ナレッジハブ
2025/12/26
GEO対策のための「構造化データ」完全ガイド:AI検索時代に生き残るためのSchema.org実装術
「素晴らしい記事を書いているのに、GoogleのAI概要(AI Overview)やPerplexityで自社の情報が引用されない」「AIが回答する自社のサービス内容が、微妙に間違っていて困る」
生成AIが検索体験の中心になりつつある今、多くのWeb担当者がこのような悩みを抱えています。これまでのSEOは「人間が読んで分かりやすい記事」を書くことが正解でしたが、AI検索エンジン(GEO:Generative Engine Optimization)の時代においては、それだけでは不十分です。
AIは、私たちが書く日本語のニュアンスを100%正確に理解しているわけではありません。AIに対して「ここは商品名」「ここは価格」「これは著者のプロフィール」と、誤解の余地なく伝えるためには、AI共通の言語である「構造化データ(Schema.org)」の実装が不可欠です。
本記事では、検索順位を上げるためだけの構造化データではなく、AIに自社の情報を「正解」として認識させ、回答の引用元(ソース)として選ばれるための実践的なマークアップ技術を完全ガイドとしてお届けします。専門的なコードの話も出てきますが、マーケターの方にも分かるよう噛み砕いて解説しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
- 1. Schema.orgの理解とGEOへの影響:なぜAIには「翻訳」が必要なのか
- 2. Articleスキーマと著者情報の紐づけ:E-E-A-Tをコードで証明する
- 3. FAQPageスキーマでの直接回答生成:AIの口を借りて自社情報を語らせる
- 4. Datasetスキーマで数値をAIに伝える:データ参照元としての地位を確立する
- 5. Speakableスキーマと音声回答:マルチモーダル対応への布石
- 6. ProfilePageスキーマでの人物エンティティ化:「誰」が発信しているかを定義する
- 7. Organizationスキーマでの組織情報定義:ブランドの「名刺」を渡す
- 8. JSON-LDの実装と検証ツール:構文エラーによる「無視」を防ぐ
- 9. 構造化データが見つからない場合のリスク:AI時代の「透明人間」になる
- 10. AIに「意味」を伝えるメタデータ技術:HTMLそのものを最適化する
- GEO対策の核心は「AIとの共通言語」を持つこと
1. Schema.orgの理解とGEOへの影響:なぜAIには「翻訳」が必要なのか
まず、なぜ今、構造化データ(Schema.org)がSEO以上に、GEO(生成AI検索最適化)にとって重要なのか、その根本的な理由を紐解いていきましょう。
GoogleのSGE(Search Generative Experience)やChatGPT SearchなどのAI検索エンジンは、Web上の膨大なテキストデータを学習・参照して回答を生成します。しかし、通常のHTMLで書かれたテキストは、AIにとって「非構造化データ」であり、解析に負荷がかかる情報です。例えば「鈴木一郎」という単語があったとき、それが「野球選手」なのか「記事の執筆者」なのか「架空のキャラクター」なのかを文脈から推論しなければなりません。
構造化データはAIへの「招待状」
構造化データとは、この推論プロセスを省略し、AIに答えをカンニングさせてあげる仕組みです。「鈴木一郎」という文字列に対し、「これはPerson(人物)であり、この記事のauthor(著者)です」というタグ(メタデータ)を付けることで、AIは迷うことなくその情報をデータベースに格納できます。
GEOの観点では、AIはこの「処理しやすいデータ(構造化データ)」を優先的に参照し、回答の根拠として採用する傾向があります。つまり、構造化データの実装は、AIに対して「うちのサイトの情報は整理されていて使いやすいですよ」という招待状を送るようなものなのです。
従来のSEOとGEOにおける役割の違い
これまでのSEOにおける構造化データの役割と、これからのGEOにおける役割には明確な違いがあります。
| 比較項目 | 従来のSEO(検索エンジン最適化) | これからのGEO(生成AIエンジン最適化) |
|---|---|---|
| 主な目的 | リッチリザルト(星評価やQ&A)を表示させ、クリック率(CTR)を向上させる。 | AIにエンティティ(実体)の意味を理解させ、生成回答のソース(引用元)として採用される。 |
| ターゲット | 検索結果ページを見る「人間のユーザー」。 | 回答を生成しようとしている「AIアルゴリズム」。 |
| 期待効果 | 検索結果での目立ちやすさ、流入数の増加。 | AIによる「ブランド認知の正確性向上」と、会話型検索からの「指名流入」。 |
このように、これからのWebサイト運営では、人間に向けたデザインやライティングだけでなく、ボット(AI)に向けたコーディング(意味付け)が、ブランドのデジタル資産価値を左右することになります。Schema.orgの語彙を使いこなすことは、AIと直接対話するための「共通言語」を習得することに他なりません。
関連ニュース:SEOの常識を覆す!最新アルゴリズムに対応したSEO対策
2. Articleスキーマと著者情報の紐づけ:E-E-A-Tをコードで証明する
Googleが重視する評価基準に「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」がありますが、AIも同様に「誰が言っているのか」を重視します。医療や金融などのYMYL(Your Money Your Life)領域であればなおさらです。
しかし、単に記事の末尾に「執筆者:山田太郎」とテキストで書くだけでは不十分です。同姓同名の別人かもしれませんし、AIはその人物がどれほどの専門家なのかを即座には判断できないからです。ここで活躍するのがArticleスキーマと、その中で著者を定義するauthorプロパティです。
「文字列」ではなく「ID」で管理する
GEO対策として重要なのは、著者を単なる名前(Text)ではなく、特定の人物(Person)として定義し、さらにその人物がWeb上のどこに存在するかを紐づけることです。
具体的には、Articleスキーマの中に以下のような情報を埋め込みます。
- @type: Person(これは人物です)
- name: 山田 太郎(名前は山田太郎です)
- url: https://example.com/author/taro-yamada/(詳細プロフィールはこのページにあります)
- sameAs: [“https://twitter.com/yamada”, “https://linkedin.com/in/yamada”](この人物のSNSアカウントはこれらであり、同一人物です)
このsameAsプロパティが非常に強力です。Twitter(X)やLinkedIn、あるいは著書のアマゾンページなどとリンクさせることで、AIは「この記事を書いた山田太郎は、あの有名な専門家の山田太郎と同一人物である」とナレッジグラフ上で認識します。
NewsArticleとBlogPostingの使い分け
記事の種類によってスキーマを使い分けることも、AIへの理解を助けます。
- Article: 最も汎用的な記事。ニュースでもブログでも使えるが、特徴が薄い。
- NewsArticle: ニュース性のある報道記事。Googleニュースなどに掲載されたい場合は必須。
- BlogPosting: ブログ記事。個人の見解や日記的な要素が含まれる場合に適している。
- TechArticle: 技術的な解説記事。専門性をアピールしたい場合に有効。
自社のコンテンツが「最新ニュース」として扱われたいのか、「技術的な解説」として参照されたいのかによって、適切な型(Type)を選択してください。AIはこの型を見て、「ユーザーが『最新情報を教えて』と聞いたときに参照すべきか、『やり方を教えて』と聞いたときに参照すべきか」を判断しています。
著者情報をコードレベルで紐づけることは、AIに対して身分証明書を提示しながら発言するようなものです。匿名性の高いネット空間において、これが信頼性の担保となり、AIからの引用率を高める鍵となります。
次に読む:SEOで検索上位を独占!集客力アップを実現する実践ノウハウ
3. FAQPageスキーマでの直接回答生成:AIの口を借りて自社情報を語らせる
ユーザーが検索エンジンやAIチャットに対して行う入力の多くは、「〇〇とは?」「〇〇の料金は?」といった「質問」の形式をとります。これに対して、AIが自社の情報を正確に回答してくれるかどうかは、FAQPageスキーマの実装にかかっています。
FAQPageスキーマは、そのページ内に「質問」と「回答」のセットが存在することをAIに明示するものです。これを実装することで、検索結果画面(SERPs)にQ&Aが表示されるだけでなく、AI生成回答(SGE等)においても、その回答文がそのまま引用される確率が飛躍的に高まります。
AIに「要約」させないための防衛策
通常、AIは長い文章を読み込み、自分で要約して回答を作成します。この「要約」のプロセスで、ニュアンスが変わったり、重要な注釈が抜け落ちたりするリスク(ハルシネーション)が発生します。
しかし、FAQスキーマで「Q: 料金はいくらですか?」「A: 月額980円(税込)です。ただし初月は無料です。」とマークアップしておけば、AIはこのペアを「完成された知識」として扱います。結果として、AIが勝手に文章を作り変える余地を減らし、企業側がコントロールした「公式回答」をユーザーに届けられるようになります。
効果的なFAQスキーマの構成
GEOを意識したFAQを作成する場合、以下のポイントを押さえた構成にすることが重要です。
| 要素 | 通常のQ&A(人間向け) | GEO対策のQ&A(AI向け) |
|---|---|---|
| 質問文(Question) | 料金について (※短く簡潔) |
サービスAの月額料金はいくらですか? (※主語と述語を完全な文にする) |
| 回答文(Answer) | 表をご覧ください。 (※視覚情報に依存) |
基本プランは月額980円、プロプランは月額1,980円です。 (※テキストだけで完結させる) |
| スタイル | 会話調や、曖昧な表現を含める。 | 結論から先に述べ、断定的に記述する。 |
音声検索対策としての側面
FAQスキーマは、スマートスピーカー(Google HomeやAlexa)の音声回答のソースとしても利用されます。「OK Google, 〇〇の使い方は?」と聞かれた際、Webページ全体の文章を読み上げるのではなく、FAQスキーマのacceptedAnswer部分だけをピンポイントで読み上げることがあります。
つまり、FAQスキーマを実装することは、画面上のAIだけでなく、音声アシスタントという「声のAI」への対策も同時に行っていることになるのです。一問一答形式のコンテンツがあるページには、必ずこのスキーマを実装することを強く推奨します。
関連文献:SEOの教科書!Webサイトの価値を高める最適化の全て
4. Datasetスキーマで数値をAIに伝える:データ参照元としての地位を確立する
AIは「事実」を求めています。特に統計データ、調査結果、スペック一覧などの「数値情報」は、AIが回答を生成する際の根拠として非常に価値が高い情報です。
しかし、多くのWebサイトでは、こうした重要なデータを「画像」として貼り付けていたり、複雑なレイアウトの表で表現していたりします。これではAIがデータを正確に抽出できず、せっかくの一次情報が見過ごされてしまいます。ここで役立つのがDatasetスキーマです。
表データに意味を与える
Datasetスキーマは、通常はオープンデータや学術データセットに使われるものですが、企業のWebマーケティングにおいても非常に有効です。自社で実施したアンケート調査の結果や、製品の性能比較データなどをDatasetとしてマークアップすることで、GoogleのDataset Searchにインデックスされるだけでなく、AIに対して「ここに構造化されたデータセットがある」と伝えることができます。
例えば、以下のようなプロパティを設定します。
- description: データの概要(例:2024年Webライター実態調査の結果)
- creator: データの作成者(自社組織)
- variableMeasured: 測定項目(例:平均年収、稼働時間)
- distribution: データの形式(CSVやPDFへのリンク)
AIの「ハルシネーション」を防ぐ効果
前述の記事でも触れましたが、AIは数値の解釈を誤ることが多々あります。しかし、Datasetスキーマを用いて、「この数値は『平均値』であり、『中央値』ではない」「単位は『円』ではなく『千円』である」といったメタ情報を付与することで、AIの誤解釈(ハルシネーション)を未然に防ぐことができます。
AIが「日本のWebライターの平均年収は?」という質問を受けた際、あなたのサイトのテキスト情報だけでなく、裏側にあるDataset構造化データを読み込むことで、より確信を持ってあなたのデータを引用してくれるようになります。
自社独自のデータを持っている企業にとって、これは競合他社との差別化を図る強力な武器となります。テキスト記事だけでなく、データの構造化もセットで行うことが、GEO時代のコンテンツ制作のスタンダードとなるでしょう。
5. Speakableスキーマと音声回答:マルチモーダル対応への布石
検索のインターフェースは、テキスト入力から音声入力(Voice Search)、そして画像や動画を含むマルチモーダルへと進化しています。特に米国ではスマートスピーカーの普及率が高く、日本でもスマホへの音声入力は日常化しつつあります。
こうした音声検索や、ニュースの読み上げ機能に対応するためにGoogleが開発したのがSpeakableスキーマです。これは、Webページの中で「音声合成(TTS:Text-to-Speech)で読み上げるのに適した箇所」を指定するための構造化データです。
「読み上げ」に特化した情報の選別
Webページには、ヘッダー、フッター、広告、画像のキャプションなど、音声で読み上げるとノイズになる情報がたくさん含まれています。AIがページ全体を読み上げようとすると、こうした不要な情報まで拾ってしまい、ユーザー体験を損ねてしまいます。
Speakableスキーマで、記事の「リード文」や「要約(Summary)」部分だけをcssSelector(例:#summary や .speakable-content)で指定することで、GoogleアシスタントなどのAIは、その部分だけを綺麗に切り取ってユーザーに読み上げてくれます。
| 適用シーン | Speakableスキーマの活用例 | メリット |
|---|---|---|
| ニュース記事 | 記事の冒頭2〜3段落を指定。 | スマートスピーカーのニュース読み上げ機能で採用されやすくなる。 |
| 用語解説 | 用語の定義部分(Definition)を指定。 | 「〇〇とは?」という音声検索に対し、ダイレクトに回答として読み上げられる。 |
| 企業のプレスリリース | 発表内容の要点をまとめた箇所を指定。 | 多忙なビジネスマンが移動中に「今日のプレスリリースを聞く」際に適切に伝わる。 |
アクセシビリティとSEOの交差点
Speakableスキーマの実装は、視覚障害を持つ方がスクリーンリーダーを使用する際の利便性向上にも寄与します。Webアクセシビリティを高めることは、Googleが掲げる理念とも合致するため、間接的にサイト全体の評価を高める要因にもなり得ます。
現在は米国でのニュースコンテンツが主な対象ですが、AI検索の普及に伴い、あらゆる言語・ジャンルでの活用が予想されます。「耳で聞く」ユーザー体験を想定して、読み上げに適したテキストを用意し、それをマークアップでAIに伝える準備を今のうちから進めておきましょう。
関連記事:Googleマップで上位表示を実現するMEO対策とは?
6. ProfilePageスキーマでの人物エンティティ化:「誰」が発信しているかを定義する
Googleは2024年にProfilePageという新しい構造化データのサポートを強化しました。これは、クリエイター、著者、ジャーナリストなどの「人物」に関する情報を、検索エンジンやAIにより明確に伝えるためのものです。
これまでのSEOでも「著者ページ」の重要性は説かれてきましたが、GEO(生成AIエンジン最適化)においては、その重要度がさらに増しています。なぜなら、AIは情報の信頼性を評価する際に「誰が言っているか(Source Credibility)」を重視するからです。ProfilePageスキーマは、Web上の「山田太郎」という文字列を、実績や肩書きを持つ「実在の専門家」としてエンティティ化する役割を果たします。
mainEntityプロパティの活用
著者プロフィールページ(例:/author/yamada)にこのスキーマを実装する際、最も重要なのがmainEntityプロパティです。ここでPerson型を指定し、その人物の詳細情報を記述します。
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "ProfilePage",
"dateCreated": "2023-12-01T12:00:00+09:00",
"dateModified": "2024-04-01T09:00:00+09:00",
"mainEntity": {
"@type": "Person",
"name": "山田 太郎",
"jobTitle": "シニアSEOコンサルタント",
"description": "10年以上のSEO経験を持ち、大手企業のマーケティング戦略を支援。",
"image": "https://example.com/images/yamada.jpg",
"sameAs": [
"https://twitter.com/yamada_seo",
"https://www.linkedin.com/in/yamada-seo"
]
}
}
</script>
このように記述することで、AIはこのページが単なるテキストの羅列ではなく、「山田太郎という専門家の公式プロフィール」であると認識します。結果として、AIが回答を生成する際、「SEO専門家の山田太郎氏によると〜」といった形で、権威あるソースとして引用されやすくなります。
ナレッジグラフへの登録を促進
このスキーマを正しく実装し、外部の信頼できるサイト(SNS、執筆記事の掲載先、Wikipediaなど)とsameAsでリンクさせることは、Googleの「ナレッジグラフ」への登録を促進します。
ナレッジグラフに「エンティティ」として登録されれば、AIはその人物を「世の中に存在する公的な人物」として認識します。これは、E-E-A-T(権威性・信頼性)のスコアを底上げし、サイト全体の評価向上にも寄与する強力な施策となります。
関連記事はこちら:MEO対策で集客を成功させるポイントと手順
7. Organizationスキーマでの組織情報定義:ブランドの「名刺」を渡す
個人と同様に、企業や組織の情報もAIに正しく伝える必要があります。特に、「類似した社名」が存在する場合や、「略称」で呼ばれることが多い企業の場合、AIが別の会社と混同して誤った回答(ハルシネーション)を生成するリスクがあります。
これを防ぐのがOrganizationスキーマです。これは、Webサイトのトップページなどに実装することで、AIに対してデジタルの「名刺」を渡すような役割を果たします。
ロゴと連絡先の正規化
AI検索(SGEなど)では、回答と共に企業のロゴマークや連絡先が表示されることがあります。この時、古いロゴや代表電話ではない番号が表示されるのを防ぐために、以下の情報を構造化データで定義します。
| プロパティ | 記述すべき内容 | GEOにおける効果 |
|---|---|---|
| logo | 正方形や横長など、AIがトリミングしやすい高解像度のロゴ画像URL。 | AIの回答カードやナレッジパネルに正しいブランドロゴを表示させる。 |
| contactPoint | カスタマーサポートの電話番号、対応言語、対応地域。 | 「〇〇社の問い合わせ先は?」という質問に対し、正確な番号を提示させる。 |
| iso6523Code | 法人番号などの公的な識別コード。 | 同名の他社との混同を完全に防ぎ、実在性を証明する。 |
LocalBusinessとの使い分け
店舗を持つビジネスの場合は、Organizationよりも詳細なLocalBusiness(またはそのサブタイプであるRestaurantやMedicalClinicなど)を使用することを推奨します。
LocalBusinessでは、営業時間(openingHours)、価格帯(priceRange)、地図座標(geo)などを定義できます。「今空いている近くのカフェは?」といったローカル検索意図を持つAIへの問いかけに対して、自社が表示される確率を高めるためには、このエリア情報の構造化が不可欠です。
参考ページ:MEO対策で検索上位を狙う!効果的な施策と成功事例
8. JSON-LDの実装と検証ツール:構文エラーによる「無視」を防ぐ
ここまで様々なスキーマを紹介してきましたが、これらをWebサイトに実装する際の標準的な形式が「JSON-LD(JavaScript Object Notation for Linked Data)」です。HTMLの<head>タグ内、または<body>タグ内にスクリプトとして記述します。
しかし、JSON-LDは「カンマが1つ抜けている」「括弧が閉じられていない」といった些細な構文エラーがあるだけで、検索エンジンやAIから完全に無視されてしまいます。実装後の検証プロセスは、コーディング作業と同じくらい重要です。
必須の検証ツール2選
構造化データが正しく実装されているかを確認するには、以下のGoogle公式ツールを使用します。
| ツール名 | 主な用途 | 確認すべきポイント |
|---|---|---|
| リッチリザルトテスト (Rich Results Test) |
Google検索での表示(リッチリザルト)に対応しているか判定する。 | 「アイテムが検出されました」と緑色で表示されるか。必須プロパティの欠落がないか。 |
| Schema Markup Validator | Schema.orgの規格に準拠しているか、構文エラーがないかを検証する。 | Google固有の要件以外の全てのスキーマ(Datasetなど)の構文チェックに使用。 |
動的出力とプラグインの注意点
WordPressなどのCMSでは、SEOプラグインが自動的に構造化データを出力してくれる機能があります。これは便利ですが、意図しないデータが出力されていないか注意が必要です。
例えば、記事の更新日を少し修正しただけでdateModifiedが更新され、内容が変わっていないのに「最新情報」としてAIに伝わってしまうケースなどがあります。プラグイン任せにせず、定期的に上記のツールを使って、実際に出力されているJSON-LDのソースコードを目視確認する習慣をつけてください。
9. 構造化データが見つからない場合のリスク:AI時代の「透明人間」になる
「構造化データは難しそうだから後回しにしよう」。そう考えるWeb担当者も多いかもしれません。しかし、GEOの観点から言えば、構造化データの実装を怠ることは、AIに対して「私のサイトは理解しなくていいです」と宣言しているのに等しい行為です。
ゼロクリック検索での機会損失
AI検索の普及により、ユーザーは検索結果画面だけで答えを知る「ゼロクリック検索」が増加しています。もし、あなたのサイトが構造化データを実装しておらず、競合他社が実装していた場合、どうなるでしょうか。
AIは理解しやすい(構造化された)競合他社の情報を優先的に読み取り、回答として提示します。あなたのサイトにも同じ情報が載っていたとしても、AIにとって読み解くコストが高ければ、スルーされてしまうのです。結果として、あなたのサイトは検索結果(AI回答)にすら表示されず、存在しないも同然の扱いを受けてしまいます。
誤った情報の拡散リスク
さらに恐ろしいのは、情報が「無視される」だけでなく「間違って伝わる」リスクです。
例えば、商品価格の構造化データがないため、AIが近くにある「型番の数字」を「価格」と勘違いして学習してしまうケースなどがあります。「この商品は9800円です」とAIが回答し、実際は「20000円」だった場合、ユーザーからのクレームやブランドへの不信感に繋がります。
構造化データの実装は、単なるSEOテクニックではなく、AIによる誤解を防ぐための「リスクマネジメント」であると認識する必要があります。
10. AIに「意味」を伝えるメタデータ技術:HTMLそのものを最適化する
最後に、JSON-LDのような追加コードだけでなく、HTMLそのものの書き方(セマンティック・マークアップ)も、AIへの理解を助ける重要な要素であることを解説します。
AIはWebページのソースコード全体を解析しています。<div>タグばかりで構成されたページよりも、HTML5の意味的なタグ(セマンティックタグ)で構造化されたページの方が、AIは「どこが重要で、どこが補足なのか」を瞬時に理解できます。
セマンティックタグの適切な使用
- <main>: ページの主要コンテンツであることを示します。AIはこの中身を最優先で学習します。
- <nav>: ナビゲーションリンクであることを示します。AIはここはコンテンツの中身ではないと判断し、学習の重み付けを下げます。
- <aside>: 本文とは関係の薄い補足情報やサイドバーであることを示します。
- <article>: 独立した記事コンテンツであることを示します。
これらのタグを正しく使い分けることで、AIに対して「ここを読んでください」「ここは読み飛ばしていいです」という指示を、構造的に伝えることができます。
画像への「意味」の付与
マルチモーダルAIの時代において、画像の最適化も欠かせません。<img>タグのalt属性は、単なる代替テキストではなく、AIに「この画像は何を表しているか」を教えるための教師データです。
「image01.jpg」というファイル名で、alt属性が空の画像は、AIにとっては「無」に等しい存在です。alt="新型スマートフォンの背面カメラの詳細"のように具体的に記述することで、画像検索やAIの画像解析において、その画像が文脈を持った情報として扱われるようになります。
構造化データ(JSON-LD)とセマンティックHTML。この両輪を回すことで初めて、あなたのWebサイトは人間にとってもAIにとっても「読みやすく、理解しやすい」完全なメディアとなるのです。
こちらも読まれています:MEO対策で売上アップ!Googleマップを活用した戦略
GEO対策の核心は「AIとの共通言語」を持つこと
本記事では、AI検索時代(GEO)における「構造化データ」の重要性と、その具体的な実装方法について解説してきました。
結論として、これからのWebサイト運営において最も重要なのは、AIを「敵」や「不明瞭なブラックボックス」と見るのではなく、情報を届けるべき「主要な読者の一人」として扱うことです。Schema.orgという共通言語を用いて、自社の情報を誤解なく、論理的に伝える努力をした企業だけが、AIによる回答のソースとして選ばれ、信頼を勝ち取ることができます。
明日から始めるアクションプラン
記事の内容を実践するために、まずは以下の2つの行動から始めてみてください。
- リッチリザルトテストでの現状把握:
Googleの「リッチリザルトテスト」ツールを開き、自社の主要ページ(トップページ、記事ページ、製品ページ)のURLを入力してみてください。現在どのような構造化データが検出されるか、あるいはエラーが出ていないかを確認することから全ては始まります。 - 「パンくずリスト」の構造化データ確認:
最も導入ハードルが低く、効果が出やすいのがBreadcrumbList(パンくずリスト)の構造化データです。これが正しく実装されているかを確認し、未実装であればプラグインやHTML修正で対応してください。サイト構造をAIに理解させる第一歩となります。
AIは日々進化していますが、その根底にある「整理されたデータを好む」という性質は変わりません。地道なマークアップの積み重ねが、将来にわたってあなたのWebサイトの資産価値を守り続ける防波堤となるでしょう。
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執筆者
畔栁 洋志
株式会社TROBZ 代表取締役
愛知県岡崎市出身。大学卒業後、タイ・バンコクに渡り日本人学校で3年間従事。帰国後はデジタルマーケティングのベンチャー企業に参画し、新規部署の立ち上げや事業開発に携わる。2024年に株式会社TROBZを創業しLocina MEOやフォーカスSEOをリリース。SEO検定1級保有
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