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2025/9/26

ホームページ制作後の「運用」が重要!集客し続けるサイトの育て方

ホームページ制作後の「運用」が重要!集客し続けるサイトの育て方

多くの企業が時間と費用を投じて、念願のホームページを公開します。しかし、その公開の瞬間を「ゴール」だと考えてしまうことが、Webマーケティングにおける最も一般的で、そして最も大きな失敗です。本当の戦いは、ホームページが公開されたその日から始まります。作って終わり、のホームページは、インターネットという広大な砂漠に建てられた、誰も訪れない一軒家と同じです。重要なのは、その家(ホームページ)に人々を招き入れ、快適に過ごしてもらい、そして何度も訪れてもらうための、公開後の継続的な「運用」活動に他なりません。本稿では、なぜ「作って終わり」ではダメなのかという根本的な理由から、アクセス解析、コンテンツ更新、サイト改善(CRO)に至るまで、あなたのホームページを単なる情報の置き場から、集客し、成果を生み出し続ける「生きた資産」へと育てるための、具体的あな方法論と実践的なノウハウを、体系的に解説します。

1. なぜサイトは作って終わりではダメなのか

ホームページが公開された瞬間、多くの経営者や担当者は大きな達成感に包まれます。しかし、その安堵感こそが、Webサイトが成果を生まない最大の原因となります。結論から言えば、公開されたばかりのホームページは、まだスタートラインに立っただけの、生まれたての赤ちゃんと同じです。栄養を与え、世の中の変化に対応させ、適切に成長させていく「運用」というプロセスを経なければ、その価値はゼロに等しいどころか、かえってビジネスの足を引っ張る「負債」にさえなりかねません。

インターネットという生態系における「新陳代謝」

現実の世界で、一度建てたら何十年も手入れのいらない建物が存在しないように、デジタルの世界もまた、常に変化し続ける「生態系」です。この生態系の中で、ホームページが「作って終わり」ではダメな理由は、大きく分けて3つあります。

  1. 検索エンジン(Google)は「生きているサイト」を好む:
    • Googleの使命は、ユーザーに常に最新で、最も有益な情報を提供することです。そのため、何年も情報が更新されず、放置されているサイト(デッドサイト)よりも、定期的に新しい情報が追加され、活発に動いている「生きているサイト(フレッシュなサイト)」を高く評価する傾向があります。コンテンツの更新は、Googleに対して「私たちのサイトは、今もアクティブで、ユーザーに価値を提供し続けています」という、極めて重要なシグナルを送る行為なのです。
  2. ユーザーのニーズは常に変化する:
    • 顧客が求める情報、関心を持つトピックは、社会のトレンドや技術の進化と共に、常に変化しています。1年前にユーザーに響いたメッセージが、今日も同じように響くとは限りません。公開後のアクセスデータや、ユーザーからの声を分析し、その変化の兆しを捉えてコンテンツやデザインを柔軟にアップデートしていく。この繰り返しが、ユーザーから飽きられず、選ばれ続けるサイトの条件です。
  3. 競合は常に進化している:
    • あなたがホームページの運用を休んでいる間にも、競合他社は新しいコンテンツを追加し、サイトを改善し、虎視眈々とあなたの顧客を奪おうとしています。Webマーケティングは、相対的な競争です。現状維持は、実質的な後退を意味します。競合の動きを常に監視し、それ以上に価値のある情報と体験を提供し続けなければ、あっという間に市場での優位性は失われてしまいます。

「放置サイト」がもたらす3つの致命的なリスク

ホームページの運用を怠り、放置してしまうことは、単に「機会損失」に留まらず、具体的なビジネスリスクを引き起こします。

  • リスク1:信用の失墜:
    • サイトを訪れた見込み客が目にした情報が、数年前の古いニュースや、終了したキャンペーン情報だったらどう思うでしょうか。「この会社は、ちゃんと事業を続けているのだろうか」「情報管理がずさんな会社だ」と、企業そのものへの不信感に繋がり、貴重なビジネスチャンスを逃すことになります。
  • リスク2:セキュリティの脆弱化:
    • 特にWordPressなどのCMSで構築されたサイトは、プログラムの脆弱性を狙ったサイバー攻撃の標的となりやすいです。CMS本体やプラグインのセキュリティアップデートを怠ることは、サイトの改ざん、個人情報漏洩といった、取り返しのつかない重大なセキュリティ事故を引き起こす原因となります。
  • リスク3:資産価値の喪失:
    • 本来、ホームページは、コンテンツやデータを蓄積していくことで、その価値が時間と共に増していく「資産」となるべきものです。しかし、運用を放棄されたサイトは、その価値を失い、制作にかかった初期費用が、全くリターンのない「サンクコスト(埋没費用)」と化してしまいます。

ホームページ制作は、ゴールではなく、顧客との長期的な関係を築くための「舞台」を整える行為です。その舞台で、どのような演目を、どのように上演し続けるか。その「運用」という脚本と演出こそが、ホームページの真の価値を決定づけるのです。

2. アクセス解析の基本:Googleアナリティクス導入

ホームページを「育てる」ための第一歩は、その「健康状態」を客観的なデータで把握することから始まります。あなたのサイトに、「誰が」「どこから来て」「どのページを」「どのように見て」、そして「最終的にどうなったのか」。このユーザーの行動を詳細に可視化するための、最も強力で、かつ無料で利用できるツールが「Googleアナリティクス」です。

Googleアナリティクスの導入は、もはやWebサイト運用の「選択肢」ではなく「必須科目」です。これなくして、データに基づいたサイト改善はあり得ません。

Googleアナリティクス4 (GA4)とは?

Googleアナリティクスは、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールです。2023年に、従来のバージョン(ユニバーサルアナリティクス、UA)から、次世代バージョンである「Googleアナリティクス4(GA4)」へと完全に移行しました。

GA4は、Webサイトだけでなく、スマートフォンアプリの利用状況も統合して分析できる、より現代のユーザー行動に即した設計になっています。UAとは計測の概念やインターフェースが大きく異なるため、これから始める方は、GA4の考え方に慣れていく必要があります。

導入はサイト公開と同時に!

Googleアナリティクスは、計測タグをサイトに設置した瞬間からしか、データを収集できません。過去に遡ってデータを取得することは不可能です。そのため、導入はホームページの公開と同時に、必ず行うようにしましょう。制作会社に依頼する場合は、GA4の導入と初期設定が、契約内容に含まれているかを必ず確認してください。

GA4導入の3ステップ

ステップ1:Googleアカウントの作成

  • Googleアナリティクスを利用するには、Googleアカウント(Gmailアドレスなど)が必要です。ビジネス用途であれば、個人アカウントではなく、会社の共有アカウントなどを作成・利用することをお勧めします。

ステップ2:GA4プロパティの作成

  1. Googleアナリティクスの公式サイトにアクセスし、Googleアカウントでログインします。
  2. 「測定を開始」ボタンをクリックし、アカウント名(例:会社名)を設定します。
  3. 「プロパティの作成」画面で、プロパティ名(例:自社サイト名)、レポートのタイムゾーン、通貨を設定します。
  4. 「ビジネスの説明」で、業種やビジネスの規模を選択します。
  5. 「ビジネス目標」で、自社の目的に合ったものを選択します。(例:「見込み客の発掘」)
  6. 「データ収集を開始する」画面で、「ウェブ」を選択し、自社サイトのURLとストリーム名(サイト名など)を入力して、「ストリームを作成」をクリックします。

ステップ3:計測タグの設置

ストリームを作成すると、「測定ID(G-XXXXXXX)」と、計測のためのコード(計測タグ)が表示されます。このタグを、自社サイトの全てのページのHTMLソースコード内に設置する必要があります。

  • 設置方法:
    • Webサイトに直接貼り付ける: <head>タグの直後に、表示された計測タグをコピー&ペーストします。HTMLの知識が必要です。
    • Googleタグマネージャー(GTM)を利用する(推奨):
      • GTMとは?: Googleアナ基本的なGA4の計測タグだけでなく、広告のコンバージョントラッキングタグや、特定のボタンがクリックされたことを計測するイベントタグなど、様々なタグを、HTMLを直接編集することなく、一元管理できる無料のツールです。
      • なぜ推奨か?: サイト運用を続けていくと、必ず新しい計測タグを追加したくなります。その都度、HTMLを編集するのは手間がかかり、ミスも起こりやすいです。GTMを最初から導入しておけば、将来的な拡張性が格段に高まります。導入には少し学習が必要ですが、長期的に見れば、その価値は絶大です。
    • WordPressプラグインを利用する:
      • WordPressサイトの場合、「GA Google Analytics」や「Site Kit by Google」といったプラグインを使えば、測定IDを入力するだけで簡単にタグを設置できます。

初期設定で必ずやっておくべきこと

タグを設置し、データが計測され始めたら、最低限以下の初期設定を行っておきましょう。

  • 内部トラフィックの除外:
    • 自社スタッフがサイトにアクセスしたデータが計測結果に含まれていると、正確なユーザー行動を分析できません。自社のIPアドレスを登録し、内部からのアクセスを計測対象から除外する設定を必ず行います。
  • コンバージョン設定:
    • サイトのゴールである「コンバージョン(CV)」(例:「問い合わせ完了ページの表示」)を、イベントとして設定します。これにより、どのくらいのユーザーが最終的な成果に至ったかを計測できるようになります。

Googleアナリティクスの導入は、あなたのサイトを、感覚ではなく「データ」という客観的な鏡に映し出すための第一歩です。この鏡に映し出された数値を正しく読み解くことが、集客し続けるサイトへの道を照らしてくれます。

※関連記事:GA4(Google Analytics 4)の基本的な使い方|Webマーケティング担当者必見

 

3. 見るべきはPV数だけじゃない!重要な指標とは

Googleアナリティクスを導入すると、日々様々なデータが蓄積されていきます。しかし、これらのデータを前にして、多くの初心者が「どの数字を見ればいいのか分からない」「PV(ページビュー)数が増えて喜んでいたけど、売上には繋がっていない」といった壁にぶつかります。

Webサイト運用の目的は、単にアクセス数を増やすことではありません。ビジネスの成果に貢献することです。そのためには、PV数のような「量」の指標だけでなく、サイトの「質」や「成果」を示す、より本質的な指標に目を向ける必要があります。ここでは、GA4で必ずチェックすべき、重要な指標とその見方を解説します。

「量」よりも「質」を問う時代へ:GA4の思想

従来のGoogleアナリティクス(UA)では、「セッション」や「PV数」「直帰率」といった、ユーザーの訪問回数や閲覧ページ数を中心とした指標が重視されてきました。

しかし、GA4では、「ユーザー」を軸とし、そのユーザーがサイト内でどれだけ価値のある行動(エンゲージメント)を取ったかを重視する思想にシフトしています。この変化を理解することが、GA4のデータを正しく読み解く鍵となります。

ビジネスの成果を測る最重要指標

  1. コンバージョン(CV)数:
    • 意味: サイト上で設定した「成果」(例:問い合わせ完了、資料ダウンロード、商品購入)が、達成された回数。
    • なぜ重要か: Webサイトがビジネスの目標にどれだけ貢献したかを直接的に示す、最も重要な指標です。全ての施策は、このCV数を増やすために行われるべきです。PV数がどれだけ多くても、CVがゼロであれば、そのサイトはビジネス的には機能していないことになります。
    • 見方: 月次のCV数の推移を追いかけ、目標(KGI)に対して順調に進捗しているかを確認します。また、「どの流入チャネルから(例:自然検索、広告)」、「どのページから」CVが発生しているかを分析することで、効果的な施策を見つけ出します。
  2. コンバージョン率(CVR):
    • 意味: サイトを訪れたユーザー(またはセッション)のうち、どれくらいの割合がコンバージョンに至ったかを示す指標。(計算式:CVR = CV数 ÷ ユーザー数 or セッション数
    • なぜ重要か: サイトの「接客力」や「効率」を示す指標です。例えば、1,000人のユーザーが訪れて10件のCVがあればCVRは1%です。サイトを改善してCVRが2%になれば、同じ1,000人のアクセスでもCVは20件に倍増します。広告などでアクセス数を増やす前に、まずサイトのCVRを高めることが、費用対効果の改善に繋がります。
    • 見方: ページごと、流入チャネルごと、デバイス(PC/スマホ)ごとにCVRを比較し、どこに改善のボトルネックがあるかを探ります。

サイトの「質」とユーザーの「満足度」を測る指標

  1. エンゲージメント率:
    • 意味: GA4で新たに導入された、ユーザーがサイトにどれだけ関心を持ったかを示す指標。「エンゲージメントのあったセッション」の割合を示します。
    • 「エンゲージメントのあったセッション」の定義:
      • 10秒を超えて継続したセッション
      • コンバージョンイベントが発生したセッション
      • 2回以上のページビューがあったセッション
      • (上記のいずれかを満たした場合)
    • なぜ重要か: 従来の「直帰率」に代わる、より実態に即したユーザー満足度の指標です。エンゲージメント率が低いページは、ユーザーが訪れたものの、期待した情報がなかった、あるいは分かりにくかったために、すぐに関心を失ってしまった可能性を示唆します。
    • 見方: ランディングページ(ユーザーが最初に訪れたページ)ごとのエンゲージ- 平均エンゲージメント時間:
    • 意味: ユーザーが、Webサイトのページを実際にアクティブに表示していた時間の平均。UAの「平均滞在時間」とは異なり、ブラウザのタブがバックグラウンドにある時間は計測されないため、より正確にユーザーがコンテンツに接触していた時間を示します。
    • なぜ重要か: 平均エンゲージメント時間が長いページは、ユーザーがコンテンツをじっくりと読み込み、関心を持ってくれている証拠です。逆に、極端に短い場合は、内容が期待外れだったり、読みにくかったりする可能性があります。
    • 見方: 特に、力を入れて作成したブログ記事などのコンテンツページで、この指標を注視します。熟読してほしいページの平均エンゲージメント時間が短い場合は、導入文の見直しや、図解の追加といった改善策を検討します。

これらの指標を、単独で見るのではなく、組み合わせて分析することが重要です。例えば、「自然検索からの流入は多い(量)が、エンゲージメント率が低く、CVに繋がっていない(質・成果)」といった課題を発見し、「もしかしたら、検索意図とコンテンツの内容がズレているのかもしれない」という仮説を立て、次なる改善アクションに繋げていく。このデータに基づいた思考プロセスこそが、サイトを育てるための羅針盤となるのです。

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4. コンテンツ更新の重要性とスケジューリング

ホームページを公開した後、多くの企業が直面する課題が「何を、いつ、どのように更新していけばいいのか分からない」ということです。結果として、サイトは作られたままの状態で放置され、徐々にその価値を失っていきます。

集客し続ける「生きたサイト」を育てるためには、戦略に基づいた継続的なコンテンツ更新が不可欠です。コンテンツの更新は、SEO評価を高め、ユーザーに再訪を促し、そしてビジネスの専門性を示すための、最も基本的で、最も重要な運用活動です。

なぜコンテンツの更新が重要なのか

  1. SEO評価の向上(フレッシュネス要因):
    • Googleは、ユーザーに常に最新で正確な情報を提供することを目的としています。そのため、情報の「鮮度(フレッシュネス)」をランキング要因の一つとして考慮しています。
    • 定期的に新しいコンテンツが追加されたり、既存のコンテンツが最新情報に書き換えられたりするサイトは、Googleから「活発に運営されており、情報の信頼性が高い」と評価されやすくなります。特に、トレンド性の高いトピックや、法改正などで情報が変化する分野では、このフレッシュネスが極めて重要になります。
  2. ユーザーエンゲージメントの維持・向上:
    • いつ訪れても同じ情報しか掲載されていないサイトに、ユーザーが何度も再訪してくれることはありません。新しいお役立ち情報、企業の最新動向、イベントの告知など、訪れるたびに新しい発見があるサイトは、ユーザーの再訪を促し、ブックマークやSNSでのフォローに繋がります。この継続的な接触が、顧客との関係性を深め、将来のファン(ロイヤルカスタマー)を育成します。
  3. 専門家としての権威性構築:
    • 特定のテーマに関する質の高いコンテンツ(ブログ記事など)を継続的に発信し、蓄積していくことは、その分野における専門家(第一人者)としての地位を確立するための、最も効果的な方法です。蓄積されたコンテンツ群は、あなたのビジネスが持つ知識と経験の証明となり、競合他社には真似のできない、強力な参入障壁となります。

何を更新するのか?コンテンツの種類

  • 新規コンテンツの追加:
    • ブログ記事・コラム: ユーザーの悩みや疑問に答える「お役立ち情報」を発信する、コンテンツマーケティングの基本。SEOによる新規流入の主な源泉となります。
    • 導入事例・お客様の声: サービスを利用した顧客の成功体験を紹介。信頼性と説得力を高める、強力なコンバージョン促進コンテンツです。
    • ニュース・お知らせ: 新商品の発売、メディア掲載、イベント告知など、企業の最新動向を発信。
  • 既存コンテンツの修正・改善(リライト):
    • 新しい記事を追加するだけでなく、過去に公開した記事を、最新の情報にアップデートしたり、内容をより充実させたりする「リライト」も、非常に重要な更新活動です。
    • 情報が古くなった記事を修正する、アクセス解析の結果、パフォーマンスが低い記事の内容を見直す、といった改善を繰り返すことで、サイト全体の品質を維持・向上させることができます。

コンテンツ更新を継続するためのスケジューリング

コンテンツ更新が途絶えてしまう最大の原因は、「場当たり的」な運用にあります。「時間がある時に書こう」と思っていても、日々の業務に追われ、結局何もできないまま時間だけが過ぎていきます。

継続的な更新を実現するためには、事前に計画を立て、スケジュールに落とし込むことが不可欠です。

  1. コンテンツカレンダーの作成
  • コンテンツカレンダーとは?:
    1. 「いつ」「誰が」「どのようなテーマのコンテンツを」「どのチャネルで」公開するのかを、一覧で管理するための計画表です。ExcelやGoogleスプレッドシート、Trelloなどのツールで作成します。
  • 作成のステップ:
    1. 更新頻度と担当者を決める: まず、「ブログは週に1本、ニュースは随時、担当は〇〇さん」のように、無理のない範囲で、現実的な更新頻度と責任者を決定します。
    2. テーマのブレインストーミング: ターゲット顧客(ペルソナ)が抱えるであろう悩みや、検索するであろうキーワードを基に、記事のテーマ案を数十個単位で洗い出します。
    3. スケジュールへのマッピング: 洗い出したテーマ案を、カレンダーに割り振っていきます。季節性のあるテーマ(例:「年末調整」「夏休みの自由研究」)は、時期を合わせて計画します。
    4. 進捗管理: 「企画中」「執筆中」「公開済み」といった、各コンテンツのステータスを管理します。
  1. コンテンツ制作のワークフローを確立する
  • 記事作成のプロセスを、「企画→構成案作成→執筆→レビュー→公開」のように、いくつかのステップに分解し、それぞれのステップの担当者と期限を明確にします。このワークフローを確立することで、制作プロセスがスムーズに進み、品質のバラつきも防げます。

コンテンツ更新は、短距離走ではなく、長距離走(マラソン)です。完璧を目指して最初から飛ばしすぎると、途中で息切れしてしまいます。まずは「月に2本のブログ記事を必ず公開する」といった、低いハードルからでも構いません。重要なのは、継続すること。その地道な積み重ねが、やがて大きな資産となって、あなたのビジネスを支えてくれるのです。

5. SEOに効果的なブログ記事の書き方

ホームページ運用におけるコンテンツ更新の中でも、特に新規顧客の獲得において絶大な威力を発揮するのが、ブログ(コラム)記事を通じたコンテンツマーケティングです。悩みを抱え、情報を求めて検索する潜在顧客に対して、その「答え」となる質の高い記事を提供することで、自然な形でサイトへの流入を生み出し、専門家としての信頼を勝ち取ることができます。

しかし、ただの日記や思いつきの文章では、SEOの効果は期待できません。検索エンジンとユーザーの両方から評価される、効果的なブログ記事には、明確な「型」と「作法」が存在します。

大前提:検索意図(インテント)への120%の応答

SEOに効果的な記事の絶対的な前提条件、それは「ユーザーの検索意図に、120%で応えること」です。ユーザーがそのキーワードで検索した時、何に悩み、何を知りたくて、最終的にどうなりたいのか。その深層心理を徹底的に読み解き、期待を上回る「完全な答え」を提供することが、全ての基本となります。

  • 検索意図の調査方法:
    • 実際に検索してみる: 対策したいキーワードでGoogle検索し、上位10位までに表示される競合記事を全て熟読します。これらは、Googleが「現時点での検索意図へのベストアンサー」と判断している模範解答です。
    • 共通のトピックを抽出: 上位記事が共通して含んでいる見出しやトピックは何かを分析します。これらが、検索意図を満たす上で「必須の要素」です。
    • 関連キーワードやサジェストを見る: 検索結果画面の下部に表示される「他のキーワード」や、検索窓のサジェスト機能は、ユーザーが抱える潜在的な疑問や、次の関心事のヒントの宝庫です。

SEOに強いブログ記事作成の5ステップ

ステップ1:キーワード選定と構成案の作成

  • 1記事1キーワード(1テーマ)の原則: 1つの記事では、1つの主要なキーワード(とその関連語群)に焦点を当てます。テーマが分散すると、メッセージがぼやけ、SEO評価も分散してしまいます。
  • 構成案(設計図)の作成: 執筆を始める前に、必ず記事の骨子となる構成案を作成します。
    • タイトル (H1): キーワードを含めつつ、ユーザーが思わずクリックしたくなるような、具体的で魅力的なタイトル(30文字前後)を考えます。
    • 導入文 (リード文): 記事を読むことで、どのような課題が解決され、どのようなメリットが得られるのかを簡潔に提示し、続きを読む動機付けをします。
    • 見出し (H2, H3): 検索意図の調査で見えてきた「必須の要素」と、ユーザーの潜在的な疑問に答えるトピックを、論理的な順序で、見出しとして階層構造で並べていきます。この構成案の質が、記事の品質の8割を決定します。

ステップ2:説得力のある本文の執筆

  • 結論から書く (PREP法): 各見出しの冒頭で、まず「結論 (Point)」を述べ、次にその「理由 (Reason)」「具体例 (Example)」を続け、最後に再び「結論 (Point)」で締める。このPREP法を意識することで、非常に分かりやすく、論理的な文章になります。
  • E-E-A-Tを盛り込む:
    • 単なる一般論や、他のサイトの情報の受け売りではなく、自社ならではの「経験 (Experience)」や「専門知識 (Expertise)」を盛り込みましょう。「弊社の場合は、〇〇というケースで…」「実務上、特に注意すべき点は△△です」といった、一次情報こそが、コンテンツの独自性と信頼性を生み出します。
  • 専門用語は噛み砕く: 難しい専門用語は、初心者にも分かるように、平易な言葉で言い換えるか、注釈をつけます。

ステップ3:可読性を高める装飾

  • 文章の塊を小さくする: スマートフォンでの閲覧を意識し、2〜3行ごとに改行を入れ、適度な余白を作ります。
  • 箇条書き・太字・マーカー: 重要なポイントやリストは、箇条書きや太字、マーカーなどを使って視覚的に強調し、文章にリズムを生み出します。
  • 図解・画像の活用: 複雑な概念は、図やイラストで視覚的に解説することで、ユーザーの理解度を飛躍的に高めます。関連性の高い画像を適切に配置することも、読者の飽きさせない工夫です。

ステップ4:内部リンクと外部リンクの設置

  • 内部リンク: 記事の内容と関連する、サイト内の別のページへリンクを張ります。これにより、ユーザーの回遊を促し、より深い情報を提供すると共に、サイト全体のSEO評価を高めます。
  • 外部リンク: 統計データや公的な情報を引用する際は、その出典元(官公庁のサイトなど、信頼性の高いサイト)へリンクを張ります。これは、情報の正確性と信頼性を担保する上で重要です。

ステップ5:CTA(行動喚起)の設置

記事を読み終え、あなたの会社に興味を持った読者を、次のアクションへと導くための「出口」を用意します。

  • 記事の末尾に、「より詳しい情報はこちら」「関連サービスへのお問い合わせ」「無料相談会のご案内」など、コンテンツの内容と関連性の高いCTA(Call to Action)を設置し、ビジネスの成果(コンバージョン)へと繋げます。

この5つのステップを丁寧に踏むことで、あなたのブログ記事は、単なる情報の断片から、検索エンジンに評価され、未来の顧客を惹きつける、強力なマーケティング資産へと変わるのです。

※関連記事:コンテンツマーケティングで長期的な集客を実現する方法とは?

 

6. SNSとの連携でサイトへの流入を増やす

ホームページを「本拠地」とするならば、X(旧Twitter)、Instagram、FacebookといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、その本拠地に人々を呼び込むための、強力な「拡声器」であり、未来のファンと出会うための「交流の場」です。

ホームページの運用と、SNSの運用を、それぞれ独立した活動として行うのではなく、両者を戦略的に「連携」させることで、互いの強みを活かし、弱みを補い合う、相乗効果を生み出すことができます。この連携が、サイトへの新たな流入経路を確立し、集客力を多角的に強化する鍵となります。

SNS連携がもたらす3つの主要なメリット

  1. 新たなトラフィック(流入)源の確保:
    • ホームページは、基本的にユーザーが検索するのを「待つ」プル型のメディアです。一方、SNSは、企業側からユーザーのタイムラインに情報を届けられる「プッシュ型」のメディアです。SNSで有益な情報を発信し、そこからホームページへと誘導することで、検索エンジン経由ではリーチできなかった、新たな潜在顧客層にアプローチすることが可能になります。
  2. コンテンツの拡散と認知拡大:
    • ホームページに掲載した渾身のブログ記事も、公開しただけではなかなか読まれません。その記事の更新情報をSNSで告知し、フォロワーに「いいね」や「シェア(リポストなど)」をしてもらうことで、情報が爆発的に拡散され、短期間で多くの人の目に触れる機会が生まれます。このバイラルな拡散は、SNSならではの大きな魅力です。
  3. エンゲージメントを通じたファン育成:
    • ホームページが一方的な情報発信の場になりがちなのに対し、SNSは双方向のコミュニケーションが基本です。ユーザーからのコメントや質問に丁寧に返信し、対話を重ねることで、企業と顧客との間にエンゲージメント(深い繋がり)が生まれます。この関係性が、やがてビジネスを支える熱心な「ファン」を育成し、彼らが自発的にホームページを訪れ、情報を広めてくれるようになります。

効果的なSNS連携の実践テクニック

  1. ホームページからSNSへの導線
  • フォローボタンの設置:
    • ホームページの分かりやすい場所(ヘッダー、フッター、サイドバーなど)に、自社が運用する各SNSアカウントへのフォローボタンを必ず設置します。サイトを訪れ、あなたのビジネスに興味を持ってくれたユーザーを、継続的な接点となるフォロワーへと転換させます。
  • シェアボタンの設置:
    • 特にブログ記事などのコンテンツページには、主要なSNS(X, Facebook, LINEなど)のシェアボタンを設置します。記事を読んで「これは有益だ」と感じたユーザーが、ワンタップで友人やフォロワーに情報を共有できるようにすることで、コンテンツの拡散を促進します。
  1. SNSからホームページへの導線(最重要)

こちらが連携のメインとなる流れです。SNSで築いた関係性を、実際のビジネス成果に繋げるための、戦略的な導線設計が求められます。

  • プロフィール欄の最適化:
    • 各SNSのプロフィール(自己紹介)欄は、最も重要な導線です。ここに、自社のホームページのURLを必ず記載します。「↓事業内容や実績の詳細はこちら」といった一文を添え、クリックを促しましょう。
  • 投稿での戦略的なURL共有:
    • ホームページで新しいブログ記事を公開したら、その更新情報を必ずSNSでも告知します。その際、単にURLを貼るだけでなく、
      • 記事の「要約」や「最も伝えたいポイント」を抜粋して投稿し、続きを読むメリットを提示する。
      • 投稿に、記事の内容と関連する目を引く画像や動画を添付する。
      • 「ブログを更新しました!今回のテーマは〇〇です。続きはこちらから↓」のように、明確な行動喚起(CTA)を入れる。
        といった工夫が、クリック率を大きく左右します。
  • OGP設定の最適化:
    • OGP(Open Graph Protocol)とは、SNSでURLがシェアされた際に、そのページのタイトル、概要、画像(アイキャッチ画像)を、魅力的で意図した通りに表示させるための設定です。このOGPが正しく設定されていないと、せっかくシェアされても、ユーザーの興味を引くことができず、クリックに繋がりません。ホームページ制作時に、OGPが適切に設定されているかを確認しましょう。
  1. コンテンツの相互活用
  • ホームページ用に作成したコンテンツ(ブログ記事、お客様の声など)を、SNS用に短く要約したり、図解画像にしたりして「二次利用」する。逆に、SNSで反応が良かった投稿を、深掘りしてホームページのブログ記事にする。このコンテンツの相互活用が、運用効率を高めます。

ホームページという「静的な知の蓄積場所」と、SNSという「動的なコミュニケーションの場」。この二つを巧みに連携させることが、あなたの情報発信力を最大化し、集客のチャネルを複線化・強化するための、現代の必勝パターンなのです。

※関連記事:SNSを活用したWebマーケティング戦略のポイント

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7. ユーザーの声から改善点を見つける方法

Webサイトを運用していると、「デザインはこれで良いのだろうか」「ユーザーは本当にこの情報に満足しているのだろうか」といった、無数の疑問や不安に直面します。この問いに対する最も正確で、最も価値のある「答え」を持っているのは、社内の人間でも、Webの専門家でもありません。それは、実際にあなたのサイトを利用している「ユーザー」自身です。

ユーザーがサイト上でどのように行動し、何を感じているのか。その「生の声」に耳を傾け、そこからサイトの改善点を見つけ出すこと。これが、独りよがりではない、真にユーザーに愛されるサイトを育てるための、最も確実なアプローチです。

なぜ「ユーザーの声」が重要なのか

  • 思い込みの排除:
    • サイトの作り手は、どうしても「こう使ってほしい」「この情報は重要だから、見てくれるはず」といった、作り手側の論理や思い込みに陥りがちです。しかし、ユーザーは作り手の意図通りには動いてくれません。ユーザーの実際の行動や意見は、こうした思い込みを打ち破り、客観的な視点を与えてくれます。
  • 課題のボトルネックの特定:
    • 「多くのユーザーが、このページで離脱している」「問い合わせフォームの、この項目で入力に詰まっているようだ」といった、コンバージョン(成果)を妨げている具体的なボトルネックを特定できます。
  • 新たなニーズの発見:
    • ユーザーからの質問や要望の中に、自社がまだ気づいていなかった、新しいサービスやコンテンツのヒントが隠されていることも少なくありません。

ユーザーの声を聞くための具体的な方法

ユーザーの声には、彼らが直接言葉で伝えてくれる「直接的な声」と、サイト上の行動データとして現れる「間接的な声(行動ログ)」の2種類があります。

【方法1:直接的な声を聞く】

  1. お客様の声・問い合わせ内容の分析:
    • 日々寄せられる、既存顧客からの問い合わせメールや、電話での会話内容は、ユーザーの声の宝庫です。「〇〇の使い方が分かりにくい」「△△という情報はサイトのどこにありますか?」といった質問が頻繁に寄せられる場合、それはサイトのナビゲーションや説明に、改善すべき点があることを示唆しています。
  2. サイト内アンケートの実施:
    • Webサイト上に、簡単なアンケートフォームを設置し、訪問者から直接フィードバックをもらう方法です。
    • ツール: Googleフォーム(無料)、Qualaroo、SurveyMonkeyなど。
    • 聞き方のコツ: 長すぎるアンケートは敬遠されます。「このサイトで、探している情報は見つかりましたか?(はい/いいえ)」「サイトの改善のために、ご意見をお聞かせください」といった、1〜2問程度の簡単なものから始めるのが良いでしょう。サイトから離脱しようとしたタイミングでポップアップ表示させる、といった手法も有効です。
  3. ユーザーテスト:
    • 実際のターゲットユーザーに近い人に、「〇〇という商品を購入してみてください」といったタスクを与え、サイトを操作している様子を観察させてもらう手法です。ユーザーがどこで迷い、何にストレスを感じているのかを、リアルに観察できます。コストはかかりますが、非常に多くの深いインサイトを得られます。

【方法2:間接的な声(行動ログ)を聞く】

  1. Googleアナリティクスでの行動分析:
    • ランディングページ分析: ユーザーが最初に訪れたページで、離脱率(GA4ではエンゲージメント率の低さ)が特に高いページは、ユーザーの期待とコンテンツの内容がズレている可能性があります。
    • サイト内検索の分析: サイト内検索で、どのようなキーワードが検索されているかを分析します。頻繁に検索されるキーワードは、ユーザーが求めているにもかかわらず、サイト内で見つけにくい情報であることを示唆しています。その情報を、より分かりやすい場所に配置する、あるいは専用のコンテンツを作成するといった改善に繋げられます。
  2. ヒートマップツールの活用:
    • ヒートマップとは?: ユーザーがページのどこをよく見ているか(熟読エリア)、どこをクリックしているか、どこまでスクロールしたかを、サーモグラフィーのように色で可視化するツールです。
    • ツール: Microsoft Clarity (無料), Hotjar, ミエルカヒートマップなど。
    • 分かること:
      • クリックされていない場所が、たくさんクリックされている: ユーザーがそこをボタンだと誤解している可能性。デザインの改善が必要です。
      • 読んでほしい重要な部分が、全く見られていない: ページの構成や、導入文に問題がある可能性。
      • ページの途中で、多くのユーザーが離脱している: その直前のコンテンツが、ユーザーの関心を失わせた原因かもしれません。

これらの「直接的な声」と「間接的な声」を組み合わせることで、ユーザーがサイト上で体験していることを、より立体的に、そして深く理解することができます。データと対話し、ユーザーの声に耳を澄ます。その地道な繰り返しが、集客し続けるサイトへの、最も確実な道を照らしてくれるのです。

※関連記事:Webマーケティングにおける仮説検証の重要性と実践方法

8. ホームページ制作会社が提供する保守・運用プラン

ホームページをプロの制作会社に依頼して制作した場合、多くの場合、サイト公開後に「保守・運用プラン」への加入を提案されます。月額数千円から数万円、あるいはそれ以上の費用がかかるこのプランに対して、「サイトはもう完成したのに、なぜ追加の費用が必要なのだろうか?」と疑問に思う方も少なくないでしょう。

しかし、この保守・運用プランは、あなたの貴重なWebサイトという資産を、技術的な脅威から守り、常に最高のパフォーマンスを発揮できる状態に保つための、極めて重要な「保険」であり「メンテナンスサービス」なのです。

保守・運用プランの主なサービス内容

サービス内容は制作会社によって異なりますが、一般的に以下の内容が含まれています。

【1. サーバー・ドメインの管理(インフラ保守)】

  • ホームページを公開し続けるために不可欠な、サーバーとドメインの契約管理を代行してくれます。契約の更新手続きなどを忘れる心配がありません。

【2. CMSとプラグインのアップデート(セキュリティ保守)】

  • これが、保守プランの最も重要な役割の一つです。特にWordPressなどのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)は、その普及率の高さから、常にサイバー攻撃の標的となっています。
  • CMS本体や、機能を追加するためのプラグインには、セキュリティ上の脆弱性(弱点)が発見されることがあり、開発元からは、それを修正するためのアップデートが頻繁に提供されます。
  • このアップデート作業を怠ると、脆弱性を突かれてサイトが改ざんされたり、ウイルスを仕込まれたり、個人情報が漏洩したりといった、ビジネスに致命的なダメージを与えるセキュリティ事故に繋がるリスクが飛躍的に高まります。
  • 保守プランでは、専門家がこれらのアップデートを、サイトの表示崩れなどが起きないか検証しながら、定期的かつ安全に実施してくれます。

【3. データのバックアップ

  • 万が一、サーバーの障害や、操作ミス、サイバー攻撃などによって、ホームページのデータが消失してしまった場合に備えて、定期的にサイトのデータをバックアップしてくれます。これにより、何かあっても、迅速にサイトを復旧させることが可能になります。

【4. 軽微な更新・修正作業の代行】

  • 「テキストを一行修正したい」「写真を一枚差し替えたい」「営業時間を変更したい」といった、軽微な更新作業を、プランに含まれる作業時間の範囲内(例:月2時間まで)で代行してくれるサービスです。
  • HTMLやCSSの知識がない担当者でも、電話やメール一本で、迅速にサイトを更新できるため、情報発信のスピードが向上し、担当者の業務負担を大幅に軽減できます。

【5. 技術的な質問・相談への対応】

  • サイトの表示に関する問題や、操作方法に関する疑問など、技術的なトラブルや質問があった際に、専門家として相談に乗ってくれる窓口となります。社内にWebの専門家がいない企業にとっては、非常に心強い存在です。

保守・運用プランに加入するメリット・デメリット

【メリット】

  • セキュリティリスクからの解放: 専門家に任せることで、最も重要なセキュリティ対策を、安心して担保できます。
  • 本業への集中: 面倒で専門知識を要するサイト管理業務から解放され、本来のコア業務に集中できます。
  • 機会損失の防止: サイトが表示されない、といったトラブルが発生した際に、迅速に対応してもらえるため、機会損失を最小限に抑えられます。
  • 情報更新の迅速化: 軽微な修正を気軽に依頼できるため、サイトの情報を常に最新の状態に保てます。

【デメリット】

  • 継続的なコスト: 当然ながら、月額の固定費用が継続的に発生します。
  • サービスの範囲: プランによって、対応してくれる作業の範囲や時間が異なります。「この作業はプランの範囲外です」と、追加費用を請求されるケースもあるため、契約前にサービスの範囲(スコープ)を明確に確認することが不可欠です。

自社に合ったプランの選び方

  • 自社のスキルレベルを考慮する:
    • 社内に、WordPressのアップデートや、基本的なHTML修正ができる人材がいる場合は、最低限のサーバー管理とセキュリティ保守だけの、安価なプランで十分かもしれません。
    • 逆に、Webに関する知識が全くない場合は、更新作業の代行まで含まれた、手厚いサポートプランを選ぶ方が、結果的にコストパフォーマンスが高くなります。
  • サイトの重要度と機会損失を天秤にかける:
    • そのホームページが、ビジネスにとってどれだけ重要か。もしサイトが1日停止した場合、どれくらいの売上損失や信用の失墜に繋がるかを想像してみてください。そのリスクを回避するための「保険料」として、保守費用が妥当であるかを判断する視点が重要です。

ホームページ制作会社が提供する保守・運用プランは、単なるコストではありません。それは、あなたのデジタル資産を守り、その価値を維持・向上させるための、未来への戦略的投資なのです。

9. サイト改善(CRO)でコンバージョン率を高める

ホームページに、SEOや広告、SNSを通じて、多くのアクセスを集めることができるようになった。しかし、「アクセスは増えているのに、なぜか問い合わせや売上が増えない」。これは、Webサイト運用における、次なる、そして最も重要な壁です。

この壁を乗り越えるための鍵が、CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)です。CROとは、サイトを訪れたユーザーを、いかにして最終的な成果(コンバージョン)へと、より多く導くか、その転換率(コンバージョン率、CVR)を最大化するための一連の改善施策を指します。

集客(アクセスを増やすこと)が「量」の改善であるならば、CROは「質」の改善です。サイトの「接客力」を高めることで、同じアクセス数でも、得られる成果を2倍、3倍にすることが可能になる、極めて費用対効果の高い取り組みです。

CROの基本的な考え方:ユーザーの「障壁」を取り除く

ユーザーがサイトを訪れてから、コンバージョンに至るまでの道のりには、彼らの行動を妨げる、様々な「障壁(ハードル)」が存在します。

「情報が見つからない」「ボタンがどこにあるか分からない」「入力フォームが面倒くさい」「この会社は信頼できるか不安」。

CROの基本的な考え方は、これらの障壁を、データとユーザー心理の分析に基づいて一つひとつ特定し、丁寧に取り除いていくことで、ユーザーがゴールまでスムーズにたどり着けるように、道筋を整備してあげることです。

CROで取り組むべき3つの主要な施策

  1. LPO (Landing Page Optimization) – 入口の最適化

LPOとは、ユーザーが広告や検索結果から最初に訪れるページ、すなわちランディングページ(LP)を最適化することです。第一印象でユーザーの心を掴み、離脱させないための施策です。

  • ファーストビューの改善:
    • ユーザーがページを訪れて、スクロールせずに最初に目にする領域(ファーストビュー)で、「誰に(ターゲット)、何を(価値)、提供するのか」が、3秒で直感的に理解できるようにします。魅力的なキャッチコピー、ターゲットに響く画像、そして明確なCTA(行動喚起)ボタンの3点セットが不可欠です。
  • 情報の一貫性:
    • 広告の文言と、LPの内容に一貫性を持たせます。「初回無料」と広告で謳っているのに、LPにその記載がなければ、ユーザーは騙されたと感じてすぐに離脱してしまいます。
  • ユーザーの不安払拭:
    • 「お客様の声」「導入事例」「メディア掲載実績」「権威ある専門家からの推薦」といった社会的証明(ソーシャルプルーフ)を配置し、信頼性を高めます。
  1. EFO (Entry Form Optimization) – 出口の最適化

EFOとは、コンバージョンプロセスの最終関門である、問い合わせや申し込みの入力フォームを最適化することです。あと一歩のところでの離脱(カゴ落ち)を防ぎます。

  • 入力項目の削減:
    • 「この情報は、本当に今、必要か?」と問い直し、入力項目を必要最小限に絞り込みます。項目が一つ減るだけで、完了率が数パーセント改善することも珍しくありません。
  • 入力支援機能の実装:
    • 郵便番号からの住所自動入力、入力エラーのリアルタイム表示、入力例の表示(プレースホルダー)など、ユーザーの入力の手間とストレスを軽減する機能を実装します。
  • 離脱防止:
    • フォームからの離脱を防ぐために、入力の進捗状況を示すプログレスバーを表示したり、必須項目を分かりやすく示したりします。
  1. A/Bテストによる科学的な改善

LPOやEFOにおける改善施策は、「おそらく、こちらの方が良いだろう」という仮説に過ぎません。その仮説が本当に正しいのかを、データに基づいて科学的に検証する手法が、A/Bテストです。

  • A/Bテストとは?:
    • ある要素(例:ボタンの色)について、元のAパターンと、改善案のBパターンを用意し、サイト訪問者をランダムに2つのグループに分けて、どちらのパターンのコンバージョン率が高いかを比較検証します。
  • テスト対象の例:
    • キャッチコピーの文言
    • CTAボタンの色やテキスト(「資料請求」vs「無料ダウンロード」)
    • メインビジュアルの画像
    • 入力フォームの項目数
  • なぜ重要か?:
    • A/Bテストを行うことで、主観や思い込みを排除し、データという客観的な事実に基づいて、サイトを改善していくことができます。小さな改善を繰り返すことで、コンバージョン率を継続的に向上させていくことが可能です。

CROは、ユーザー心理への深い洞察と、データに基づいた冷静な分析が求められる、科学とアートが融合した領域です。ヒートマップツールなども活用しながら、ユーザーの「声なき声」に耳を傾け、サイトの「おもてなし」の質を、絶えず磨き続けていきましょう。

※関連記事:SEO対策を意識したホームページ制作のポイントとは?

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10. 成果を出し続けるホームページ制作と運用体制

ホームページを、単なる一過性の制作プロジェクトで終わらせず、ビジネスの成長に合わせて、継続的に成果を生み出し続ける「マーケティングエンジン」へと昇華させるためには、その土台となる「体制」を、社内に、あるいは外部パートナーと共に構築することが不可欠です。

成果を出し続けるホームページ運用は、個人の属人的なスキルや、場当たり的な思いつきに依存するものではありません。それは、明確な目標と役割分担に基づいた、組織的な「仕組み」によって支えられています。

成功のサイクル:PDCAを回し続ける体制

成果を出し続ける運用の核心は、これまでも述べてきたPDCAサイクルを、組織として、そして文化として、いかに回し続けられるかにあります。

  • Plan(計画):
    • 役割: KGI/KPIに基づき、データ分析の結果から課題を特定し、次なる施策の仮説とアクションプランを立案する。
    • 体制: 経営層も交え、ビジネス全体の目標とWeb戦略が連動しているかを確認する「戦略会議」を、四半期に一度は開催することが理想です。
  • Do(実行):
    • 役割: 計画に沿って、コンテンツ制作、サイト改修、広告出稿などの具体的な施策を実行する。
    • 体制: 各施策の担当者と期限を明確化した、コンテンツカレンダーやプロジェクト管理ツール(Asana, Trelloなど)を活用し、実行の遅延や漏れを防ぎます。
  • Check(評価):
    • 役割: 実行した施策の結果を、Googleアナリティクスなどのデータを用いて客観的に評価し、計画段階の仮説が正しかったかを検証する。
    • 体制: 主要KPIの推移を定点観測するための「定例レポート」を作成し、関係者で共有する「月次定例会」を開催します。この場が、データと向き合い、学びを得るための重要な機会となります。
  • Action(改善):
    • 役割: 評価の結果に基づき、次なる改善策を立案し、次のPlanへと繋げる。
    • 体制: 月次定例会で、データに基づいた「KPT(Keep, Problem, Try)フレームワーク」などを用いて、良かった点(Keep)、問題点(Problem)、次に試すべきこと(Try)を議論し、具体的な改善アクションを決定します。

このPDCAサイクルを回し続けるためには、それぞれの役割を担う「人」、すなわち運用体制の設計が鍵となります。

自社に合った運用体制の選択

企業の規模やリソース、Webマーケティングへの習熟度によって、最適な運用体制は異なります。

パターン1:インハウス(内製)型

  • 概要: 社内に専任のWeb担当者やマーケティングチームを置き、戦略立案から実行、分析までを自社で完結させる体制。
  • メリット:
    • 意思決定が速く、施策の実行スピードが速い。
    • 社内にノウハウが蓄積され、資産となる。
    • 長期的に見れば、外注よりもコストを抑えられる可能性がある。
  • デメリット:
    • 採用・育成コストがかかる。
    • 担当者のスキルレベルに、成果が大きく依存する。
    • 知識が社内に閉じてしまい、陳腐化するリスクがある。
  • 向いている企業: 事業規模が大きく、Webマーケティングを経営の中核と位置づけている企業。

パターン2:外部パートナー(外注)活用型

  • 概要: 制作会社やコンサルティング会社といった、外部の専門家とパートナーシップを組み、運用を委託、あるいは支援してもらう体制。
  • メリット:
    • プロの最新の知見やノウハウを、すぐに活用できる。
    • 自社はコア業務に集中できる。
    • 客観的な第三者の視点から、アドバイスを得られる。
  • デメリット:
    • 継続的な外注コストがかかる。
    • 社内にノウハウが蓄積されにくい(丸投げの場合)。
    • コミュニケーションコストが発生する。
  • 向いている企業: 社内に専門人材がいない、あるいはリソースが不足している中小企業や、事業の立ち上げフェーズ。

パターン3:ハイブリッド型(理想形)

  • 概要: 社内に主担当者を置きつつ、専門性の高い領域(戦略設計、広告運用、高度な分析など)は、外部パートナーと連携して補う、両者の良いとこ取りをした体制。
  • メリット:
    • 社内にノウハウを蓄積しながら、プロの知見も活用できる。
    • 自社の主体性を保ちつつ、施策の質とスピードを両立できる。
  • 向いている企業: 多くの企業にとって、目指すべき最もバランスの取れた体制と言えます。社内の担当者が、外部パートナーとの窓口となり、プロジェクトを主体的に推進していく「Webディレクター」としての役割を担います。

どのような体制を選ぶにせよ、最も重要なのは、経営層がWebサイト運用を「コスト」ではなく「投資」と捉え、その重要性を理解し、必要なリソースを継続的に投下するという、強いコミットメントです。

経営のコミットメントの下、明確な目標と役割分担を持ったチームが、データという羅針盤を手に、PDCAというエンジンを回し続ける。それこそが、ホームページを、打ち出の小槌のように、永続的に成果を生み出し続ける、最強の資産へと育て上げる、唯一の道なのです。

まとめ

ホームページ制作は、家を建てることに似ています。しかし、立派な家を建てただけでは、そこに人々の賑わいは生まれません。重要なのは、その家を常に清潔に保ち、季節ごとに飾り付けを変え、訪れる人々を温かく迎え入れ、そして「また来たい」と思ってもらうための、日々の地道な「暮らしの営み」、すなわち「運用」です。

本稿では、その「運用」という、ホームページの真の価値を決定づけるプロセスについて、10のステップで網羅的に解説してきました。アクセス解析という鏡で自サイトの姿を客観的に映し出し、コンテンツ更新という栄養を与え、SNS連携で外部との繋がりを築き、そしてユーザーの声に耳を傾けて改善を続ける。この一連の活動は、あなたのホームページを、単なる静的な情報の塊から、顧客と共に成長し、ビジネスの成果を生み出し続ける「生きた資産」へと変貌させていきます。

「作って終わり」という古い常識を捨て、ホームページを「育てる」という新しい発想を持つこと。そして、そのための継続的な改善サイクルを回し続ける「体制」を、自社の中に、あるいは信頼できるパートナーと共に築き上げること。それこそが、変化の激しいデジタルの世界で、あなたのビジネスが持続的に輝き続けるための、最も確実な成功法則なのです。

 

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執筆者

株式会社TROBZ 代表取締役

愛知県岡崎市出身。大学卒業後、タイ・バンコクに渡り日本人学校で3年間従事。帰国後はデジタルマーケティングのベンチャー企業に参画し、新規部署の立ち上げや事業開発に携わる。2024年に株式会社TROBZを創業しLocina MEOやフォーカスSEOをリリース。SEO検定1級保有

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