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2025/9/30

ホームページリニューアルを成功させる完全マニュアル|進め方と注意点

ホームページリニューアルを成功させる完全マニュアル|進め方と注意点

企業の「顔」であり、Webマーケティングの「心臓部」であるホームページ。しかし、一度作れば永遠にその価値を保ち続けられるわけではありません。ビジネス環境が変化し、技術が進化し、顧客の期待値が高まる中で、かつては最新だったホームページも、気づけば時代遅れの「負の資産」と化していることがあります。ホームページリニューアルは、単なる「古くなったデザインを着せ替える」作業ではありません。それは、変化したビジネスの現状に合わせて、Webサイトの目的、構造、そして役割を再定義し、再び成果を生み出す資産へと再生させるための、極めて重要な戦略的プロジェクトです。本稿では、この複雑で失敗の許されないプロジェクトを成功に導くための、計画から実行、そして公開後の改善までの全プロセスを、網羅的かつ体系的に解説する完全マニュアルです。このマニュアルを羅針盤として、あなたのビジネスを新たなステージへと導く、価値あるリニューアルを実現してください。

1. リニューアルを検討すべき5つのサイン

「そろそろ、うちのホームページもリニューアルした方が良いのかもしれない…」

多くの経営者やWeb担当者が、漠然とそう感じながらも、具体的なタイミングを掴めずにいるのではないでしょうか。ホームページリニューアルは、大きな投資と労力を伴うため、その決断には明確な根拠が必要です。ここでは、あなたのホームページが発している「リニューアルすべき時期が来た」という、見過ごしてはならない5つの危険なサインについて解説します。これらのサインが複数当てはまる場合、それはもはや、先延ばしにできない経営課題と捉えるべきです。

サイン1:デザインが古く、スマートフォンに対応していない

  • 見た目の問題:
    • Webデザインのトレンドは、数年単位で大きく変化します。数年前に作られたサイトは、レイアウト、配色、フォントなどが、今日のユーザーの目には明らかに「古い」と映ってしまいます。この「古さ」は、単なる見た目の問題に留まりません。「この会社は、時代の変化についていけていないのではないか」「情報管理がずさんなのではないか」と、企業そのものの信頼性や先進性を損なう、深刻なブランドイメージの毀損に繋がります。
  • スマートフォン未対応という致命的な欠陥:
    • 2025年現在、インターネットアクセスの大半はスマートフォン経由です。にもかかわらず、ホームページがスマートフォン表示に最適化されておらず、PCサイトをそのまま縮小したような表示になっている場合、それはもはや致命的な欠陥です。文字は小さすぎて読めず、ボタンは指で押すことが困難。このようなサイトを訪れたユーザーは、強いストレスを感じ、3秒と経たずに離脱してしまうでしょう。さらに、Googleの検索エンジンは、スマートフォンサイトを基準に評価を行う「モバイルファーストインデックス」を完全導入しているため、スマートフォン未対応のサイトは、SEO(検索エンジン最適化)においても、極めて不利な評価を受けます。

サイン2:Webサイト経由の問い合わせや売上が減少している

  • ビジネス成果の低下:
    • かつては、ホームページ経由で一定数の問い合わせや資料請求、あるいはECサイトでの売上があったにもかかわらず、ここ1〜2年で、その数が明らかに減少傾向にある。これは、リニューアルを検討すべき最も分かりやすいサインです。
  • 原因:
    • 競合他社が、より魅力的で使いやすいサイトにリニューアルした結果、相対的にあなたのサイトの魅力が低下し、顧客を奪われている。
    • 検索エンジンのアルゴリズムが変動し、古い構造のサイトが評価されにくくなった(SEO上の問題)。
    • ユーザーが求める情報が、現在のサイトには不足している。
    • これらの要因が複合的に絡み合い、サイトの「稼ぐ力」が失われている状態です。

サイン3:情報の更新・追加が困難、または放置されている

  • 運用の形骸化:
    • ホームページは、本来、常に最新の情報を発信し続ける「生きたメディア」であるべきです。しかし、「お知らせを一つ更新するにも、制作会社に依頼して数日かかり、費用も発生する」「ブログ機能はあるが、管理画面が複雑で誰も使わなくなり、最後の更新が2年前で止まっている」といった状態は、サイトが「死んでいる(デッドサイト)」ことを意味します。
  • 原因:
    • 古い技術(HTMLの手打ち更新など)で構築されており、専門知識がないと更新できない。
    • 導入されているCMS(コンテンツ管理システム)が、時代遅れで使いにくい。
    • 情報が古いままで放置されているサイトは、ユーザーからの信頼を失うだけでなく、情報の鮮度を重視するGoogleからの評価も低下します。

サイン4:ビジネスの現状とサイトの内容が一致していない

  • 事業内容の変化:
    • 会社設立当初から、提供するサービス内容が変わったり、新たな事業の柱が生まれたり、あるいはターゲットとする顧客層が変化したりすることは、成長する企業にとって当然のことです。
    • しかし、ホームページの内容が古いままでは、現在のビジネスの姿を、正しく顧客に伝えることができません。「まだやっているのか分からないサービス」が大きく掲載され、「今、最も力を入れている主力サービス」が小さくしか扱われていない、といった情報のズレは、大きな機会損失に繋がります。

サイン5:サイトの表示速度が遅く、セキュリティに不安がある

  • 表示速度の問題:
    • ページの読み込みに3秒以上かかると、半数以上のユーザーが離脱すると言われています。サイトの表示速度は、ユーザー体験を左右する極めて重要な要素であり、Googleのランキング要因にもなっています。古い技術や、最適化されていない画像が多いサイトは、表示速度が遅くなりがちです。
  • セキュリティのリスク:
    • サイトがHTTPS化(常時SSL化)されておらず、ブラウザに「保護されていない通信」と警告が表示される。あるいは、利用しているCMSやプラグインが古いまま放置され、セキュリティ上の脆弱性がある。これらの状態は、情報漏洩などの重大な事故に繋がるリスクを孕んでおり、企業の信頼を根底から揺るがしかねません。

これらのサインは、あなたのホームページが、もはや資産ではなく、ビジネスの成長を妨げる「お荷物」になっていることを示す危険信号です。一つでも強く当てはまる項目があれば、それは未来への投資として、本格的なリニューアルを検討すべき時が来たことを意味しています。

2. 現状サイトの課題を分析・抽出する方法

ホームページリニューアルを成功させるためには、やみくもに新しいデザインを考えるのではなく、まず「なぜ、リニューアルが必要なのか」という、その根拠となる現状サイトの課題を、客観的なデータに基づいて正確に把握することが不可欠です。

この現状分析のフェーズを丁寧に行うことで、リニューアルの目的が明確になり、新しいサイトで何を改善すべきかの具体的な方向性が定まります。ここでは、誰でも実践できる、現状サイトの課題を分析・抽出するための3つのアプローチを紹介します。

アプローチ1:データからサイトの「健康状態」を診断する(定量分析)

まずは、Googleが無料で提供するアクセス解析ツールなどを活用し、サイトのパフォーマンスに関する客観的な「数値(データ)」と向き合います。データは、ユーザーの行動の結果であり、サイトが抱える問題を雄弁に物語ってくれます。

  • Googleアナリティクス4 (GA4) で見るべき指標:
    • ユーザー数・セッション数の推移: 過去2〜3年の長期的なスパンで、サイトへのアクセス数が減少傾向にないかを確認します。
    • 流入チャネル: ユーザーがどこから来ているか(自然検索、広告、SNSなど)を分析します。特定のチャネルからの流入が極端に少ない場合、そのチャネルの施策に課題がある可能性があります。
    • ランディングページ: ユーザーが最初に訪れるページで、エンゲージメント率が著しく低い、あるいは離脱数が多いページは、ユーザーの期待とコンテンツの内容がズレている「問題児ページ」です。
    • コンバージョン(CV): 「問い合わせ完了」や「購入完了」といった、サイトのゴールがどれだけ達成されているか。CV数が減少している場合は、サイトの「稼ぐ力」が低下している明確な証拠です。
  • Google Search Console で見るべき指標:
    • 検索パフォーマンス: どのようなキーワードで検索され、サイトが表示・クリックされているか。かつて流入を稼いでいた重要キーワードの掲載順位が、長期的に下落していないかを確認します。
    • モバイルユーザビリティ: スマートフォンで閲覧した際に、問題(「テキストが小さすぎる」など)が発生しているページがないかを確認します。
    • コアウェブバイタル: サイトの表示速度や快適性を示す指標。ここに「不良」や「改善が必要」と表示されているURLが多い場合、ユーザー体験に深刻な問題を抱えています。
  • ヒートマップツールでユーザーの行動を可視化:
    • ヒートマップとは、ユーザーがページのどこを熟読し、どこをクリックし、どこで離脱したかを、サーモグラフィーのような色で可視化するツールです(Microsoft Clarityなど、無料で高機能なものもあります)。
    • 「読んでほしい場所が、全く読まれずに読み飛ばされている」「ボタンではない場所が、勘違いしてクリックされている」といった、GA4の数値だけでは分からない、ユーザーの無意識の行動を明らかにできます。

アプローチ2:競合と比較して「立ち位置」を知る(競合分析)

自社のサイトだけを見ていても、その良し悪しは判断できません。同じ市場で戦う「競合」と比較することで、初めて自社の相対的な強みと弱みが明確になります。

  • 競合の特定: あなたのビジネスの主要な競合他社を3〜5社リストアップします。
  • 比較分析の観点:
    • デザイン・ユーザー体験: 競合サイトは、デザイン的に洗練されているか?スマートフォンで使いやすいか?
    • コンテンツ: 競合は、どのようなコンテンツ(ブログ、導入事例など)で、どのような情報を発信しているか?自社が見落としている、顧客が求めるコンテンツはないか?
    • SEO: AhrefsなどのSEOツール(一部無料機能あり)を使えば、競合がどのようなキーワードで上位表示され、どれくらいのアクセスを集めているかを推測できます。自社が狙うべきキーワードのヒントが得られます。

アプローチ3:顧客や社員の声に耳を傾ける(定性分析)

データ分析と並行して、サイトを実際に利用する「人」の生の声を聞くことも、非常に重要です。

  • 顧客へのヒアリング:
    • 既存の優良顧客に、「うちのホームページについて、正直どう思いますか?」「情報は見つけやすいですか?」「分かりにくい点はありますか?」と、直接ヒアリングしてみましょう。思いもよらない、貴重な改善のヒントが得られることがあります。
  • 営業・サポート部門へのヒアリング:
    • 日々、顧客と直接対話している営業担当者や、カスタマーサポートの担当者は、「お客様から、よく〇〇という質問を受ける」「サイトの△△の場所が分かりにくい、とよく言われる」といった、ユーザーのリアルな不満を把握しています。彼らの声は、サイト改善の宝の山です。

これらの定量分析(データ)、競合分析(比較)、定性分析(人の声)という3つのアプローチから得られた課題を、「デザインの問題」「コンテンツの問題」「技術的な問題」「集客の問題」といったカテゴリーに整理し、リストアップします。この「課題リスト」こそが、次のステップである「リニューアルの目的設定」の、確かな土台となるのです。

※関連記事:これからホームページ制作を始める人が知っておくべき全知識

3. リニューアルの目的(KGI/KPI)を明確にする

現状サイトの課題分析を通じて、解決すべき問題点が明らかになったら、次に行うべき最も重要なステップが、「今回のリニューアルを通じて、何を達成するのか」という、明確な「目的」を設定することです。

この目的設定が曖昧なままプロジェクトを進めてしまうと、「デザインは新しくなったけれど、成果は以前と変わらない」といった、最も避けるべき失敗に陥ります。リニューアルの目的は、プロジェクトチーム全員が共有する「北極星」であり、デザインや機能に関するあらゆる意思決定の、最終的な判断基準となるものです。

なぜ目的設定が不可欠なのか

  • 方向性の統一:
    • リニューアルプロジェクトには、経営者、担当者、デザイナー、エンジニアなど、多くの関係者が関わります。それぞれの立場から「こんな機能が欲しい」「こんなデザインにしたい」といった様々な要望が出てきます。その際に、「我々の目的は〇〇だから、この機能は必要だが、こちらのデザインは目的に合わない」といった、一貫性のある判断を下すための、共通の拠り所となります。
  • 成果の客観的な評価:
    • リニューアルが成功したかどうかを、客観的に評価するための物差しとなります。「なんとなく良くなった」という主観的な感想ではなく、「目標としていた問い合わせ件数を、計画通り達成できた」と、データに基づいて成否を判断できます。
  • 制作会社との円滑なコミュニケーション:
    • 外部の制作会社に依頼する場合、明確な目的を提示することで、彼らはその目的を達成するための、より的確で、踏み込んだ提案をしやすくなります。目的が曖昧だと、彼らも当たり障りのない、一般的な提案しかできません。

KGIとKPI:目的を「測定可能」な指標に落とし込む

目的は、単なるスローガンではなく、具体的で、測定可能な「指標」として設定することが重要です。そのために、KGI(重要目標達成指標)KPI(重要業績評価指標)というフレームワークを活用します。

  • KGI (Key Goal Indicator) – 最終目標:
    • リニューアルを通じて、ビジネス全体で最終的に達成したい、最も重要な目標です。売上や利益に直結する、経営レベルの指標を設定します。KGIは、通常1つか2つに絞り込みます。
    • KGIの設定例:
      • [BtoBサイト] Webサイト経由の月間問い合わせ(リード)件数を、現状の20件から100件に増やす。
      • [ECサイト] Webサイト経由の月商を、現状の500万円から1,000万円にする。
      • [採用サイト] サイト経由の年間応募者数を、50名から200名に増やす。
      • [ブランディングサイト] 指名検索数(会社名での検索数)を、半年で150%にする。
  • KPI (Key Performance Indicator) – 中間目標:
    • KGIを達成するためのプロセスが、順調に進んでいるかを計測するための中間的な指標です。KGIを因数分解して設定します。
    • KPIの設定例(KGIが「月間問い合わせ100件」の場合):
      • 問い合わせ件数は、「アクセス数(セッション) × コンバージョン率(CVR)」で成り立っています。
      • したがって、KPIは以下のように設定できます。
        • KPI 1: 自然検索からの月間セッション数: 現状の1万から5万に増やす。(集客力の指標)
        • KPI 2: コンバージョン率 (CVR): 現状の0.5%から1.0%に改善する。(サイトの接客力の指標)
          • (計算:5万セッション × 1.0% = 500件…おっと、これでは多すぎるので、KGIと整合性を取る必要がありますね。例えば、セッション2万 × CVR 0.5% = 100件、といったように調整します)
          • 正しくは、例えば、KGIの100件を達成するために、セッション数を2万、CVRを0.5%に設定する、といった形になります。
        • KPI 3: 特定の重要キーワードでの検索順位: 〇〇というキーワードで5位以内に入る。

RFP(提案依頼書)への落とし込み

社内で明確化したリニューアルの目的(KGI/KPI)、そして現状分析で見えてきた課題は、「RFP(Request for Proposal:提案依頼書)」というドキュメントにまとめ、制作会社の候補に提示することを強く推奨します。

RFPを用意することで、各社は同じ前提条件で、あなたの会社の課題解決に特化した、質の高い提案を作成することができます。これにより、各社の提案を公平に比較検討し、最適なパートナーを選ぶことが可能になります。

リニューアルプロジェクトは、この「目的設定」という、最初のボタンを正しくかけることで、その成功確率が飛躍的に高まります。時間をかけてでも、関係者全員が完全に納得するまで、徹底的に議論を尽くすことが、何よりも重要なのです。

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4. SEO評価を落とさないための移行手順

ホームページリニューアルは、ビジネスを飛躍させる大きなチャンスであると同時に、これまで蓄積してきたSEO(検索エンジン最適化)の評価を、一夜にして失ってしまうという、重大なリスクを孕んでいます。

長年の運用で積み上げてきた検索順位や、外部サイトからの貴重な被リンクといった「SEO資産」を、リニューアル後も正しく引き継ぎ、むしろさらに向上させていく。この「守りのSEO」を、リニューアルの計画段階から緻密に設計しておくことが、リニューアルを成功させるための、技術的な最重要課題です。

リニューアルでSEO評価が下落する主な原因

なぜ、リニューアルによってSEO評価が下落してしまうのでしょうか。その原因は、主に以下の3つです。

  1. URLの変更に伴う評価のリセット:
    • ページのURLは、Web上の「住所」のようなものです。リニューアルによって、ページのURLが変更されたにもかかわらず、古い住所(URL)から新しい住所(URL)への「転送手続き」を正しく行わないと、検索エンジンは新しいページを「全く別の、新しいページ」と認識してしまいます。これにより、古いURLが持っていた検索順位や被リンクの評価が、新しいURLに引き継がれず、ゼロから評価をやり直すことになってしまいます。
  2. コンテンツの消失・質の低下:
    • リニューアルの過程で、これまで多くのアクセスを集めていたページを、誤って削除してしまったり、内容を大幅に削ってしまったりすると、そのページが評価されていたキーワードでの順位が下落します。
  3. 重要なSEO設定の欠落:
    • titleタグ、meta description、見出しタグ(h1など)、alt属性といった、SEO上重要なHTMLタグの設定が、リニューアル後のサイトで適切に行われていない場合、検索エンジンはページの内容を正しく理解できず、評価が低下します。

SEO資産を引き継ぐための移行手順

これらのリスクを回避し、安全にリニューアルを遂行するためには、以下の手順を、制作会社と緊密に連携しながら、慎重に進める必要があります。

【計画・準備フェーズ】

  • ステップ1:現状サイトのSEO資産の棚卸し:
    • 全ページのURLリストを作成: 現状サイトに存在する、全てのページのURLをリストアップします。
    • 各ページのパフォーマンスを把握: GoogleアナリティクスやSearch Consoleを使い、各URLのアクセス数、流入キーワード、コンバージョン数、被リンク数などを調査し、URLリストに紐付けます。これにより、「どのページが、ビジネスにとって重要か」を可視化します。
  • ステップ2:新旧URLの対応表(マッピングシート)の作成:
    • 新しいサイトのサイトマップ(ページ構成)を設計し、「古いURL」と「新しいURL」が一対一で対応する、詳細な対応表を作成します。この対応表が、後述するリダイレクト設定の、最も重要な設計図となります。
    • ページを統合・削除する場合は、どの古いURLを、どの新しいURLに転送するのか、そのルールを明確に定義します。

【実装・公開フェーズ】

  • ステップ3:301リダイレクトの徹底的な設定:
    • これが、技術的に最も重要なステップです。
    • 301リダイレクトとは、あるURLへのアクセスを、恒久的に別のURLへ自動転送させるための設定です。
    • ステップ2で作成した対応表に基づき、全ての古いURLから、対応する新しいURLへ、301リダイレクトを設定します。これにより、「このページは、こちらの新しい住所に引っ越しました」と、検索エンジンとユーザーの両方に、恒久的な移転を伝えることができます。この設定により、古いURLが持っていたSEO評価が、新しいURLへと適切に引き継がれます。
  • ステップ4:基本的なSEO設定の引き継ぎと最適化:
    • 各ページのtitleタグ、meta descriptionh1タグなどが、リニューアル後も適切に設定されているかを確認します。リニューアルは、これらの設定を、最新のSEOの考え方に基づいて、より最適化する絶好の機会でもあります。
    • 構造化データや、XMLサイトマップ、robots.txtなども、正しく設定されているかを確認します。

【公開後フェーズ】

  • ステップ5:Google Search Consoleでの各種設定:
    • XMLサイトマップの再送信: リニューアル後の新しいサイトマップを、Search ConsoleからGoogleに送信し、新しいサイト構造を迅速にクロールしてもらいます。
    • アドレス変更ツールの使用(ドメイン変更の場合): もし、ドメイン自体を変更するリニューアルであれば、Search Consoleの「アドレス変更ツール」を使用して、Googleにサイトの移転を正式に通知します。
  • ステップ6:エラーの監視と修正:
    • サイト公開後、最低でも1ヶ月間は、Search Consoleの「カバレッジ」レポートや、クローラーツール(Screaming Frogなど)を使い、404エラー(ページが見つかりません)や、リダイレクトの設定ミスがないかを、注意深く監視します。問題が発見され次第、迅速に修正対応を行います。

これらの手順を、計画段階から制作会社と綿密に打ち合わせ、チェックリストを作成し、一つひとつ着実に実行していくこと。それが、リニューアルという大きな変化を乗り越え、SEO評価をさらに飛躍させるための、唯一の確実な道筋です。

5. デザイン刷新で気をつけるべきこと

ホームページリニューアルの動機として、最も多いのが「デザインの刷新」です。古くなった見た目を、現代的で洗練されたデザインに変えることは、ブランドイメージを向上させ、ユーザーの第一印象を劇的に改善する上で、非常に大きな効果を持ちます。

しかし、デザインの刷新は、単に「見た目を綺麗にする」という表面的な作業に留まってはなりません。むしろ、見た目以上に重要なのは、そのデザインが「ビジネスの目的を達成するために機能しているか」「ユーザーにとって、本当に使いやすいものになっているか」という、戦略的な視点です。ここでは、デザイン刷新を成功させるために、気をつけるべき3つの重要なポイントを解説します。

ポイント1:「誰に、何を伝えたいか」をデザインの軸にする

優れたデザインは、必ず明確な「コンセプト」に基づいています。そして、そのコンセプトの核となるのが、「ターゲットユーザー(ペロソナ)」「伝えたいブランドイメージ」です。

  • ターゲットユーザーから逆算する:
    • あなたのホームページを訪れるのは、どのような人でしょうか?年齢、性別、価値観、Webリテラシーなどを具体的に設定したペルソナを、デザインの判断基準とします。
    • :
      • ターゲットが富裕層のシニアであれば、奇抜で先進的なデザインよりも、文字が大きく、落ち着いた色調で、安心感と高級感が伝わるデザインが求められます。
      • ターゲットが流行に敏感な若者であれば、動画やアニメーションを効果的に使った、ダイナミックで、遊び心のあるデザインが響くかもしれません。
  • ブランドイメージを体現する:
    • ホームページのデザインは、あなたの会社のブランド・アイデンティティを視覚的に表現する、最も重要な要素です。
    • あなたのブランドが持つ価値観(「信頼性」「革新性」「親しみやすさ」「高級感」など)を、色(カラーパレット)、形(レイアウト)、文字(タイポグラフィ)といったデザイン要素に、一貫性を持って落とし込んでいきます。
    • 経営者や担当者の個人的な好み(「社長が青色が好きだから」)でデザインを決めるのではなく、「我々のブランドは、顧客にどう思われたいのか」という、客観的な視点から、デザインの方向性を決定することが不可欠です。

ポイント2:見た目の美しさ(UI)と、使いやすさ(UX)を両立させる

Webデザインの世界には、UIとUXという、密接に関連する二つの重要な概念があります。

  • UI (User Interface) – ユーザーインターフェース:
    • ユーザーが、サイトを「見る」部分のデザイン。文字通り、ユーザーとの接点となる、ボタン、アイコン、レイアウト、配色といった、視覚的な要素全般を指します。見た目の美しさや、ブランドの世界観の表現は、主にこのUIの領域です。
  • UX (User Experience) – ユーザーエクスペリエンス:
    • ユーザーが、サイトを「使う」過程で得られる、体験全体の質。サイトの表示速度、情報の見つけやすさ、フォームの入力しやすさ、そして最終的に「目的を達成できた」という満足感までを含みます。

リニューアルで陥りがちな失敗は、UI(見た目の美しさ)ばかりを追求するあまり、UX(使いやすさ)を損なってしまうことです。

  • よくある失敗例:
    • デザイン性を重視しすぎて、どこがクリックできるのか分かりにくい。
    • 美しい巨大な画像を使った結果、ページの表示速度が極端に遅くなってしまった。
    • 斬新なメニュー構造にした結果、ユーザーが目的の情報にたどり着けなくなった。

優れたデザインとは、美しいUIと、快適なUXが、高いレベルで両立しているデザインです。ユーザーが、「美しいと感じ、かつ、迷うことなく、ストレスなく、目的を達成できる」。この状態を目指すことが、デザイン刷新のゴールです。

ポイント3:既存の「勝ちパターン」を安易に捨てない

リニューアルでは、全てを新しくしたくなる衝動に駆られますが、それは危険な考え方です。現状のサイトにも、ユーザーに評価され、成果を生み出している「勝ちパターン」が、必ず存在するはずです。

  • データに基づいた現状評価:
    • リニューアルのデザイン設計に入る前に、現状サイトのアクセス解析データや、ヒートマップデータを徹底的に分析します。
    • 「どのページのコンバージョン率が高いか」「どのボタンがよくクリックされているか」「どのコンテンツがよく読まれているか」といった、現状の「強み」を特定します。
  • 良い部分は継承・強化する:
    • 特定のページのレイアウトや、CTAボタンの文言が、高い成果を出しているのであれば、その要素は、新しいデザインの中でも、安易に変更せず、むしろ継承・強化するべきです。
    • 全く新しいデザインに変えることで、ユーザーが慣れ親しんだ操作感が失われ、かえって使いにくくなり、コンバージョン率が低下してしまう、というリスクは、常に念頭に置いておく必要があります。

デザイン刷新は、アートではなく、ビジネスの目的を達成するための、科学的な課題解決プロセスです。感覚的な「好き嫌い」ではなく、データと戦略に基づいた意思決定を重ねていくこと。それが、真に成果に繋がるデザインリニューアルを実現するための、唯一の道筋なのです。

※関連記事:ホームページ制作を外注する前に!依頼主が準備しておくべきことリスト

6. コンテンツの棚卸しと再編成

ホームページリニューアルは、デザインという「器」を新しくするだけでなく、その中に入れる「中身(コンテンツ)」を見直し、磨き上げる、絶好の機会です。

長年の運用で蓄積されたコンテンツの中には、もはや情報が古くなってしまったもの、重複しているもの、そして誰にも読まれていないものが、数多く眠っているはずです。これらのコンテンツを整理・整頓する「コンテンツの棚卸し(コンテンツ・オーディット)」を行い、新しいサイトの目的に合わせて再編成することは、ユーザー体験(UX)とSEOの両面において、リニューアルの成果を最大化するために不可欠なプロセスです。

なぜコンテンツの棚卸しが必要なのか

  • ユーザー体験(UX)の向上:
    • 情報が整理されていないサイトは、ユーザーにとって非常に使いにくいものです。古い情報と新しい情報が混在していたり、同じような内容のページが複数あったりすると、ユーザーは混乱し、探している情報にたどり着くことができずに離脱してしまいます。棚卸しを通じて、情報を整理・体系化し、ユーザーが必要な情報に最短でアクセスできるように、情報構造を再設計します。
  • SEO評価の向上:
    • Googleは、質の低いページや、重複した内容のページが多いサイトを、「サイト全体の品質が低い」と評価する傾向があります。不要なページを削除・統合し、質の高いページだけを残すことで、サイト全体の評価が向上し、重要なページの検索順位にも良い影響を与えます。
    • また、棚卸しのプロセスで、既存のコンテンツを最新の情報に更新(リライト)することで、情報の鮮度(フレッシュネス)が高まり、これもSEO評価の向上に繋がります。
  • リニューアルプロジェクトの効率化:
    • 移行すべきコンテンツと、そうでないコンテンツを事前に明確にしておくことで、リニューアルの作業範囲が確定し、プロジェクトのスケジュール遅延や、手戻りを防ぐことができます。

コンテンツ棚卸しの実践ステップ

ステップ1:全てのコンテンツのリストアップ

  • まず、現状のサイトに存在する全てのページのURLを、スプレッドシートなどに一覧化します。小規模なサイトであれば手作業でも可能ですが、ページ数が多い場合は、「Screaming Frog SEO Spider」のようなクローラーツールを使うと、効率的に全URLを抽出できます。

ステップ2:各コンテンツのパフォーマンスをデータで評価

  • 次に、リストアップした各URLに対して、客観的な「成績データ」を紐付けていきます。このデータが、そのコンテンツを残すべきかどうかの、重要な判断材料となります。
  • 収集する主なデータ:
    • Googleアナリティクス4 (GA4) から:
      • 過去1〜2年間のページビュー(表示回数)
      • 平均エンゲージメント時間
      • コンバージョン(CV)への貢献数
    • Google Search Console から:
      • クリック数表示回数
      • 掲載順位
      • 被リンク数(外部サイトからリンクされている数)

ステップ3:コンテンツを「4つのカテゴリー」に分類する

収集したデータを基に、各コンテンツを、以下の4つのカテゴリーのいずれかに分類していきます。

  1. 維持・強化 (Keep & Improve):
    • 特徴: アクセス数が多く、コンバージョンにも貢献している、サイトの「エースコンテンツ」。
    • アクション: 新しいサイトでも、もちろん「維持」します。さらに、今回のリニューアルを機に、情報を最新化したり、図解を追加したりして、内容をさらに充実させる「強化(リライト)」を検討します。
  2. 改善 (Update / Consolidate):
    • 特徴: テーマは良いが、情報が古い、あるいはアクセス数があまり伸びていない「惜しいコンテンツ」。または、複数のページに、似たような内容が分散してしまっている状態。
    • アクション:
      • 情報の更新(リライト): 最新の情報に書き換え、より網羅的な内容にすることで、価値を再生させます。
      • 統合(コンソリデーション): 似たような内容の複数のページを、1つの質の高い、網羅的なページに統合します。これにより、評価が分散していたSEOパワーを一つに集約できます。統合後は、古いURLから新しい統合ページへ、必ず301リダイレクトを設定します。
  3. 削除 (Delete):
    • 特徴:
      • 長期間、ほとんどアクセスがない。
      • 情報が完全に時代遅れで、もはや価値がない(例:終了したサービス、過去の短期的なイベント告知)。
      • 重複コンテンツ。
    • アクション:
      • 思い切って「削除」します。質の低いページを削除することは、サイト全体の品質評価を高める上で、ポジティブな効果があります。削除したページのURLは、関連性の高い別のページへ301リダイレクトを設定するか、あるいは「410 Gone(削除済み)」ステータスを返す設定を行い、検索エンジンにページの消滅を明確に伝えます。
  4. 新規作成 (Create):
    • 特徴: 現状のサイトには存在しないが、課題分析やキーワード調査の結果、新たに追加すべきだと判断されたコンテンツ
    • アクション: リニューアル後のサイトの、新しい目玉コンテンツとして、「新規作成」します。

この地道な棚卸しと再編成のプロセスは、リニューアルプロジェクトの中でも、特に時間と労力がかかる作業です。しかし、このプロセスを丁寧に行うことではじめて、新しいデザインという器に、本当に価値のある、磨き抜かれた魂(コンテンツ)を注ぎ込むことができるのです。

※関連記事:BtoB企業向けホームページ制作で成果を出すためのポイント

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7. 失敗しないためのホームページ制作会社の選び方

ホームページリニューアルという、複雑で、ビジネスの未来を左右する重要なプロジェクトにおいて、その成否の8割は、パートナーとなる「制作会社」をいかに選ぶかにかかっていると言っても過言ではありません。

制作会社は、単にデザインやコーディングを行う「業者」ではなく、あなたの会社のビジネス課題を深く理解し、その解決に向けて共に汗を流す、「戦略的パートナー」です。しかし、世の中に数多ある制作会社の中から、真に信頼できる一社を見つけ出すのは、容易なことではありません。ここでは、後悔のないパートナー選びを実現するための、具体的な比較検討のポイントを解説します。

選び始める前に:自社の「目的」と「RFP」を準備する

制作会社にコンタクトを取り始める前に、必ずやっておくべきことがあります。それは、リニューアルの「目的(KGI/KPI)」を明確にし、「RFP(提案依頼書)」として文書化しておくことです。

この準備を怠り、目的が曖昧なまま複数の会社の話を聞くと、各社の営業トークに振り回され、冷静な比較ができなくなってしまいます。RFPを用意することで、各社は同じ土俵(前提条件)で、あなたの会社のためだけの提案を作成してくれるようになり、その提案の質を公平に比較することが可能になります。

パートナー候補を見極めるための5つの比較軸

候補となる制作会社を3〜5社程度に絞り込んだら、以下の5つの軸で、各社を比較検討していきます。

  1. 実績 (Portfolio) – 「何を」作ってきたか
  • 見るべきポイント:
    • 自社との共通点: 自社と同じ業界や、同じ事業規模の企業のリニューアル実績があるか。業界特有の課題や、限られたリソースの中での成功ノウハウを持っている可能性があります。
    • 課題解決のプロセス: 単に「綺麗なサイトを作りました」という見た目の紹介だけでなく、「どのような課題に対し、どのような戦略で、何を解決したのか」という、Before→Action→Afterのストーリーが語られているか。ビジネスの成果にコミットする姿勢があるかを見極めます。
    • デザインの多様性: デザインのテイストが、特定のスタイルに偏っておらず、多様なブランドイメージに対応できる、引き出しの多さがあるか。
  1. 専門性 (Specialty) – 「何が」得意か
  • 見るべきポイント:
    • 得意な手法: その会社の強みは、デザインなのか、SEOなのか、広告運用なのか、あるいは戦略立案なのか。自社がリニューアルで最も重視する目的と、その会社の得意分野が合致しているかを確認します。
    • 提案の具体性: 提案書の内容が、一般的な機能の羅列ではなく、自社の課題分析に基づいた、具体的で、実行可能な施策にまで落とし込まれているか。「なぜ、その施策が必要なのか」という、戦略的な「根拠」が明確に示されている提案は、信頼性が高いです。
  1. 体制 (Team) – 「誰が」作るのか
  • 見るべきポイント:
    • 担当者のスキルと相性: プロジェクトの成否は、担当となるWebディレクターの能力に大きく左右されます。こちらのビジネスへの理解度、コミュニケーションの円滑さ、そして何よりも「この人と一緒に、良いものを作っていきたい」と思えるかという、人間的な相性は非常に重要です。可能であれば、契約前に実際の担当者と面談させてもらいましょう。
    • プロジェクトの体制: どのようなスキルを持つメンバー(デザイナー、エンジニアなど)が、どのような体制で関わるのか。自社との窓口は誰になるのか。報告・連絡・相談のフローは明確か。
  1. 費用 (Cost) – 「いくら」かかるのか
  • 見るべきポイント:
    • 見積もりの透明性: 見積もりが「一式」といった、どんぶり勘定になっていないか。各工程(企画、デザイン、コーディングなど)に、どれくらいの費用がかかるのか、詳細な内訳が明記されているか。
    • 価格の妥当性: 単に金額の安さだけで選ぶのは危険です。「安かろう、悪かろう」のリスクが常に伴います。提案内容の質や、担当者のスキルといった、提供される「価値」と、価格のバランスが取れているかを、冷静に判断します。
    • 公開後の費用: サイト公開後の保守・運用費用が、いくらで、どのようなサービス内容なのかも、必ず事前に確認しておきましょう。
  1. サポート (Support) – 公開後も伴走してくれるか
  • 見るべきポイント:
    • 保守・運用の体制: サイト公開後の、セキュリティアップデート、サーバー管理、軽微な修正といった、保守・運用サポートの体制は整っているか。
    • 改善提案の姿勢: 作って終わりではなく、公開後のアクセスデータを分析し、継続的なサイト改善を提案してくれるような、長期的な視点を持ったパートナーか。

これらの比較軸を基に、各社の特徴を一覧表にまとめるなどして、総合的に評価します。最終的には、自社のビジネスの成功を、我が事のように考え、情熱を持って伴走してくれると、心から信頼できるパートナーを選び抜くこと。それが、失敗しない制作会社選びの、唯一の答えです。

8. リニューアルにかかる費用と期間の目安

ホームページリニューアルは、企業の未来への重要な投資です。その投資規模を正確に把握するために、「一体、いくらの費用が、どのくらいの期間かかるのか」を、事前に理解しておくことは、プロジェクト計画と社内での合意形成を進める上で、極めて重要です。

ただし、ホームページリニューアルの費用と期間は、まさに「ピンからキリまで」です。それは、リニューアルの目的、サイトの規模(ページ数)、デザインの作り込み度合い、そして導入する機能の複雑さによって、大きく変動するからです。ここでは、一般的な目安と考え方を解説します。

リニューアルにかかる費用の目安

ホームページリニューアルの費用は、主に「企画・ディレクション費」「デザイン費」「コーディング・開発費」「コンテンツ制作費」といった、専門家の人件費(工数)の積み重ねで構成されます。

  • パターン1:小規模なコーポレートサイトのリニューアル(5〜15ページ程度)
    • 費用の目安: 50万円 〜 150万円
    • 主な内容:
      • 既存のテンプレートをベースにした、デザインの刷新。
      • スマートフォン対応(レスポンシブデザイン)。
      • WordPressなどの基本的なCMSの導入。
      • 既存コンテンツの移行と、基本的なSEO設定。
    • 想定される企業: 個人事業主、小規模な店舗や企業で、まずはデザインを現代的にし、自社で更新できる仕組みを整えたい場合。
  • パターン2:中規模サイトの戦略的リニューアル(15〜50ページ程度)
    • 費用の目安: 150万円 〜 500万円
    • 主な内容:
      • 3C分析やペルソナ設定といった、戦略立案から参画。
      • 完全オリジナルのオーダーメイドデザイン。
      • ブログやお知らせ機能に加え、より高度なCMSカスタマイズ。
      • SEOを意識した、コンテンツの棚卸しと、一部コンテンツの新規作成(ライティング、撮影など)。
    • 想定される企業: Webからの集客やブランディングを本格的に強化したい、成長期の中小企業。
  • パターン3:大規模サイトや、特殊な機能を持つサイトのリニューアル
    • 費用の目安: 500万円以上〜
    • 主な内容:
      • 数百ページに及ぶ大規模サイト。
      • EC機能、会員機能、外部システムとのAPI連携といった、独自のシステム開発。
      • 多言語対応。
      • 動画コンテンツの本格的な制作。
    • 想定される企業: 大手企業、プラットフォーム事業、大規模なECサイトなど。

注意点:

上記の費用は、あくまで一般的な目安です。制作会社の実績や体制によっても、金額は大きく変動します。また、サイト公開後には、サーバー・ドメイン費用(年間1〜3万円程度)と、保守・運用費用(月額1〜5万円程度)が、別途継続的にかかることを忘れてはいけません。

リニューアルにかかる期間の目安

費用と同様に、期間もプロジェクトの規模と複雑さに比例します。制作会社に依頼した場合、品質を担保するためには、一定のプロセスと時間が必要です。

  • 小規模サイトのリニューアル: 2ヶ月 〜 4ヶ月
  • 中規模サイトのリニューアル: 4ヶ月 〜 8ヶ月
  • 大規模サイトのリニューアル: 8ヶ月以上〜

【一般的な制作プロセスの期間内訳】

  1. 企画・要件定義・戦略立案 (約1ヶ月〜1.5ヶ月)
    • ヒアリング、現状分析、目的設定、サイトマップ作成など、プロジェクトの土台を作る最も重要なフェーズ。
  2. デザイン制作 (約1ヶ月〜2ヶ月)
    • ワイヤーフレーム(設計図)作成、デザインコンセプト決定、各ページのデザイン制作。
  3. コーディング・開発 (約1ヶ月〜3ヶ月)
    • デザインをブラウザで表示させるための実装、CMSの構築、システム開発。
  4. コンテンツ制作・移行 (制作期間と並行)
    • 既存コンテンツの移行、新規コンテンツの作成、写真撮影など。
  5. テスト・公開準備 (約2週間〜1ヶ月)
    • 動作確認、表示チェック、最終修正、サーバーへのアップロード。

期間を左右する最大の要因

このスケジュールが計画通りに進むかどうかを左右する最大の要因は、実は制作会社側のスキル以上に、依頼主側(あなたの会社)の「確認・フィードバックのスピード」と「意思決定の速さ」です。

制作会社からの提出物(デザイン案など)に対するフィードバックが遅れたり、社内での意見がまとまらずに仕様変更が頻発したりすると、その分だけ、プロジェクトの期間はどんどん延びていってしまいます。

リニューアルは、制作会社との共同プロジェクトです。費用と期間の目安を正しく理解し、自社もプロジェクトの一員として、迅速で的確なコミュニケーションを心掛けること。それが、計画通りの予算とスケジュールで、プロジェクトを成功に導くための鍵となります。

9. 公開前の最終チェックリスト

数ヶ月にわたるリニューアルプロジェクトも、いよいよ大詰め。新しいホームページの公開が目前に迫ってきました。この公開直前の最終チェックは、プロジェクトの成否を分ける、極めて重要な工程です。ここで見落とした小さなミスが、公開後に大きなトラブルや、機会損失に繋がる可能性があります。

逸る気持ちを抑え、関係者全員で、以下のチェックリストに基づいて、客観的かつ徹底的な最終確認を行いましょう。

ユーザー視点でのチェック

まず、実際にサイトを訪れるユーザーの視点に立って、使いやすさや情報の正確性を確認します。

  • □ 誤字・脱字はないか?:
    • 全てのページのテキストを、声に出して読み上げるくらいの気持ちで、隅々までチェックします。特に、会社名、人名、電話番号、料金といった、間違いが許されない情報は、複数人でダブルチェックします。
  • □ 全てのリンクは正しく機能するか?:
    • サイト内の全ての内部リンク、外部リンクをクリックし、リンク切れ(404エラー)になっていないか、意図したページに正しく遷移するかを確認します。「Screaming Frog」などのツールを使うと、効率的にチェックできます。
  • □ 画像は正しく表示されているか?:
    • 全ての画像が、劣化したり、崩れたりすることなく、意図した通りに表示されているかを確認します。
  • □ フォームは正常に動作するか?:
    • 問い合わせフォームや、資料請求フォームに、実際にテストデータを入力し、送信できるか、自動返信メールが届くか、そして管理者側に通知メールが届くか、という一連の流れを必ずテストします。
  • □ 各種ブラウザ・デバイスでの表示確認:
    • PC: Chrome, Edge, Safari (Mac)
    • スマートフォン: iPhone (Safari), Android (Chrome)
    • タブレット: iPad (Safari)
    • これらの主要な環境で、レイアウト崩れや、機能的な不具合がないかを確認します。

SEO視点での技術的なチェック

リニューアルによって、SEO評価を落とさないための、技術的な最終確認です。

  • □ 301リダイレクトは正しく設定されているか?:
    • 最重要項目です。事前に作成した新旧URL対応表に基づき、古いURLから新しいURLへ、301リダイレクトが1ページずつ正しく設定されているかを、ランダムに抜き打ちチェックします。
  • titleタグ、meta descriptionは設定されているか?:
    • 全てのページに、ユニークで、内容を的確に表すtitleタグとmeta descriptionが設定されているかを確認します。
  • □ Googleアナリティクス等の計測タグは設置されているか?:
    • Googleアナリティクス4、Googleタグマネージャー、その他広告用のトラッキングタグなどが、全てのページに正しく設置されているか、ツールのリアルタイムレポートなどで確認します。これを忘れると、公開後のデータが一切取れなくなります。
  • □ XMLサイトマップは生成・送信準備ができているか?:
    • 新しいサイトの構造に基づいた、XMLサイトマップが生成されているか。公開後、速やかにGoogle Search Consoleに送信できるように準備しておきます。
  • noindexタグは外されているか?:
    • 開発段階で、検索エンジンにインデックスされないように設定していたnoindexタグが、公開用のページから全て外されているかを、必ず確認します。これが残っていると、いつまで経っても検索結果に表示されません。

公開作業と公開後の最終確認

  • □ 公開日時の決定と関係者への周知:
    • 万が一のトラブルに備え、サイトの公開は、アクセスが比較的少ない、平日の午前中などに行うのが一般的です。公開日時を、関係者全員に事前に周知しておきます。
  • □ 公開後の最終動作確認:
    • サイトが公開されたら、上記のチェックリストの項目を、本番環境でもう一度、総ざらいで確認します。特に、フォームの動作確認は必須です。
  • □ Google Search Consoleでの作業:
    • 新しいXMLサイトマップを送信します。
    • Fetch as Google(URL検査ツール)を使い、トップページなど主要なページのクロールをGoogleにリクエストします。
    • ドメインを変更した場合は、「アドレス変更ツール」で移転を通知します。

この地道で、徹底的な最終チェックこそが、リニューアルという晴れの門出を、安心して迎えるための、最後の、そして最も重要な「お守り」となるのです。

※関連記事:企業向けホームページ制作で押さえるべきポイントとは?

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10. リニューアル後の効果測定と改善

ホームページリニューアルのプロジェクトは、サイトが公開された瞬間に「完了」するのではありません。むしろ、そこが本当の「スタート」です。リニューアルの計画段階で設定した目的(KGI/KPI)が、実際に達成されているのか。現状分析で見出した課題は、本当に解決されたのか。その成果を、データに基づいて客観的に評価し、新たに見えてきた課題に対して、継続的な改善(PDCAサイクル)を回していく。この公開後の運用プロセスこそが、リニューアルの投資対効果(ROI)を最大化し、ホームページを真の「成果を生む資産」へと育て上げるための、最も重要なフェーズです。

効果測定の基本:リニューアル前後の比較

リニューアルの成果を評価する基本は、「リニューアル前」と「リニューアル後」の同期間のデータを比較することです。Googleアナリティクス4(GA4)などのツールを使い、以下の指標の変化を定点観測します。

  • 比較する期間:
    • 公開直後は、ご祝儀的なアクセス増や、検索エンジンの再評価による順位の変動などが起こりやすいため、データが安定するまで、最低でも1ヶ月は様子を見ます。
    • 公開後1ヶ月間のデータと、公開前1ヶ月間のデータを比較するのが、最初の効果測定の基本です。季節変動の影響を排除するため、前年同月との比較(Year over Year)も、非常に重要な視点です。
  • 比較する主要な指標 (KPI):
    • セッション数(特に自然検索経由): リニューアル後のSEOがうまくいっているか。
    • エンゲージメント率: ユーザーがサイトに興味を持ってくれているか。(リニューアル前は「直帰率」の低下で評価)
    • 平均エンゲージメント時間: ユーザーがコンテンツをしっかり読み込んでくれているか。(リニューアル前は「平均滞在時間」)
    • コンバージョン(CV)数: 問い合わせや売上といった、最終的な成果は増えたか。
    • コンバージョン率(CVR): サイトの「接客力」は向上したか。

これらの指標が、リニューアルの目的(KGI/KPI)として設定した目標値に、どの程度近づいているかを確認します。

データから新たな課題を発見し、改善に繋げる

効果測定は、単に成果を確認するだけでなく、新たなる「改善の種」を見つけるためのプロセスでもあります。

  • 想定外の動きを発見する:
    • 「全体のコンバージョン率は上がったが、スマートフォンからのコンバージョン率は、なぜか下がっている」
    • 「力を入れて作った〇〇のページよりも、あまり期待していなかった△△のページからの問い合わせが多い」
    • データは、私たちが立てた仮説通りには動かない、予期せぬユーザーのリアルな反応を教えてくれます。
  • なぜ?を問い、仮説を立てる:
    • これらのデータ上の「変化」に対して、「なぜ、そうなったのか?」という問いを立て、その原因についての仮説を構築します。
    • 「スマホのCVRが下がったのは、リニューアルでフォームのボタンが押しにくくなったからではないか?」
    • 「△△のページが人気なのは、競合にはない、独自の切り口がユーザーに刺さっているからではないか?」
  • 改善施策(A/Bテストなど)を実行する:
    • 立てた仮説を検証するために、具体的な改善施策を実行します。
    • 「フォームのボタンのデザインを、元のデザインに近いAパターンと、新しいBパターンで、A/Bテストを実施し、どちらのCVRが高いかを検証しよう」
    • 「人気の△△のページを、さらに情報を拡充し、サイトのトップページから目立つようにリンクを設置しよう」

リニューアルを「点」ではなく「線」で捉える

成果を出し続けるホームページ運用とは、この「分析 → 仮説 → 実行 → 検証」という、地道なPDCAサイクルを、粘り強く、そして継続的に回し続けることに他なりません。

ホームページリニューアルは、一度きりの「大手術」ではありません。それは、定期的な「健康診断(効果測定)」と、日々の「健康管理(改善活動)」を通じて、サイトを常に最高の状態に保ち続ける、終わりなき旅の新たな出発点なのです。

この継続的な改善のプロセスを、組織の文化として根付かせることができた時、あなたのホームページは、時代の変化にしなやかに適応し、永続的にビジネスの成長を支える、最強のパートナーとなるでしょう。

まとめ

ホームページリニューアルは、多くの企業にとって、数年に一度の、一大プロジェクトです。その道のりは、現状サイトが発する「SOS」のサインを正しく読み解くことから始まり、データに基づいた冷静な課題分析、そしてビジネスの未来を見据えた明確な目的設定へと続きます。

SEO評価という、これまで築き上げてきた貴重な資産を失わないための、慎重で緻密な移行計画。ブランドの魂を宿し、ユーザーの心を動かす、戦略的なデザイン。そして、サイトの価値の根幹をなす、コンテンツの徹底的な棚卸しと再編成。これらの複雑なプロセスを、信頼できるパートナー(制作会社)と共に、二人三脚で乗り越えていく必要があります。

公開前の最終チェックという、最後の難関を突破し、無事に新しいホームページが船出した後も、その航海は終わりません。むしろ、そこからが、データという羅針盤を手に、顧客や市場という大海原と対話し、絶えず改善の舵を切り続ける、本当の「運用」の旅の始まりです。

本稿で示した10のステップは、その長く、しかしエキサイティングな旅路で、あなたが道に迷わないための、実践的なマニュアルです。このマニュアルが、あなたのホームページリニューアルという、未来への大きな一歩を成功に導き、ビジネスの輝かしい新たな章を開くための一助となることを、心から願っています。

 

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執筆者

株式会社TROBZ 代表取締役

愛知県岡崎市出身。大学卒業後、タイ・バンコクに渡り日本人学校で3年間従事。帰国後はデジタルマーケティングのベンチャー企業に参画し、新規部署の立ち上げや事業開発に携わる。2024年に株式会社TROBZを創業しLocina MEOやフォーカスSEOをリリース。SEO検定1級保有

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