポイントです。その会社が、あなたの会社の課題を解決するための「勝ちパターン」を知っている可能性が高いと言えます。

実績の「質」と「鮮度」を確認する

  • 定量的な成果の具体性:
    • 前述の通り、「問い合わせ150%アップ」といった相対的な表現だけでなく、「月間5件→月間12件」のように、実数が示されている方が信頼できます。可能であれば、その成果がどのくらいの期間で達成されたのかも確認しましょう。
  • デザインのクオリティと多様性:
    • 制作実績のデザインテイストが、特定のスタイルに偏っていないか、多様なブランドイメージに対応できているかを確認します。これにより、その会社のデザインの引き出しの多さが分かります。
  • 情報の鮮度:
    • 掲載されている実績が、何年も前の古いものばかりではないかを確認します。Webマーケティングの世界はトレンドの移り変わりが非常に速いため、常に最新の知識や技術をキャッチアップし、実践している会社であることの証として、直近1〜2年の実績が充実していることが望ましいです。

実績紹介は、その会社の能力と姿勢を映し出す鏡です。見た目の華やかさに惑わされず、その裏側にある課題解決への真摯な取り組みを読み解くことで、真に信頼できるパートナーを見つけ出すことができるのです。

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4. 得意な業界や手法を確認する

Webマーケティングと一言で言っても、その対象となる業界や、用いられる具体的な手法は多岐にわたります。そして、Webマーケティング会社も、それぞれに「得意な戦い方」、すなわち得意とする業界や、コアな強みを持つ手法が存在します。「どんな業界でも、どんな手法でも対応できます」と謳う会社よりも、特定の領域で圧倒的な専門性と実績を持つ会社の方が、結果として高い成果をもたらしてくれる可能性が高いのです。

自社の業界や、解決したい課題に最適な「スペシャリスト」を見つけ出すために、候補となる会社の得意領域を深く見極めることは、極めて重要なプロセスです。

得意な「業界」の見極め方

特定の業界でのマーケティングを成功させるためには、その業界特有の商習慣、顧客の購買決定プロセス(BtoBの場合)、専門用語、法規制などを深く理解している必要があります。業界への知見が深いパートナーは、コミュニケーションがスムーズなだけでなく、より的確で、踏み込んだ戦略提案が期待できます。

  • 実績紹介から読み解く:
    • 前章の「実績紹介で見るべきポイント」でも触れた通り、その会社の実績ポートフォリオが、特定の業界に集中しているか、あるいは多岐にわたっているかを確認します。例えば、BtoBの製造業、医療・クリニック、不動産、士業、ECサイトなど、特定の分野での実績が豊富であれば、その業界が彼らの得意領域である可能性が高いです。
  • Webサイトやブログの内容を確認する:
    • その会社のオウンドメディア(自社ブログやコラム)をチェックしましょう。特定の業界のマーケティングに関する深い考察記事や、その業界向けのセミナー開催情報などが掲載されていれば、その分野への専門性を社内に蓄積しようとする、意識の高さの表れと言えます。
  • 直接ヒアリングする:
    • 商談の場で、ストレートに「御社が最も得意とされている業界は何ですか?」と質問してみましょう。その際に、なぜその業界が得意なのか、具体的な成功事例や、その業界で成果を出すためのポイントなどを、自信を持って、かつ論理的に語れるかどうかで、その専門性の深さを測ることができます。

得意な「手法」の見極め方

Webマーケティングの手法は、SEO、広告運用、SNSマーケティング、コンテンツ制作など様々です。自社が今、最も強化したい手法に強みを持つ会社を選ぶことが、成果への近道となります。

  • SEO(検索エンジン最適化)に強い会社:
    • 特徴: 中長期的な視点で、広告費に頼らない資産となる集客基盤を築きたい場合に最適です。
    • 見極めポイント:
      • 自社サイト自身が、狙ったキーワードで上位表示されているか(自社のSEOができていない会社は信頼できません)。
      • テクニカルSEO(サイトの内部構造改善)から、コンテンツSEO(記事制作)、外部SEO(被リンク獲得)まで、SEOの三要素をバランス良く語れるか。
      • コンテンツ制作の実績が豊富で、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を意識した質の高い記事を作成できるか。
  • Web広告運用に強い会社:
    • 特徴: 短期間で成果を出したい、特定のターゲットに集中的にアプローチしたい場合に最適です。
    • 見極めポイント:
      • Google広告やYahoo!広告の正規代理店に認定されているか。これは、一定の運用実績と知識を持つ証となります。
      • リスティング広告だけでなく、ディスプレイ広告、SNS広告、動画広告など、多様な広告媒体の運用実績があるか。
      • 広告アカウントの「運用状況を、いつでも開示してもらえるか」を確認しましょう。アカウントをブラックボックス化し、詳細なレポートを出さない会社は避けるべきです。
  • SNSマーケティングに強い会社:
    • 特徴: ブランディング、ファン育成、若年層へのアプローチなどを目的とする場合に最適です。
    • 見極めポイント:
      • X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、LINE、TikTokなど、各プラットフォームの特性を深く理解し、戦略的な使い分けを提案できるか。
      • 単なる投稿代行だけでなく、キャンペーンの企画、インフルエンサーのアサイン、SNS広告の運用、炎上対策まで、総合的なSNSマーケティングの知見があるか。
      • 実際に運用を支援しているアカウントの、フォロワー数だけでなく、エンゲージメント率(投稿への反応率)などの質的な指標も確認しましょう。

自社のビジネスがBtoBなのかBtoCなのか、商材は高価格帯か低価格帯か、顧客の検討期間は長いか短いか。これらの特性によって、最適な手法は大きく異なります。自社のビジネスモデルと課題を正しく理解し、その解決に最も適した専門性を持つパートナーを見つけ出す。このマッチングの精度が、Webマーケティングの成否を大きく左右するのです。

5. 担当者との相性とコミュニケーション

Webマーケティング会社を選ぶ際、実績や提案内容といった論理的な要素と同等、あるいはそれ以上に重要となるのが、プロジェクトを実際に推進していく「担当者」との相性です。Webマーケティングのプロジェクトは、数ヶ月から時には数年にわたる長期間の協業となります。その間、密なコミュニケーションを取りながら、二人三脚で課題解決に取り組んでいくパートナーが、信頼でき、円滑に意思疎通ができる人物であるかどうか。この人間的な側面が、プロジェクトの成否、そして最終的な成果に極めて大きな影響を与えます。

担当者は「窓口」ではなく「パートナー」

まず認識を改めるべきなのは、Webマーケティング会社の担当者は、単なる「御用聞き」や「窓口」ではないということです。真に価値のある担当者とは、あなたのビジネスを深く理解し、同じ目標に向かって共に汗を流し、時には専門家として厳しい意見も言ってくれる、対等な「パートナー」です。このような良好な関係を築ける相手かどうかを、契約前に見極める必要があります。

  • 営業担当と実際の運用担当者は同じか?:
    • 契約前の商談では、口当たりの良い、非常に優秀な営業担当者が対応してくれるケースが多いです。しかし、契約後に実際にプロジェクトを担当するのは、別の運用担当者である、という体制の会社も少なくありません。
    • 可能であれば、契約前に、実際にプロジェクトを担当する予定のディレクターやコンサルタントに会わせてもらい、話をすることをお勧めします。「この人になら、安心して任せられる」と心から思えるかどうかを、自身の感覚で確かめることが重要です。

「良い担当者」を見極めるための質問とチェックポイント

商談や面談の場で、相手が信頼できるパートナーとなり得るかを見極めるために、以下の点を意識してコミュニケーションを取ってみましょう。

  1. ビジネスへの理解力と探求心:
    • チェックポイント: 自社のビジネスモデル、業界の特性、競合の状況などについて、深い興味を持って、積極的に質問をしてくるか
    • 危険な兆候: こちらの説明をそこそこに、すぐに自社のサービスやパッケージプランの話を始める担当者は、あなたの会社の課題解決よりも、自社の売上を優先している可能性があります。
    • 試すべき質問: 「私たちの業界で、Webマーケティングを成功させる上で、最も重要だとお考えの点は何ですか?」この質問に対し、一般的な回答ではなく、自社の状況を踏まえた、独自の視点を提示できるかを見ます。
  2. コミュニケーションの円滑さ:
    • チェックポイント: 専門用語を多用せず、こちらの知識レベルに合わせて、分かりやすい言葉で説明してくれるか。レスポンスの速さや、約束した期限を守るかといった、基本的なビジネスマナーも重要です。
    • 危険な兆候: 質問に対して、曖昧な回答や、はぐらかすような態度が見られる。メールの返信が極端に遅い。
    • 試すべき質問: 「プロジェクトが始まった場合、報告や連絡は、どのような頻度・手段(定例会、レポート、チャットなど)で行っていただけますか?」コミュニケーションのルールを事前に明確にしてくれる担当者は信頼できます。
  3. 誠実さと熱意:
    • チェックポイント: 成功事例だけでなく、過去の失敗事例や、プロジェクトを進める上でのリスクについても、正直に話してくれるか。これは、誠実さの証です。
    • 危険な兆候: 「絶対に成功します」「必ず1位になれます」といった、根拠のない、安易な成功を約束する。
    • 試すべき質問: 「もし、施策が計画通りに進まなかった場合、どのように対応していただけますか?」予期せぬ事態への対応方針を聞くことで、その担当者のリスク管理能力と誠実さが見えてきます。

「人」に投資するという意識

最終的に、Webマーケティング会社に費用を支払うということは、その会社のノウハウやツールだけでなく、担当者という「人」の知識、経験、そして時間に対して投資することに他なりません。

どんなに有名な会社でも、どんなに優れたツールを持っていても、担当者のスキルや熱意が低ければ、成果は期待できません。逆に、会社の知名度は低くても、担当者が非常に優秀で、情熱を持って取り組んでくれるのであれば、プロジェクトが成功する確率は飛躍的に高まります。

実績や提案内容といった「論理」で候補を絞り込み、最後は担当者との相性という「感情」で決断する。この両輪のバランスを取ることが、最高のパートナー選びに繋がるのです。

6. 料金体系と契約内容の確認

Webマーケティング会社とのパートナーシップは、信頼関係に基づくと同時に、明確な「契約」によってその関係性が規定されます。特に、料金体系や契約期間、業務範囲といった金銭的・法的な側面は、後々のトラブルを避けるために、契約前に徹底的に確認し、双方が完全に合意しておく必要があります。

「こんなはずではなかった」という事態に陥らないために、見積書や契約書に記載されている内容を細部まで理解し、不明点は躊躇なく質問する姿勢が不可欠です。

Webマーケティングの主な料金体系

Webマーケティング会社の料金体系は、提供するサービスの内容によって、いくつかの種類に分かれます。それぞれの特徴を理解し、自社の予算やプロジェクトの性質に合ったものを選びましょう。

  1. 固定報酬型(リテイナー契約):
    • 概要: 毎月、定額の費用を支払う形態。SEOコンサルティング、SNS運用代行、コンテンツ制作など、継続的な運用や支援が必要な業務で多く採用されます。
    • メリット: 毎月のコストが一定であるため、予算管理がしやすい。長期的なパートナーシップを築きやすく、自社のビジネスへの理解を深めてもらいやすい。
    • デメリット: 短期的な成果の有無にかかわらず、費用が発生する。業務内容が不明確だと、何に対して費用を払っているのか分かりにくくなる可能性がある。
    • 確認ポイント: 月額費用の中に、どのような業務が、どのくらいの工数(時間)分含まれているのかを、具体的に確認することが重要です(例:「月1回の定例会、月4本の記事作成、キーワード順位レポート」など)。
  2. 成果報酬型:
    • 概要: 問い合わせ件数、売上、キーワードの順位達成など、あらかじめ設定した成果(コンバージョン)が発生した場合にのみ、費用を支払う形態。SEO対策やアフィリエイト広告などで見られます。
    • メリット: 成果が出なければ費用が発生しないため、依頼主側のリスクが低い。
    • デメリット:
      • 成果の定義が曖昧だと、トラブルの原因になる(例:「問い合わせ」に、迷惑営業の電話も含むのか?)。
      • 成果を急ぐあまり、Googleのガイドラインに違反するような短期的な施策(ブラックハットSEOなど)に走る悪質な業者が存在するリスクがある。
      • 一般的に、1件あたりの成果単価は高めに設定されることが多い。
  3. プロジェクト型(一括請負):
    • 概要: Webサイト制作や、特定のキャンペーンの実施など、開始と終了が明確なプロジェクトに対して、作業全体の見積もりを取り、一括で費用を支払う形態。
    • メリット: プロジェクト全体の総額が事前に確定するため、予算が立てやすい。
    • デメリット: プロジェクト開始後に、仕様変更や追加作業が発生した場合、別途追加費用がかかることが多い。
    • 確認ポイント: 見積もりが「一式」となっていないか。各工程(設計、デザイン、コーディングなど)に、どれくらいの費用がかかるのか、詳細な内訳が記載されているかを確認しましょう。

契約前に必ず確認すべき9つのチェックリスト

見積書や契約書をレビューする際には、以下の項目が明確に記載されているかを、必ず確認してください。

  • □ 業務範囲(スコープ):
    • 具体的に「何をしてくれて」「何をしてくれないのか」が、明確に定義されているか。後から「これは契約範囲外です」と言われないために、最も重要な確認項目です。
  • □ 契約期間と更新・解約条件:
    • 契約期間は何か月か。最低契約期間(縛り)はあるか。契約の自動更新の有無と、その際の通知方法。解約を希望する場合、何か月前に、どのような手続きで申し出る必要があるか。解約時の違約金は発生するか。
  • □ 成果物(納品物)の定義と権利の帰属:
    • Webサイト制作の場合、サーバーにアップロードされたデータだけでなく、デザインの元データ(PSD, AIファイルなど)や、写真素材の権利は、どちらに帰属するのか。契約終了後、自社で自由にサイトを改修できるか。制作したコンテンツ(記事や動画)の著作権はどちらが持つのか。
  • □ 費用と支払い条件:
    • 見積もりに記載された金額以外に、追加で発生する可能性のある費用(サーバー代、広告費の実費、ストックフォトの購入費など)はないか。支払いサイト(請求書発行から支払いまでの期間)はどうか。
  • □ 報告(レポーティング)の形式と頻度:
    • どのような内容のレポートを、どのくらいの頻度(週次、月次)で提出してくれるのか。レポート提出だけでなく、対面またはオンラインでの定例報告会が設定されているか。
  • □ 機密保持(NDA):
    • プロジェクトを通じて共有される自社の機密情報が、適切に管理されることを定めた機密保持契約が含まれているか。
  • □ 担当者と連絡体制:
    • 主担当者の氏名と役職。緊急時の連絡先や、報告・連絡・相談のフローが明確になっているか。
  • □ 障害発生時の対応:
    • サイトが表示されなくなった、サーバーがダウンしたといった、障害発生時のサポート体制と、その対応範囲(どこまでが契約内で、どこからが有償か)はどうか。
  • □ 第三者への再委託(外注)の有無:
    • 依頼した業務の一部を、その会社がさらに別の会社に再委託する可能性があるか。その場合、品質管理や情報管理の体制はどうなっているか。

これらの項目を一つひとつ丁寧に確認し、疑問点を解消しておく地道な作業が、長期的に良好なパートナーシップを築くための、揺るぎない土台となるのです。

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7. 具体的な提案内容と戦略を比較する

複数のWebマーケティング会社から提案書を受け取ったら、いよいよ最終的なパートナーを選定するための比較検討のフェーズに入ります。この段階で重要なのは、単に見積金額の安さや、提案書の見た目の美しさだけで判断しないことです。その提案が、いかに自社のビジネス課題を深く理解し、その解決に向けた具体的で、かつ実行可能な戦略を描けているか、その「中身」を徹底的に吟味する必要があります。

「良い提案書」と「危険な提案書」の見分け方

提案書には、その会社の能力と姿勢が如実に表れます。以下のポイントを比較の軸として、各社の提案を評価しましょう。

良い提案書の兆候 危険な提案書の兆候
1. 自社の課題分析が的確で、共感できる ヒアリング内容が反映されておらず、一般的な課題認識に終始している
2. 具体的で、優先順位が明確な施策が提示されている 「SEO対策」「SNS運用」など、施策が曖昧で、具体的に何をするのかが不明
3. なぜその施策を行うのか、その「根拠」が明確 施策の根拠が「トレンドだから」「他社もやっているから」といった薄弱なもの
4. 成果(KGI/KPI)と、それを達成するための道筋が示されている 成果の定義が曖昧で、「アクセス数を増やします」といった具体性のない目標
5. プロジェクトの体制とスケジュールが具体的 「誰が」「いつまでに」やるのかが不明確で、実行計画が見えない
6. 自社の役割(やるべきこと)も明記されている 「丸投げで大丈夫です」といった、依頼主に一切の協力を求めない
7. リスクや、成果が出るまでの期間についても言及がある メリットばかりが強調され、デメリットやリスクについて触れられていない

比較検討すべき3つの重要ポイント

各社の提案書を横並びで比較する際に、特に重点的にチェックすべき3つのポイントを解説します。

ポイント1:現状分析の「解像度」

優れた提案は、必ず的確な現状分析から始まります。その会社が、ヒアリングや独自のリサーチを通じて、自社のビジネスモデル、市場での立ち位置、競合の動向、そしてWeb上の現状(サイトの強み・弱み)を、どれだけ深く、そして正確に理解しているか。

提案書の冒頭にある「現状分析」や「課題認識」のパートを読んで、「そうそう、まさにそこが課題なんだ」「我々が気づいていなかった、そんな視点があったのか」と、思わず膝を打つような記述があるかどうかが、最初の分かれ目です。テンプレートを使いまわしたような、どの会社にも当てはまる一般論しか書かれていない提案は、あなたの会社に真剣に向き合っているとは言えません。

ポイント2:戦略の「具体性」と「独自性」

課題分析を踏まえ、どのような戦略で目標を達成しようとしているのか。その戦略が、具体的で、かつ自社に合わせてカスタマイズされた「独自性」のあるものかを見極めます。

  • 施策の具体性:
    • 「SEOを強化します」という提案ではなく、「現在の主力商品である〇〇の、収益性の高いキーワード群(△△など)をターゲットとし、競合サイトAにはない、導入事例を切り口とした専門性の高いコンテンツを月2本制作。並行して、ページの表示速度を改善し、Core Web Vitalsの基準値をクリアします」といったように、「何を」「なぜ」「どのように」やるのかが、具体的にイメージできるレベルまで落とし込まれているか。
  • 戦略の独自性:
    • その提案は、自社の強み(例:長年の実績、特定の技術力)を活かし、弱みを補うものになっているか。競合他社と同じような、ありきたりな施策の組み合わせになっていないか。「あなたの会社だからこそ、この戦略が有効なのです」という、明確なロジックが示されている提案は、高く評価できます。

ポイント3:実行計画の「現実性」

どれだけ立派な戦略を描いても、それを実行できなければ絵に描いた餅です。提案された戦略が、現実的なスケジュールと体制に裏打ちされているかを確認します。

  • マイルストーンとスケジュール:
    • プロジェクト全体のロードマップが描かれ、「1ヶ月後にはここまで」「3ヶ月後にはこの状態を目指す」といった、具体的なマイルストーンが設定されているか。スケジュールが非現実的(短すぎる、あるいは長すぎる)ではないか。
  • プロジェクト体制:
    • このプロジェクトのために、どのようなスキルを持つメンバー(ディレクター、デザイナー、エンジニア、広告運用者など)が、どのような体制で関わるのかが明記されているか。特に、プロジェクト全体の責任者(PM)が誰なのかは、必ず確認すべきです。
  • 自社の役割:
    • プロジェクトを成功させるために、自社側(依頼主)が、何を、いつまでに協力する必要があるのか(例:原稿の確認、写真素材の提供、社内へのヒアリング調整など)が、明確に示されているか。依頼主の役割を軽視している提案は、後々プロジェクトが停滞するリスクを孕んでいます。

これらのポイントを基に、各社の提案をスコアリングし、比較表を作成すると、より客観的な判断がしやすくなります。最終的には、最も自社のビジネスに寄り添い、共に未来を切り拓いていきたいと思える、熱意と具体性に満ちた提案を選び抜きましょう。

8. 丸投げはNG!自社がやるべきこと

Webマーケティング会社という専門家集団に依頼を決めたことで、多くの担当者は「これで一安心」「あとはプロにお任せしよう」と考えてしまいがちです。しかし、この「丸投げ」の姿勢こそが、Webマーケティングを失敗に導く最大の要因と言っても過言ではありません。

Webマーケティング会社は、Webの専門知識や技術を提供するパートナーですが、あなたの会社のビジネス、商品、そして顧客について、あなた以上に深く理解しているわけではありません。プロジェクトを成功に導くためには、依頼主である自社も、主体的にプロジェクトに関与し、果たすべき役割を全うするという強い意志が不可欠です。

なぜ「丸投げ」は失敗するのか

  • 戦略の「ズレ」が生じる:
    • 自社の強みや、ターゲット顧客の微妙なニュアンス、業界の暗黙のルールといった「現場の生きた情報」がWebマーケティング会社に共有されなければ、彼らが立てる戦略は、どうしても机上の空論になりがちです。結果として、いくら技術的に正しくても、顧客の心に響かない、的外れなWebサイトや広告が生まれてしまいます。
  • スピード感の欠如:
    • Webマーケティング会社からの確認依頼(原稿のチェック、デザインの承認など)に対して、社内での意思決定に時間がかかり、返答が遅れれば、その分だけプロジェクトの進行は遅延します。市場の変化が速いWebの世界において、このスピード感の欠如は致命的です。
  • 社内にノウハウが蓄積されない:
    • すべてを任せきりにしていると、プロジェクトが終了した後に、社内には何も知識や経験が残りません。なぜ成功したのか、なぜ失敗したのかが分からないため、次なる打ち手を自社で考えることができず、永遠に外部の会社に依存し続けることになります。
  • 当事者意識の欠如:
    • 「うまくいかないのは、業者のせいだ」という他責思考に陥りやすくなります。プロジェクトは、あくまで自社の課題を解決するためのものであり、その最終的な責任は自社にあるという当事者意識がなければ、真の成功はあり得ません。

依頼主が果たすべき5つの重要な役割

Webマーケティングプロジェクトを成功させるために、自社が主体的に担うべき役割は、主に以下の5つです。

  1. 情報提供とビジョンの共有
  • 役割: プロジェクトチームの「情報源」となること。
  • 具体的にやること:
    • 自社のビジネスモデル、商品・サービスの強みと弱み、競合情報、そして何よりも「この事業を通じて、どのような未来を実現したいのか」というビジョンを、熱意を持ってパートナーに語り、共有します。
    • ターゲット顧客に関する情報(よくある質問、購入の決め手など)や、過去の成功・失敗事例など、社内に眠っている情報を惜しみなく提供します。
  1. プロジェクトの推進と社内調整
  • 役割: プロジェクトチームの「推進エンジン」であり、「社内翻訳家」であること。
  • 具体的にやること:
    • Webマーケティング会社からの確認依頼や宿題に対して、迅速にフィードバックを行います。
    • プロジェクトの進行に必要な、他部署(営業部、開発部など)や、経営層への協力依頼、説明、承認取り付けといった社内調整を一手に引き受けます。
  1. 意思決定
  • 役割: プロジェクトの「最終決定権者」であること。
  • 具体的にやること:
    • デザイン案、サイトの構成、コンテンツの内容、広告の予算配分など、プロジェクトの重要な岐路において、パートナーからの提案を評価し、最終的な意思決定を下します。この決定が遅れると、プロジェクト全体が停滞します。
  1. コンテンツの監修と品質担保
  • 役割: コンテンツの「品質保証責任者」であること。
  • 具体的にやること:
    • Webマーケティング会社が作成した記事や原稿の内容が、専門的な見地から見て正しいか、業界の常識とずれていないか、そして自社のブランドイメージを損なうものでないかを監修・チェックします。特に、専門性の高い業界では、この役割は不可欠です。
  1. 学び、ノウハウを吸収する
  • 役割: プロジェクトチームの「学習者」であること。
  • 具体的にやること:
    • パートナーがなぜその戦略を提案したのか、レポートの数値をどう解釈すればいいのか、分からないことは積極的に質問し、彼らが持つ知識やノウハウを自社に吸収するという貪欲な姿勢を持ちましょう。定例会は、報告を受ける場であると同時に、最高の学びの場です。

Webマーケティング会社との協業は、単なる業務委託ではありません。それは、外部の専門知識と、内部の事業知識を掛け合わせ、1+1を3にも4にもしていく、共創のプロジェクトです。この意識を持つことが、成功への最短ルートなのです。

9. Webマーケティングのパートナー選び

これまでの章で、Webマーケティング会社を選ぶための具体的な比較ポイントを解説してきました。しかし、最終的に、プロジェクトを真の成功に導き、長期的にビジネスの成長を支えてくれる相手とは、単にスキルや実績が優れているだけの「業者」ではありません。それは、あなたの会社のビジョンに共感し、同じ目線で課題に向き合い、共に成長していくことができる「パートナー」と呼べる存在です。

この章では、数多の候補の中から、単なる「良い会社」ではなく、自社にとっての「最高のパートナー」を見つけ出すための、最後の、そして最も重要な視点について考えます。

「業者」と「パートナー」の決定的な違い

契約書の上では同じ「業務委託」の関係であっても、その関係性の質には天と地ほどの差があります。

業者 パートナー
指示されたことだけをやる 指示されていなくても、ビジネスを伸ばすための提案を積極的に行う
自社のサービスを売ることがゴール クライアントのビジネスの成功がゴール
都合の悪いことは隠す リスクや課題についても、誠実に共有し、共に解決策を考える
「契約はここまでです」と線を引く 契約の範囲を超えてでも、親身に相談に乗ってくれることがある
関係は「縦」(発注者と受注者) 関係は「横」(対等な専門家同士)

もちろん、ビジネスである以上、契約の範囲を遵守することは重要です。しかし、その根底に、クライアントの成功を心から願い、そのために自社の持つ知識と経験を最大限に活かしたいという、プロフェッショナルとしての熱意があるかどうか。この姿勢の違いが、最終的な成果の質を大きく左右します。

長期的な関係を築けるパートナーを見極める

Webマーケティングは、一度の施策で完了するものではなく、市場や顧客の変化に対応しながら、継続的に改善を続けていく、終わりのない旅のようなものです。だからこそ、その旅路を共に歩んでくれる、長期的な視点を持ったパートナーを選ぶことが重要になります。

  • ビジネスへの共感とリスペクト:
    • あなたの会社の事業内容、歴史、そして未来のビジョンに対して、担当者が心からの興味や共感、リスペクトを示してくれているか。ただの「案件」としてではなく、一つの「物語」としてあなたのビジネスを捉え、その成功を応援したいという気持ちが伝わってくるか。この感情的な繋がりは、困難な局面を乗り越える上での大きな力となります。
  • 伴走型の支援スタイル:
    • 「我々プロが、すべてやっておきます」というスタンスではなく、「一緒に考え、一緒に走りましょう」という「伴走型」の支援スタイルを持っているか。定期的なディスカッションを通じて、自社の担当者を育成し、最終的には自社内にWebマーケティングの知見が根付くことを目指してくれるようなパートナーは、真にクライアントの成長を考えている証拠です。
  • 柔軟性と拡張性:
    • ビジネスの成長フェーズによって、Webマーケティングの課題は変化していきます。最初は集客がメインでも、次は採用、その次はブランディングへと、重点が移っていくかもしれません。そのような変化に対して、柔軟に対応し、提供できるソリューションの幅を広げていけるような、拡張性のある会社かどうかも、長期的なパートナーシップを考える上では重要な視点です。

最終決定の前に、自分自身に問いかけるべきこと

複数の有力な候補に絞り込み、甲乙つけがたいと感じた時、最後は自分自身の直感と、以下の問いへの答えが、決断の後押しをしてくれるはずです。

  • 「この人(担当者)に、自社の未来を託したいと心から思えるか?」
  • 「この会社となら、たとえ失敗したとしても、その経験を次に活かすための前向きな議論ができるだろうか?」
  • 「数年後、プロジェクトの成功を、このチームと一緒になって喜びたいと思えるか?」

Webマーケティングのパートナー選びは、単なる業者選定ではありません。それは、自社の未来を共に創り上げていく、チームの新しいメンバーを迎えることに等しい、極めて重要な経営判断です。スキルや実績という「頭」での評価と、相性や信頼感という「心」での評価、その両方が満たされた時、あなたは最高のパートナーと出会うことができるでしょう。

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10. セカンドオピニオンの活用

Webマーケティング会社選びは、自社の未来を左右する重要な意思決定ですが、そのプロセスは専門的な知識を要するため、多くの経営者や担当者が「自分たちの判断が本当に正しいのだろうか?」という不安を抱えるものです。特に、候補の会社から提示された提案書や見積もりの内容が、妥当なのか、業界の標準と比較してどうなのかを、自社だけで判断するのは非常に困難です。

このような状況で、客観的で、かつ公正な判断を下すために非常に有効な手段が、第三者の専門家から助言を求める「セカンドオピニオン」の活用です。

なぜセカンドオピニオンが有効なのか

医療の世界では、主治医の診断や治療方針について、別の医師に意見を求めるセカンドオピニオンが一般的になっています。Webマーケティングのパートナー選びにおいても、これと全く同じ考え方が有効です。

  • 客観的な視点の獲得:
    • プロジェクトに深く関わっていると、どうしても視野が狭くなりがちです。また、各社の営業担当者からの熱心なプレゼンテーションを受けるうちに、冷静な判断が難しくなることもあります。利害関係のない第三者の専門家は、客観的でフラットな視点から、各社の提案の強み・弱み、そして潜在的なリスクを指摘してくれます。
  • 知識・経験不足の補完:
    • 自社にWebマーケティングの専門知識が不足している場合、提案内容の技術的な妥当性や、見積金額の相場観を判断することは困難です。セカンドオピニオンを求めることで、専門家の知見を借り、情報格差を埋めることができます。「この見積もりは、この作業内容に対して高すぎます」「この戦略には、〇〇というリスクが考慮されていません」といった、自社だけでは気づけない重要な示唆を得ることができます。
  • 意思決定への自信と社内説得:
    • 第三者の専門家からのお墨付きを得ることで、最終的な意思決定に対する自信を深めることができます。また、高額な投資となる場合、経営層や関連部署を説得するための、強力な客観的根拠としても活用できます。「複数の候補を、外部の専門家の意見も交えて総合的に評価した結果、A社が最適であると判断しました」という説明は、極めて説得力が高まります。

セカンドオピニオンを求める相手

セカンドオピニオンを依頼する相手としては、以下のような専門家が考えられます。

  1. フリーランスのWebコンサルタント:
    • 特定の企業に所属していないため、中立的な立場からのアドバイスが期待できます。特定の施策(SEO、広告など)に特化した専門家もいれば、戦略全般を俯瞰できるコンサルタントもいます。時間単位や、スポットでの相談に応じてくれることが多く、比較的依頼しやすいのが特徴です。
  2. 顧問契約をしている専門家:
    • もし、顧問税理士や顧問弁護士のように、日頃から付き合いのある経営顧問やIT顧問がいる場合は、まずは彼らに相談してみるのも良いでしょう。Webマーケティングの直接の専門家でなくとも、経営的な視点から、その投資の妥当性についてアドバイスをくれるかもしれません。
  3. セカンドオピニオン専門サービス:
    • 近年では、Webマーケティング会社からの提案を評価・診断することを専門に行うサービスも登場しています。複数の専門家が多角的にレビューしてくれる場合もあります。

セカンドオピニオンを依頼する際のポイント

セカンドオピニオンの効果を最大化するためには、依頼する側にも準備が必要です。

  • 情報を整理して提供する:
    • 依頼する際には、これまでの経緯、自社が設定した目的(KGI/KPI)、各社から受け取った提案書や見積書など、判断に必要な情報をすべて整理して提供します。情報が不足していると、的確なアドバイスは得られません。
  • 具体的な質問を用意しておく:
    • 「この提案、どう思いますか?」という漠然とした聞き方ではなく、「A社の提案するSEO戦略は、当社のビジネスモデルにおいて現実的でしょうか?」「B社の見積もりにある、この項目の費用は妥当でしょうか?」といった、具体的な質問を用意しておきましょう。論点が明確であるほど、得られる回答も具体的になります。
  • 最終的な決定は自社で行う:
    • セカンドオピニオンは、あくまで意思決定を助けるための「参考意見」です。最終的にどのパートナーと組むかを決めるのは、他の誰でもない、あなた自身です。専門家の意見を鵜呑みにするのではなく、その助言も踏まえた上で、自社の責任において、納得のいく決断を下すことが重要です。

Webマーケティング会社選びは、一度失敗すると、金銭的にも時間的にも大きな損失を生みます。重要な決断だからこそ、慎重に、そして客観的に。セカンドオピニオンという賢明な選択肢を活用し、後悔のないパートナー選びを実現してください。

まとめ

本稿では、Webマーケティング会社という、ビジネスの成否を左右する重要なパートナーを、いかにして選び抜くか、そのための10の比較ポイントを体系的に解説してきました。その根底に流れるのは、「自社の目的を明確にし、主体性を持ってパートナー選びに臨む」という、一貫した姿勢の重要性です。

まず、制作会社、広告代理店、コンサルティング会社という業態の違いを理解し、自社の課題に最適な専門家像を思い描くこと。そして、実績紹介の裏にある「課題解決のプロセス」を読み解き、自社との共通点を見出すことで、候補を絞り込んでいきます。

さらに、担当者とのコミュニケーションを通じて、スキルだけでなく、ビジネスへの情熱や誠実さといった「人」としての相性を見極め、料金体系や契約内容といった現実的な条件を、細部に至るまでクリアにすること。そして最終的には、各社の提案を、自社の目的という揺るぎない物差しで、戦略の具体性や実行可能性といった観点から、徹底的に比較検討する。

このプロセスにおいて、決して「丸投げ」に陥ることなく、自社もまたプロジェクトの成功に責任を持つ当事者であるという意識を持つこと。そして、必要であればセカンドオピニオンという客観的な視点も取り入れ、多角的に判断を下すこと。

これらのステップを一つひとつ丁寧に踏むことで、あなたは単なる「業者」ではなく、あなたの会社のビジョンに共感し、共に汗を流し、ビジネスの成長を心から喜んでくれる、生涯の「パートナー」と出会うことができるはずです。このガイドが、そのための確かな一助となることを願っています。

 

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執筆者

株式会社TROBZ 代表取締役

愛知県岡崎市出身。大学卒業後、タイ・バンコクに渡り日本人学校で3年間従事。帰国後はデジタルマーケティングのベンチャー企業に参画し、新規部署の立ち上げや事業開発に携わる。2024年に株式会社TROBZを創業しLocina MEOやフォーカスSEOをリリース。SEO検定1級保有

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