ナレッジハブ
2026/1/14
AIを活用したSNSマーケティング|エンゲージメントを劇的に高める「共感」と「データ」の運用術
各SNSプラットフォームの特性に合わせ、ChatGPTなどのAIツールを適材適所で使いこなし、運用負荷を半減させる具体的な手法
ターゲットの心を掴む投稿ネタの企画から、流入を最大化するハッシュタグ選定まで、AIとの「壁打ち」でクリエイティブを量産するプロンプト術
データに基づいた「投稿時間」の最適化や、ファンとの絆を深めるコメント対応の自動化など、エンゲージメントを高めるためのAI活用プロセス
「毎日投稿しなきゃいけないのに、もうネタが思いつかない……」
「一生懸命作った画像や文章なのに、いいねが数件しかつかない……」
SNS運用を担当されている方なら、こんな孤独な悩みを一度は抱えたことがあるのではないでしょうか。私自身、企業のSNSアカウントを立ち上げた当初は、スマホの画面と睨めっこしながら、反応のないタイムラインに胃を痛める日々を過ごしていました。
しかし、断言します。その辛さは、あなたのセンスや能力が足りないからではありません。「一人ですべてを背負いすぎている」ことが原因です。現代のSNSマーケティングは、分析、企画、制作、コミュニケーションと、やるべきことが多岐にわたりすぎています。
そこで救世主となるのが「AI(人工知能)」です。AIは、あなたの仕事を奪うライバルではありません。あなたの隣で24時間文句も言わずにデータを分析し、無限にアイデアを出してくれる「最強のアシスタント」です。この記事では、私が実際の現場で試行錯誤してたどり着いた、AIを使ってSNS運用の質と効率を劇的に高めるノウハウを包み隠さずお伝えします。
目次
1. どのSNSプラットフォームにAIをどう活用するか
「AIを使えばSNSが伸びる」と一口に言っても、Twitter(X)、Instagram、TikTokなど、プラットフォームごとに文化もアルゴリズムも全く異なります。すべての媒体で同じようにChatGPTに文章を書かせて投稿していては、誰にも刺さらない「AI臭い」アカウントになって終わりです。
まずは、各SNSの特性を理解し、「どの作業をAIに任せ、どの作業を人間がやるべきか」という役割分担を明確にすることから始めましょう。私が実践しているプラットフォーム別のAI活用戦略を整理しました。
媒体別・AIが得意なタスクの使い分け
それぞれのSNSには「ユーザーが求めている体験」があります。Twitterなら「リアルタイムな共感や議論」、Instagramなら「視覚的な憧れや発見」、TikTokなら「瞬発的な面白さ」です。AIを活用する際も、この文脈(コンテキスト)に合わせる必要があります。
「AI臭さ」を消すためのひと手間
AIツール(ChatGPTなど)に「Twitterの投稿文を作って」と依頼すると、多くの場合、「皆様、こんにちは!今日は〇〇についてお話しします! #〇〇 #〇〇」といった、妙にテンションが高く、絵文字だらけの文章が返ってきます。これをそのまま投稿するのはNGです。
ユーザーは「生身の人間の言葉」を求めています。AIが出力した案を採用する場合でも、必ず「自分の言葉」や「体験談」をスパイスとして加えるようにしてください。
- 文末の調整: AI特有の「〜でしょう」「〜おすすめです」といった硬い語尾を、自社のアカウントのキャラ(〜だよね、〜なんです!等)に合わせて書き換えます。
- 一次情報の付加: AIは一般的なことしか言えません。「先日、お客様からこんな声をいただきました」といった、現場の具体的なエピソードを人間が追記します。
プラットフォームごとの特性をAIに学習させ、出力された素材を人間が料理する。この「AIと人間の共創」こそが、運用負荷を下げつつエンゲージメントを高める鍵となります。
2. ターゲットに響く投稿コンテンツをAIで企画
SNS運用で最もエネルギーを使うのが「投稿企画(ネタ出し)」ではないでしょうか。毎日投稿しようと意気込んでも、3日目には「もう書くことがない……」と頭を抱える。これは多くの担当者が通る道です。
AIはこの「0から1を生み出す」作業の壁打ち相手として最適です。ただし、漫然と「何かいいアイデアない?」と聞いても、ありきたりな答えしか返ってきません。AIに「優秀なプランナー」になってもらうためのプロンプト設計が重要です。
ペルソナを憑依させて「悩み」を深掘りする
ターゲットに響くコンテンツを作るには、ターゲットの悩みを深く理解する必要があります。私はよく、AIにターゲットそのものになりきってもらい、インタビュー形式で潜在ニーズを引き出す手法を使っています。
【プロンプト例】
「あなたは都内で働く30代のWebデザイナー、独身、趣味はカフェ巡りです。最近、仕事の効率化について悩んでいます。そんなあなたが、SNSで流れてきたら思わず手を止めて見てしまうような『仕事術』に関する投稿テーマを10個挙げてください。なぜそれを見たくなるのか、本音の理由も添えてください。」
このように指示すると、AIは「時短テクニック」のような表層的なテーマだけでなく、「センスがないと言われないための配色のコツ」や「フリーランスになるべきか迷った時の判断基準」といった、よりリアルで切実なテーマを提案してくれます。
「量」を出して「質」を選ぶアプローチ
人間の脳は、アイデアを出しながら同時に「これは面白くないかも」と評価してしまいがちです。これが企画のブレーキになります。一方、AIには羞恥心も疲れもありません。まずはAIに「質より量」でアイデアを出させ、その中から人間が「これはいける!」と思うものをピックアップするのが効率的です。
トレンドジャックにもAIを活用する
SNSでは「今話題になっていること(トレンド)」に乗っかることで、インプレッションが爆発的に伸びることがあります。しかし、常にトレンドを追い続けるのは大変です。
ここでもAIが役立ちます。Twitterのトレンドワードや、Googleトレンドの急上昇ワードをAIに入力し、「このトレンドと自社商品を絡めた大喜利を考えて」や「このニュースに対する専門家としての見解案を3パターン作って」と指示するのです。これにより、スピード感を持った「時流に乗った投稿」が可能になります。
3. 投稿に最適なハッシュタグをAIがリコメンド
InstagramやTikTokにおいて、ハッシュタグ(#)は新規ユーザーとの出会いを生む生命線です。しかし、毎回「どのタグをつければいいのか?」と悩み、結局いつも同じタグをコピペしていませんか?
実は、いつも同じタグばかり使っていると、アルゴリズムから「スパム的な運用」とみなされ、露出が制限されるリスクがあります。AIを使って、投稿内容ごとに最適化された「生きたハッシュタグ」を選定しましょう。
「ビッグワード」と「スモールワード」の黄金比
ハッシュタグ選びの鉄則は、投稿数が多い「ビッグワード(例:#カフェ)」と、投稿数が少なくニッチな「スモールワード(例:#渋谷カフェ巡り好きな人と繋がりたい)」をバランスよく組み合わせることです。
AIにハッシュタグを提案させる際は、このカテゴリ分けを意識したプロンプトを投げます。
- プロンプト例:
「今回の投稿は『自宅でできる簡単コーヒーの淹れ方』です。Instagram用のハッシュタグを30個提案してください。その際、投稿件数が多い『ビッグワード』、中規模の『ミドルワード』、ニッチな『スモールワード』をそれぞれ10個ずつ分類して提示してください。」
こうすることで、埋もれやすいビッグワードだけでなく、確実にターゲットに届くニッチなタグまで漏れなくカバーできます。
関連性とコミュニティを意識したタグ選定
単に関連する言葉を並べるだけでなく、そのタグが「どんなコミュニティで使われているか」をAIに分析させるのも有効です。
例えば、「#丁寧な暮らし」というタグは、単に生活雑貨を紹介するだけでなく、ライフスタイル全体を大切にする層が集まるコミュニティタグです。AIに「この投稿内容に興味を持ちそうな人が、普段よく検索したり使ったりしている『コミュニティ系ハッシュタグ』を挙げて」と聞くことで、よりエンゲージメントの高い層へリーチできるタグが見つかります。
ハッシュタグの「鮮度」に注意
注意点として、ChatGPTなどのLLMは、リアルタイムの投稿数や最新の禁止タグ(シャドウバン対象タグ)までは把握していない場合があります。
- AIで候補出し: まずはAIに大量の候補を出させる(発想の補助)。
- アプリで確認: 実際にSNSアプリの検索窓に入力し、投稿数が少なすぎないか、怪しい投稿ばかりでないかを確認する。
- リスト化して運用: 効果があったタグの組み合わせをスプレッドシート等にリスト化し、AIにフィードバックして学習させる。
AIは「言葉の連想ゲーム」が得意です。人間では思いつかないような、少しずらした視点のハッシュタグ(例:コーヒーの投稿に「#朝のルーティン」や「#読書の時間」を入れるなど)を提案してくれることもあり、これが意外な層からの流入に繋がることがあります。
4. エンゲージメントが高まる最適な投稿時間をAIが予測
「SNSは18時〜20時のゴールデンタイムに投稿すべき」という定説がありますが、これはあくまで全体平均の話です。あなたのフォロワーが主婦層ならお昼時かもしれませんし、夜勤のある職種なら深夜かもしれません。
「なんとなく」で投稿時間を決めるのは卒業しましょう。AI分析ツールを活用すれば、あなたのフォロワーが最もアクティブな時間帯(=投稿が最も見られる時間)をピンポイントで予測できます。
インサイトデータの分析と仮説検証
InstagramやTwitterには、公式の分析機能(インサイト/アナリティクス)がありますが、データが羅列されているだけで「結局いつ投稿すればいいの?」という結論が出しにくいのが難点です。
そこで、これらのCSVデータをダウンロードし、AI(ChatGPTのAdvanced Data Analysis機能など)に読み込ませて分析させます。
- データ分析プロンプト例:
「ここに過去3ヶ月分の投稿データ(投稿日時、インプレッション、いいね数)があります。このデータを分析し、曜日別・時間帯別のエンゲージメント率のヒートマップを作成してください。また、最もパフォーマンスが高い『勝ちパターン』の投稿日時を推奨してください。」
AIは膨大な数値データから傾向を読み解くのが得意です。「水曜日の21時は意外と反応が良い」「日曜日の朝は保存数が多い」といった、人間では気づきにくい法則を発見してくれます。
「予約投稿」で運用をルーティン化する
最適な時間が分かったら、その時間にスマホを持って待機する必要はありません。各プラットフォームの予約投稿機能や、外部の管理ツール(Buffer, Hootsuiteなど)を使って、計画的に投稿をセットしましょう。
AIが予測した時間はあくまで「予測」です。重要なのは、実際に投稿してみてどうだったかという「結果」を再びAIにフィードバックし、精度を高めていくサイクルです。
このように、AIを「データサイエンティスト」として雇う感覚で活用すれば、勘や経験に頼らない、再現性の高い運用が可能になります。
5. コメントやDMへの一次対応をAIで自動化
SNSのエンゲージメント(親密度)を高めるために最も重要なのは、フォロワーとの双方向のコミュニケーションです。コメントやDM(ダイレクトメッセージ)には、できるだけ早く、丁寧に返信するのが鉄則です。
しかし、フォロワーが増えるにつれて、すべてのメッセージに人力で対応するのは物理的に不可能になってきます。ここで役立つのが、AIチャットボットによる一次対応の自動化と、返信文作成の補助です。
「即レス」が信頼を作るチャットボット活用
InstagramのDMやFacebook Messengerでは、AIチャットボット(ManyChatなど)を導入することで、「よくある質問」への自動応答が可能になります。
- 「営業時間は?」
- 「送料はいくら?」
- 「予約方法は?」
こうした定型的な質問に対して、ユーザーを待たせることなく瞬時に回答を返すことができます。これにより、ユーザーのストレスを減らし、機会損失を防ぐことができます。AIに「24時間の受付係」を任せるイメージです。
コメント返信の「たたき台」をAIに作らせる
個別のコメントへの返信は、ボット任せにすると冷たい印象を与えてしまいます。ここは人間が対応すべき領域ですが、ゼロから文章を考えるのは大変です。
そこで、AIに「返信のたたき台」を作らせます。
- プロンプト例:
「以下のユーザーからのコメントに対し、親しみやすく、感謝が伝わる返信文を3パターン作成してください。絵文字も適度に使ってください。
ユーザーコメント:『この商品、ずっと気になってたんです!使い心地はどうですか?』」
AIが出してくれた3つの案から、一番しっくりくるものを選び、少し手直しして送信する。これだけで、返信にかかる時間は半分以下になります。脳のエネルギーを節約しながら、丁寧なコミュニケーションを維持できるのです。
炎上リスク管理としてのAIチェック
また、返信文を送信する前に、AIに「ネガティブチェック」をしてもらうのも有効です。「この返信文に、相手を不快にさせたり、誤解を招いたりする表現は含まれていませんか?」と聞くことで、深夜のテンションで書いてしまった失言や、無意識の配慮不足を未然に防ぐことができます。
AIはコミュニケーションをサボるためのツールではありません。人間が本来注力すべき「深い対話」に時間を使うために、単純作業を肩代わりしてくれるパートナーなのです。
6. インフルエンサー選定におけるAIの活用
SNSマーケティングにおいて、インフルエンサーとのコラボレーション(PR投稿)は強力な施策です。しかし、「フォロワー数が多いから」という安易な理由だけで選定し、思ったような成果が出ずに予算を溶かしてしまった経験はありませんか?
実は、インフルエンサーマーケティングの失敗の9割は「人選ミス」にあります。フォロワー数は購入できてしまいますし、属性が自社のターゲットと全く異なれば意味がありません。ここでAIを活用することで、人間の目では見抜けない「フォロワーの質」と「ブランド親和性」をデータで可視化することが可能になります。
「フォロワーの質」を丸裸にするAI分析
AIツール(TaggerやHypeAuditorなど)を使用すると、インフルエンサーのアカウントを深く分析できます。AIは以下のような指標を一瞬で算出し、そのアカウントが「本物」かどうかを判定します。
- エンゲージメント率の健全性: フォロワー数に対して「いいね」や「コメント」が極端に少なくないか、あるいは不自然なスパムコメントばかりでないかを判定します。
- フォロワーのデモグラフィック: フォロワーの年齢層、性別、居住地域、興味関心を分析します。「コスメ系インフルエンサーなのに、フォロワーの7割が男性」といったミスマッチを事前に防げます。
- フェイクフォロワーの検知: フォロワー買いをしているアカウント特有の増加パターンや、アクティブでないアカウントの割合を検出し、除外します。
AIマッチングで「隠れた逸材」を見つける
人間がリサーチする場合、どうしても「すでに有名な人」や「自分のタイムラインに出てくる人」に候補が偏りがちです。しかし、AIは膨大なデータベースの中から、条件に合致する「マイクロインフルエンサー(フォロワー数1万〜5万人程度)」を発掘するのが得意です。
以下の表は、従来の人力選定とAI選定の違いを比較したものです。
AIを活用することで、ネームバリューではなく「自社のターゲットに確実に声を届けてくれるパートナー」を見つけることができます。これは結果として、CPA(顧客獲得単価)の削減と、エンゲージメント率の大幅な向上につながります。
7. SNS広告のクリエイティブとターゲティング最適化
オーガニック投稿(通常の投稿)だけでなく、SNS広告の運用においてもAIは革命を起こしています。Meta(Facebook/Instagram)やTikTokの広告管理画面には、すでに高度なAIが搭載されており、これを使いこなせるかどうかが広告パフォーマンスを左右します。
特に重要なのが、「クリエイティブ(画像・動画・テキスト)」の生成と、「誰に届けるか(ターゲティング)」の最適化です。人間が「これだ!」と決めた1つのパターンで勝負する時代は終わりました。AIに何十通りものパターンを検証させ、「勝ちクリエイティブ」を自動で見つけ出させる運用が現在のスタンダードです。
「クリエイティブ疲弊」を防ぐ生成AI活用
SNS広告の宿命、それは「クリエイティブの寿命が短い」ことです。同じ広告画像を何度も見せられるとユーザーは飽き、クリック率は下がっていきます(クリエイティブ疲弊)。
これを防ぐために、画像生成AI(Midjourney、Adobe Fireflyなど)やテキスト生成AIを活用します。
- バリエーションの量産: メインの訴求軸は変えずに、「背景色」「モデルの年代」「キャッチコピーの言い回し」を変えたパターンをAIで大量生成します。
- ダイナミッククリエイティブ: 広告媒体側のAI機能(MetaのAdvantage+など)を使い、ユーザーごとに「響く画像」と「響くテキスト」を自動で組み合わせて配信します。
人間が1週間かけて3パターン作る間に、AIなら1時間で50パターン作れます。この圧倒的な「手数」の違いが、飽きさせない広告運用を実現します。
AIによる「予測ターゲティング」の威力
かつては「30代、女性、東京都在住」のように細かくターゲット設定をするのが正解とされていました。しかし、現在はAIの進化により、「ブロード配信(あえて細かい設定をせずAIに任せる)」の方が成果が出やすいケースが増えています。
各プラットフォームのAIは、ユーザーの日々の行動(どの投稿を見たか、何を買ったか)を学習し、コンバージョンする可能性が高いユーザーを予測します。
- 類似オーディエンスの高度化: 自社の優良顧客リスト(メールアドレス等)をAIに読み込ませると、その顧客と行動パターンが似ている「Web上の双子」を探し出して広告を配信してくれます。
- シグナルの活用: AIは「広告をクリックしそうな人」ではなく「最終的に購入しそうな人」を見分ける精度を高めています。
私たち人間にできることは、AIが学習しやすいように「質の高いクリエイティブを投入し続けること」と「正確なコンバージョンデータを返すこと」です。細かい設定はAIに任せ、クリエイティブの戦略部分に脳のリソースを集中させましょう。
8. 炎上リスクをAIで早期検知・防止
SNSは「諸刃の剣」です。バズれば大きな利益をもたらしますが、一度「炎上」すればブランドイメージは一夜にして崩壊します。そして、炎上の火種は、担当者が寝ている深夜や休日に、見えないところで燻り始めます。
人間が24時間365日SNSを監視し続けるのは不可能です。ここで、AIによる「ソーシャルリスニング」と「リスク検知システム」が保険として機能します。AIは感情を持たないため、冷静に、かつ網羅的にネガティブな兆候を捉えることができます。
感情分析(センチメント分析)で空気の変化を読む
ソーシャルリスニングツールに搭載されたAIは、投稿のテキストを解析し、「ポジティブ」「ネガティブ」「中立」の感情を判定します。単に「自社名がつぶやかれた数」を追うだけでなく、「ネガティブな言及の割合」が急増していないかを監視します。
例えば、普段はネガティブ率が5%程度なのに、ある日突然20%に跳ね上がったとします。AIはこれを「異常事態」としてアラートを発します。担当者がその通知を見て確認すると、「商品の不具合に関する投稿が拡散され始めていた」といった事態に、ボヤの段階で気づくことができるのです。
投稿前の「AI校閲」で失言を防ぐ
外部からの炎上だけでなく、自社の投稿内容が原因で炎上する「公式アカウントの失言」も防がねばなりません。差別的な表現、配慮に欠ける言い回し、誤解を招く表現などは、書いている本人は気づきにくいものです。
投稿前に、ChatGPTなどのAIに「リスクチェック」を依頼するフローを組み込みましょう。
- プロンプト例:
「あなたはリスク管理の専門家です。以下のツイート原稿を読んで、炎上リスクがないか、特定の属性の人を傷つける表現がないか、多角的な視点で厳しくチェックしてください。
原稿:『…』」
AIはポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)やコンプライアンスに関する膨大なデータを学習しています。「この表現は〇〇という文脈で批判される可能性があります」といった指摘をしてくれるため、投稿ボタンを押す前の「最後の砦」として機能します。
9. キャンペーンの効果測定とUGCの分析
SNS運用において、「ハッシュタグキャンペーン」や「プレゼント企画」を実施することは多いでしょう。しかし、キャンペーン終了後に「何件の応募があったか」という数字だけを見て満足していませんか?
本当に価値があるのは、そのキャンペーンを通じてユーザーが発信してくれた「UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)」の中身です。AI画像解析やテキストマイニングを活用することで、UGCという「宝の山」から、次なる商品開発やマーケティングのヒントを発掘することができます。
「ビジュアルリスニング」で映り込みを分析する
最近のAIは、テキストだけでなく画像の中身も理解できます(ビジュアルリスニング)。これは、テキストでは言及されていないけれど、画像の中に自社商品が写り込んでいる投稿を見つける技術です。
例えば、飲料メーカーがこの技術を使ったところ、「自社のジュースが、キャンプ場でよく飲まれている」という事実を、ハッシュタグなしの投稿写真から発見しました。これにより、「アウトドア向け」という新たな訴求軸が生まれたのです。
UGC分析で得られる定性データの価値
キャンペーンで集まった数千件の投稿を、人間が全て読んで分類するのは困難です。AIを使えば、投稿内容をカテゴリー分けし、頻出ワードを可視化できます。
AIはUGCを「データの塊」として処理し、人間が見落としていた「ユーザーの無意識の行動」をあぶり出してくれます。キャンペーンのROI(費用対効果)を最大化するためには、終わった後の分析こそAIに任せるべきなのです。
10. 人工知能で加速するソーシャルメディア戦略
ここまで、具体的なAI活用術を見てきましたが、最後にこれからのSNSマーケティングがどう変わっていくのか、その未来像をお話しします。AIの登場により、SNS運用は「センス勝負のギャンブル」から、「データに基づくサイエンス」へと進化しています。
これからのマーケターに求められるのは、AIに「指示を出す力(ディレクション)」と、AIが出したアウトプットに「人間味(エモーション)を足す力」です。AIは効率化の道具であると同時に、あなたの創造性を拡張するパートナーでもあります。
「運用」から「コミュニティ経営」へのシフト
AIが投稿作成や分析といった「作業(オペレーション)」を自動化してくれるようになれば、人間は空いた時間で何をするべきでしょうか? それは、AIにはできない「熱量のマネジメント」です。
- 熱心なファン一人ひとりと深く対話する。
- コミュニティイベントを企画し、リアルな接点を作る。
- ブランドの哲学(Why)を語り、共感の輪を広げる。
これらは、どれだけAIが進化しても人間にしかできない領域です。AIに単純作業を任せることで、私たちはより本質的な「顧客との絆作り」に集中できるようになります。これこそが、AI時代のSNS戦略のあり方です。
予測AIで未来のトレンドを掴む
さらに、これからのAIは「過去の分析」だけでなく「未来の予測」にも使われていくでしょう。「来月はこのトピックが流行りそうだ」「この層のユーザーは次にこんな商品を欲しがるだろう」という予測をAIが立て、人間が先回りしてコンテンツを投下する。
そんな未来はすぐそこまで来ています。変化を恐れず、新しいツールを面白がりながら取り入れていく姿勢を持つこと。それが、アルゴリズムの変動にも負けない、強いブランドを育てる唯一の方法です。
AIは「効率」を、人間は「熱」を。最強のタッグでSNSを制する
本記事では、AIを活用したSNSマーケティングの具体的な手法から、運用マインドセットまでを解説してきました。
重要なのは、AIを「手抜きのためのツール」として使うのではなく、「ユーザーへの提供価値を最大化するためのツール」として使うことです。AIのおかげで生まれた余裕を、より良いコンテンツ作りや、丁寧なコミュニケーションに投資する。その循環が作れれば、エンゲージメントは自然と高まっていきます。
読者の皆さんが明日から始めるべきアクションは、以下の2つです。
- 次回の投稿案を、ChatGPTと「壁打ち」して作ってみる:
一人で悩まず、「このテーマで3つ切り口を考えて」とAIに相談してください。自分では出なかったアイデアが必ず見つかります。 - 過去のインサイトデータをAIに分析させる:
数値データをコピペして、「改善点を3つ教えて」と聞いてみてください。客観的なデータに基づいた運用への第一歩となります。
テクノロジーの力と、あなたの情熱。この両輪が揃ったとき、SNSは単なる情報発信ツールを超え、ファンとブランドを繋ぐ最強の架け橋となるはずです。
SNS×AI活用に関するよくある質問
A. 質の高いコンテンツであれば、不利になることはありません。
プラットフォーム側は「AI製かどうか」よりも「ユーザーが反応しているか(滞在時間やエンゲージメント)」を重視します。ただし、AI丸投げの無機質な投稿はユーザーに見透かされ、結果として評価が下がるため、人間によるリライト(加筆・修正)は必須です。
A. いいえ、無料のChatGPTや各SNSの標準機能でも十分可能です。
投稿のネタ出し、文章作成、データ分析などは無料版のAIチャットツールで十分に対応できます。まずは無料でできる範囲から始めて、運用規模が大きくなってから有料の分析ツールや自動化ツールを検討することをおすすめします。
A. 個人情報や機密情報は絶対に入力しないでください。
一般的なAIツールに入力された情報は、学習データとして利用される可能性があります。顧客名や具体的な売上データなどは入力せず、「Aという業界の傾向」のように抽象化するか、学習機能がオフになっているエンタープライズ版のAI環境を利用してください。
A. いいえ、むしろ「ディレクター」としての役割が重要になります。
AIは作業を代行してくれますが、「誰に何を届けるか」という戦略決定や、フォロワーとの感情的な繋がり作りは人間にしかできません。作業者から司令塔へと、担当者の役割がシフトしていくと考えてください。

執筆者
畔栁 洋志
株式会社TROBZ 代表取締役
愛知県岡崎市出身。大学卒業後、タイ・バンコクに渡り日本人学校で3年間従事。帰国後はデジタルマーケティングのベンチャー企業に参画し、新規部署の立ち上げや事業開発に携わる。2024年に株式会社TROBZを創業しLocina MEOやフォーカスSEOをリリース。SEO検定1級保有
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